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抗体 その8

開戦砲撃は戦場の花ですね。

ーーードォゴォォォンーーー


 廃墟に向けて、トゥエルブの魔法ファングレイが廃墟に向けて打ち込まれた。

 赤く輝く魔法力の光線が廃墟に直撃し爆音と粉塵を撒き散らした。


「ちょっとトゥエルブ! いきなり魔法ソレはダメじゃん! 廃墟壊れて中の人達が死んだらどうするの?」


「あら、アイコさん。 そんな心配はなさそうですわよ?」


「はっ?  ……嘘でしょ?」


 私は目を疑った。

 廃墟には確かにトゥエルブの魔法ファングレイが直撃したはずだった。

 しかし、私の目に映ったのは未だ健在な廃墟の姿だった。


「どうやら、あの廃墟に当たったと同時に私の魔法ファングレイを分解したみたいですわね。 さっきの衝撃と粉塵は、魔法の熱エネルギーを転化できなかった余波ですわね。 憎らしいほどの防御力ですわ」


 トゥエルブは自らの魔法を打ち消した廃墟を分析した。

 そして素直に感嘆の声を上げた。

 開戦砲撃を見たミレイは目を白黒させていた。


「ふむ……トゥエルブ殿の魔法でも傷がつかないとなると白兵戦となるか……我らの出番だな」


「おう、ギッタンギッタンにしてやんよ」


 ロイエルとミッタマイヤが大きな犬歯を見せながら手にした獲物を構えた。

 私は大きなため息をついた後にロイエル達に伝えた。


「いい? あくまでこれはルル君の救出が目的なんだからね。 不要な殺生は無しだからね?」


「承知」


「了解」


「当然ですわ」


「「はい。 アイコさん」」


 愛子の声かけに、それぞれが返事を返した。 

 一抹の不安を感じながら私は正面から廃墟に乗り込んだ。


 先程の砲撃の余波で門番であろう僧兵が至る所に倒れていた。

 その僧兵を避けて私は廃墟の扉に手をかけた。


ーーーキィィィーーー


 驚くほど簡単に扉は開いた。

 扉の奥は、見た目と違い白い壁で覆われた空間が広がっていた。


「さぁ行くわよ。」


「「「「おおぉ!」」」」


 私の掛け声に呼応するように皆んなの声が白い空間に響いた。

 駆け出した私たちに感じたことのない殺気が放たれた。


「!!」


「おやおや、ここが教会施設と知っての押し入りですか?」


「……あなたは?」


 黒い短髪に二本の角を生やした竜人が私の前に立ち塞がった。

 体から溢れる魔法力が巨大な壁のように感じられた。


「人に物を尋ねるときは、先に名乗るべきでしょう? まぁいいでしょう。 私はゲシュタル・カグラ。 ここの留守を任されているものです。 こちらには何の御用ですか?」


 そう告げるとゲシュタルは巨大な直剣を構えた。

 

「私はアオヤマ・アイコ。 ここにいる魔人族の少年を返してもらいに来たんだけど。 どうかしら平和的に返してもらえないかしら?」


 私はまずは平和的な話し合いで試みた。

 いきなり、斬りかかるのは流石によくないわよね。

 そんなことを思い、平和的な解決を望むべくゲシュタルに私たちの目的を伝えた、


「ふむ……それは、ソレは、できかねます」


 ゲシュタルの返事は想像できる範囲だった。

 まぁそうよね。いきなり来て押し入って要求を言っても通じないわよね。

 だから私は次の手を告げた。


「ならば、無理を通して返してもらうまでよ」


「ハハハっ……滑稽……滑稽ですなぁ。まぁできるならしてみなさい。 訪問者よ」


 私は腰に下げていた魔剣アヴァリーティアを抜いて構えた。

 頭上からの殺気を感じ私は思わず横に飛びのいた直後、頭上から無数の投擲刃が降り注いだ。


ーーーダダダダッーーー


 まるで銃撃のような音と共に私が立っていた場所に短剣が突き刺さっていた。


「ほう、あれをのけますか。 興味が湧きましたよ」


 ゲシュタルは黒い表情で笑い顔を私に向けた。


「では、皆様の相手はこの者達にしてもらいましょう」


ーーーパチィンーーー


 ゲシュタルが指を鳴らすと、白壁から蜃気楼のように白い肌の竜人が現れた。

 背格好が一緒のソレは手にした剣を構えてロイエル達に斬りかかった。


「さぁ、楽しんでくださいね。 検体テスター


 ゲシュタルが呟いた。

 そして斬撃を繰り出す為、手にした大剣を振り上げ跳躍した。


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