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抗体 その6

愛子達が合流します。

「あなたは?」


 愛子ワタシは突如現れた赤髪の竜人に尋ねた。


「申し遅れてごめんなさいね。 私はミレイ・カグラ。 あなたがルイカちゃんが言っていた人ね」


「ルイカ様を知っているのか?」


 ロイエルがミレイに食ってかかる勢いで近づいた。


「そうね。 いま私の同士がルイカちゃんとあなたの仲間達を保護しているわ。 ただ……」


「ただ?」


「今は、病気に体を蝕まれているの」


「病気ですって? 私は看護師よ! 私に見させてちょうだい!!」


「ええ。そのつもりよ。 今から案内するから、私と来てくれる?」


「もちろんよ! さぁ急いで!!」


 私はそう告げると、差し出されたミレイの手をとった。

 次の瞬間、目眩のような感覚に私は襲われた。

 まるで足元の地面が崩れるような感覚だった。

 咄嗟に目を閉じた後、ミレイが私たちに声をかけた。


「着いたわよ。 アイコさん」

 

 再び目を開けると、そこは先程の場所とは違った仄暗い個室だった。


「ここは?」


「ここは地下街アンダーロウ……私たちの隠れ家みたいな場所よ。 ルイカちゃんはこっちよ。 ついてきて」


 そう告げるとミレイは手招きをした。

 私は周りを見渡した。

 暗い個室を出るとポツポツと蝋燭が灯る長い廊下があった。

 カビ臭い匂いが漂っていた廊下だった。

 そして、私が廊下で止まっていると後ろからミッタマイヤたちが現れた。

 他の赤髪の竜人の女性と共にね。


「久しぶりの転移術だが…何とも目が回る感じは変わらんな」


 ロイエルが口元を押さえながら呟いた。

 そんなロイエルの背中をミッタマイヤとトゥエルブ・マキナがさすっていた。


「お前は昔からこれが苦手だったな」


ワタクシ、初めてですがこれが遠隔転移の術なんですのね。 勉強になりますわ」


「お前らは気楽でいいな…ウプっ」


 二人に介抱されながらロイエルたちと共に私はミレイの後ろを歩いた。

 そして長い廊下の奥に扉が見えてきた。


「此処に、ルイカちゃんたちがいます」


そう告げるとミレイがドアノブに手をかけようとしたその時、私はミレイに尋ねた。


「念の為、聞くけど何の病気なの?」


「魔法生物による伝播病です」


 伝播病……その言葉を聞いた私は、一つの可能性を思いついた。

 伝染する病気……空気感染か、接触性の感染もある

 念の為、持っていた布を切り簡易的なマスクを作成すると口元を覆った。


「伝播病……感染症と考えていいわね。 みんな今から言うことを聞いて。 いい、この部屋に入る前に必ず口元を何かで覆って」


「なぜだ、アイコ殿?」


 ロイエルとミッタマイヤは私がしていることが理解できていないようだ。

 不思議そうな顔で私の姿を見ていた。


「伝播病。 いえ感染症は病原体が口元、粘膜などから入ることがあるからよ」


「ふむ? そう言う病気もあるのか? 此処はアイコ殿に任せたほうが良いか」


 うん。まぁ確かに私に任せてもらえたら助かるわね。

 そんなことを私が思っているとミレイが扉の前で手招きをした。


「まず私が入るわね」


「わかった。 アイコどの、 姫を頼むぞ」


 私は右手の親指をぐっと上げてサムズアップをロイエルに向けてから扉の中に入った。

 蝋燭に照らされた室内にはベッドが並べられていてさながら野戦病院のようだった。

 一番手前のベッドにルイカちゃんが赤い顔で横になっていたわ。


「ルイカちゃん!!」


 ルイカは、ぐったりとした様子で息も絶え絶えな姿だった。


「あ……アイコ……よかった。 間に合った……お願い。 ルルカッタを助け出して……アイコなら……きっと」


「アイコさん……お願いします……」


 ルイカとレインは体の倦怠感に襲われながら私の手を取った。

 二人はルルカッタを助けてと言った。

 確かに此処にいるはずのルルカッタの姿はこの室内にはなかった。

 そんな二人の様子を見た私は、ミレイに二つ尋ねた。


「ルイカちゃん達は、今どんな状態なの?」


「今はフェイズ3と言って魔法力のオーバーフローによって発熱している状態なんです。 体の中の魔法生物が作り出す魔素によって元々持っている魔法力が過剰になり体の中で暴走している状態と言ったらいいでしょうか…発熱に耐えられる体力がないと……死に至ります」


 ミレイは私の顔を見ながらしっかりとした口調で告げた。

 発熱で体にダメージを常に浴びている状態か……

 私はルイカ達がこのままでは体力が持たないことがわかった。


「わかったわ。 私の魔法で一時的に体力を戻すわ。 ただ、その発熱の原因というか、体内の魔法生物をなんとかしないと……」


 私が難しい顔でルイカを見つめていると、アウロトが声をかけた。

 アウロトの表情も赤く、この感染症にかかっていることがわかった。


「アイコさん。 ルルカッタなら何とかできるみたい……だからルルカッタを先に助け出して……詳しくはミレイが知っている……」


 アウロトの話を聞いた私はミレイに尋ねた。

 そう此処にいるはずの彼がいない。

 何かあったに違いない!私のルル君に。

 

「ミレイさん、此処にルイカちゃんと同じような姿の男の子がいるはずなんだけど……」


「その彼なら、ある場所に囚われているはずです」


 ミレイは私の顔を見ながら告げた。

 ルル君が捕まっていると。

 ならば私が助け出さねばなるまい!

 そして私はミレイに尋ねた。


「わかったわ、ミレイさん。 私たちをルル君が捕まっている場所まで案内してくれる?」



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