抗体 その10
ミッタマイヤは戦闘狂です。
ゲシュタルが私を嘲笑した。
「頑丈なのが取り柄なんでね。 ただ貴方に褒められても嬉しくはないわ」
ゲシュタルに言葉を返し、魔剣を構えた。
私が心の中でゲシュタルを打ち倒したいと強く願った。
するとその想いに呼応するようにアヴァリーティアが紫色から赤い色に移り変わり光り輝いた。
私はアヴァリーティアに向けて告げた。
「さぁ一緒に、あいつを打ち倒そう。 いくよ! アヴァリーティア」
ーーーキィィンーーー
アヴァリーティアの光は私の言葉でさらに光り輝いた。
私は息を深く吸い込んだ。
「ヲルフガング流剣技’向日葵’」
赤い魔法力を纏ったアヴァリーティアを振りかざして縦一閃の攻撃を放った。
ゲシュタルは魔剣で私の向日葵を受けとめた。
「くっ! なんなんだこの出力は。 わが魔剣が……」
しかし、私の赤い魔法力を纏った攻撃をゲシュタルの魔剣は受け止めきれていなかった。
ーーーボギィィンーーー
鈍い音を立ててゲシュタルの魔剣が砕けた。
そして私はゲシュタルに斬りつけた。
「グゥァァァ」
ゲシュタルの肉体へ赤い刃が斬りつけた。
しかしその刃がゲシュタルを斬り割くことはできなかった。
「フハハハ。 魔剣を砕くことが出来ても、我が肉体を割くことはできなかったようだな」
「なんの! 魔剣がダメなら、肉体言語で話をつけるわ」
「その威勢もそこまでだ。 わが奥義を見るが良い」
ゲシュタルが破れた僧衣を脱ぎ捨て胸元を露出した。
それは竜人独特の鱗のような皮膚があった。
その時、私の後ろから轟音が鳴り響いた。
ーーードゴォンーーー
爆音の正体は槍が壁に激突したせいだったようだ、
そして槍を白い竜人が抜き、改めて手にした魔槍をミッタマイヤに向けて投げ放った。
ミッタマイヤは迫り来る魔槍を右足で蹴りあげた。
「いきなり危ないではないか」
「ヌぅ」
ーーードゴォンーーー
蹴り上げられた魔槍は天井に突き刺さった。
「ヌシは我が竜人と分かって挑むか?」
白い竜人はミッタマイヤに尋ねた。
ミッタマイヤは、鼻で笑い告げた。
「ふん。笑し。 我が挑むは常に強者よ。 竜人は最高の肉体を持つと聞く。 ならば挑まぬわけにはいくまい」
「ほう……ヌシは身の程を弁える必要があるようだな。 我に挑んだこと後悔するがよい」
「後悔させてみよ。 いくぞ!」
そう告げるとミッタマイヤは地面を蹴り一瞬で竜人との間合いを詰めた。
ーーーバギィンーーー
「どうした? それが貴様の力か?」
「噂通り、硬いな。 ソレが竜鱗というやつか」
「ほう…竜鱗を知っているとはな。 いかにも我ら竜人が最強種と呼ばれる所以よ」
白い竜人が得意げな表情でミッタマイヤに告げた。
だがミッタマイヤはその竜人の表情など見ることなく、ただ竜鱗をみていた。
そしてミッタマイヤはこれから起こることを白い竜人に告げた。
「その自信と竜鱗、砕かせてもらうぞ。 ヲルフガング流決闘術’風穴牙’」
一瞬で白い竜人に詰め寄ったミッタマイヤが右腕を白い竜人に向けて振り下ろした。
白い竜人は、後ろに飛びのいたが風穴牙によってできた真空が白い竜人を手前に引き寄せた。
「ヲルフガング流決闘術’金剛牙’」
ミッタマイヤが左手の手刀を突き出した。
手刀は黄金色の魔法力によってコーティングされた為か、竜鱗とぶつかり人体には不釣り合いな金属音が響いた。
音が収まるとそこには傷一つない竜鱗があった。
白い竜人はミッタマイヤに告げた。
「それでしまいか? ヌシの実力はソレくらいか? ヌシのことを我は過大評価していたようだな」
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