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ダンジョン攻略 その10

さらに登場人物増えちまった。


10月20日 加筆修正しています

―――ザッザッザッ―――

 

 ルイカに手を引かれるルルカッタ。


「はぁ…なぁ…」


 歩みを止めルルカッタの方を見るルイカ。

 ルイカが、話かけてきた。


「…あんたぁ…私に、よう似とるなぁ…本当にオトンの隠し子なん?」


 いきなりの質問にビックリするルルカッタ!

 そして首を横にブンブン振ると告げた。


「ちっちがいますよ!僕の父はアドルフ・ヨル・ヴィスタですし…」


 そう告げるとルイカはホッとした表情をみせた。


「そっそうかぁ! ならあんたはウチのオトンの子やないな!! びっくりしたでぇ。 ほんまにあんた私そっくりなんやもん!!」


 ルイカは話を続けた。


「今回はひっさしぶりにオトンから、逃げて遊ぼうと思っていたところやったんよ。 それをヲルフガング様がすぐに見つけだしてもうたからなぁ…今回は少しも遊べんわぁ…と思っとたんよ」


 先ほどまでのお嬢様言葉はどこかに逝った。


「今回は仕方ないと思っていたところに、あの二人があんたつれてきたやろ? これは天命やと思うんよ…なぁ……あんた、私と変わらへん? 」


 笑顔でとんでもないことを言うルイカ


「えっ! そんなの無理ですよ。 貴女様ルイカのような姫なんて、僕にはできませんよ」


 そう笑顔で返したルルカッタ、見つめるルイカの瞳。


―――同じ顔に見つめられると、なんか複雑な気分だなぁ―――


 ルルカッタは思った。


「そうとは限らへんよ? 私だってこんな感じで、やってるんやからね。それに口調なんて、どうとでもできるしな」


 そしてルルカッタの手を自らの胸に当てるルイカ。


―――フニッ!―――


 ほんのり手に感じる柔らかさに、思わず体が硬直するルルカッタ。

 その手に触れた物は愛子の柔らかさとは違った。

 成長期特有の少し弾力のある柔らかいものであった。


「ほらな!あんたと同じくらいの胸やしな!」


 思わず顔が真っ赤になるルルカッタ。


「なっ!」


「 ? 」


 その反応に顔をかしげるルイカ。

 上ずった声を出しながら、ルルカッタは聞いた!


「あぁ……あのぉ、貴女は僕をなんだと思っていますか? 」


 その問いかけにケラケラ笑いながら答えるルイカ。


「何って? あんた、女の子やろ?いやぁ、ボクッ子ってやつ? はじめてみたわぁ。 それにしても見た目も私と同じくらいかわいいやん!!」


 胸の前で腕組するルイカ。完全にドヤ顔であった。

 ルルカッタは思った……


―――あっ!やっぱりいぃ!!―――


 ルイカはルルカッタの性別を、完全に間違えていた。

 半ズボンから出ているほっそりした脚は、女の子といっても遜色ないくらいの美脚である。

 加えてルイカと同じ顔。

 肩まで伸びている髪は、風でなびくとまさに『The女子』であった。


 ルルカッタは覚悟を決めて告げた。真実を!!


「はぁ…あのぅ…すいません……申し遅れました……僕は……」

「うん?」


 ルイカがキラキラした瞳でルルカッタを見つめている。

 すごい圧力だ!


「…男……です」


 うつむき申し訳なさそうに言うルルカッタ。


「はは、マタマタァ……本当に?」


 ルイカはルルカッタを見た。

 真剣な表情のルルカッタ

 耳まで真っ赤だ。


「えっ…」


 ルイカは気が付いた。

 ルルカッタが嘘を言っていないことを。

 急に耳まで赤くなるルイカ。

 頭からは蒸気でも吹き出しそうである。


「えっちぃぃ!」


―――バチィィィン!―――


 ルイカの右手が平手で飛んだ。


「いったぁぁぁい!」


 ルルカッタは叫んだ。そしてルイカも叫んだ。


「な……なんでぇ! はやくいわないんやぁ!! このすけべ! 変態! 変態! ド変態!! 」


 真っ赤にした顔でルイカがルルカッタに言い放った。

 その言葉はルルカッタの心にナイフを突き刺した。

 たとえ、それが相手の勘違いであったとしてもだった。


「……申し訳ございません!! 」


 ルルカッタは土下座した。神速に近い速度で!


「うぉ!あぶねぇ…なんだなんだ痴話げんかか?」


 ルイカの絶叫に周囲に人垣ができていた。


「あれ?ルイカ様じゃねぇか…へっひ……姫が二人いる!?」


 そっくりの顔をした二人が一人は土下座、一人は罵倒している光景があった。

 三つ指立てて土下座している偽少女ルルカッタの姿。

 それはまさに神速で行われた土下座いや、DOGEZAであった。


「ばかばか!ばかなのぉ?へんたいへんたいへんたーーーーい!!」


 顔から耳まで真っ赤にした少女とその少女に言葉の限り罵声を浴びせられる少女。

 周囲からはそう見えた。

 そのときのルルカッタの心情は… 


―――あぁ、父様、神様なんで僕はこんなに童顔なんですか……恨みます。絶対に!――― 


 罵声を浴びせられたルルカッタは心底自分の容姿を恨んだ。

 サムズアップする死んだ父様が胸に映った。

 にげて! 父様にげてぇ! ついでに神様もにげてぇ!!


 周囲に人だかりができていることに気が付かないルルカッタとルイカ

 そして近づく大柄な獣人が二人に話しかけてきた。

 

「何をしておるのだ? ルイカよ」

 

 そこにはヲルフガングと先ほど、こってり絞られた獣人二人組がいた。

 事の顛末を聞いたヲルフガングはコテンパンに言葉の力で傷つけられたルルカッタの方を見た。

 目を細くしルルカッタのことを見つめる目は愛子の魔眼にそっくりであった。

 そして告げてきた言葉は意外な物だった。


「ほぅ…小僧なかなかやるなぁ!」


 カラカラと笑うヲルフガングが居た。

 

「わらいどころではありませんわぁ!!」


 ルイカが叫んだ。


「まぁまてルイカよ。ところで貴様、なかなか面白い魔法モノを持っておるな?」

 

そして上から下までじっくりと見つめるとこう告げた。


「ふむ…面白い! 小僧!儂の所で少々、鍛えないか?

 突然の申し出にルルカッタは困惑した。

 しかし、この状況から助け出してくれるなら、それが何でも構わないと思った。

 それくらいルルカッタの精神は傷ついていたのである。

 あえて言うなら、もう彼のHPはゼロよ状態であった。


「なっ! なにをおっしゃいますの! ヲルフガング様! このドスケベ変態は私の胸をですねぇ!」

 

 顔をさらに真っ赤にしてルイカが猛抗議した。

 言葉に怒りの感情を上乗せして。

 その言葉でルルカッタの精神のHPは削り取られた。

 やめたげてぇ!彼の精神力はもうゼロよぉ!!


「なに、ルイカそう怒るな。 この小僧は面白いぞ。 どうやら眷属を身に取り込む魔法を使うみたいだしな!」


 そういうとヲルフガング様はルルカッタの方を見て口を大きにゆがませ牙を出しニヤリとした。

 ルルカッタにはその姿が自分を救う神のように見えた。


「でもですねぇ――― 」

 

 まだ文句がありそうなルイカがヲルフガングに抗議していたが、ヲルフガングはそんなルイカを簡単にあしらうとルルカッタの方をみて告げた。


「小僧、その術をわしの前で使って見せよ」


 そう告げるとヲルフガングは急に体に覇気をまとった。

 あたりを冷徹は空気が包み始めた。

 周囲の温度がいきなり下がったかのような感覚にルルカッタは襲われた。

 そして周囲の人だかりが一斉に散っていった。

 逃げ出した人達は巻き込まれてはたまらないといった様子である。

 ルルカッタはヲルフガングの目を見た。

 

「……わかりました」


「くかかか!そうでなくてわなぁ」


 広場に移ったヲルフガングは指をクイックイッとした。

 ルルカッタは詠唱トナエた。


「’獣魔召喚魔装術リヴァイ’! 」


 ルルカッタの背後に魔法陣が現れた。


―――ウォォォン!―――


 そして魔法陣から白い魔狼の零体がルルカッタに重なって光った。

 次の瞬間には白い獣人に変身した。


「ふむ…まぁ次第点だな。 では強度はどうかな?」


 ヲルフガングが地面を蹴った。

 ルルカッタが腕を交差する前にヲルフガングの腕が伸びた。


「くっ!」

「遅いわぁ!!」


―――ドゴォーーーン!―――


 ルルカッタの腹に入るヲルフガングの拳。

 そのままの威力に広場の中央にある噴水に全身を打ち付けるルルカッタ。

 相手は、はるかに格上の存在である証拠であった。


「くっ…くそぉ…」


 噴水の水により全身がびしょぬれになった。

 目の前の敵に闘志のまなざしを向けるルルカッタ。

 しかしその意識は急激に闇に消えていった。


―――パシャ、ビシャ!―――


 ビクンっと、ルルカッタは反応した。

 目を開けると、そこには汚物でも見るかのような目のルイカの姿があった。

 手には濡れたタオルを持っていた。


「あっ、ヲルフガング様、ドスケベが目を覚ましましたわよ」


 相変わらず言葉の暴力が容赦ないルイカであった。


「おう! 小僧、目が覚めたか。 すまんなぁ思わず本気でかかってしまってなぁ。 つい親友のカワイイと溺愛する娘が、いたずらされたと聞いたら力が入ってしまったわい」


 カラカラ笑うヲルフガングにルイカは輝く瞳でいった。


「まぁそうでしたの? さすがヲルフガング様ですわ!!」


 明らかにルルカッタを見る瞳とは別物のまなざしをヲルフガングに向けるルイカ。

 ルルカッタは思った。

 

―――貴女が勝手に勘違いしたんでしょうがぁ!!―――


 その理不尽な状況と目の前の獣人の姿に心で悪態をついたルルカッタ。

 ヲルフガングはさらに言葉を告げた。


「小僧の魔装術は良いな。しかし小僧自身の身体が魔装術を扱いきれてないわなぁ」


 そう告げられるとルルカッタは驚愕した。


「貴方は一体――」


 そのつぶやきすべてを言い終わる前にヲルフガングは言葉を告げた。


「小僧、貴様をわしが特別に稽古してやろう。 何、そこのわしの弟子たちにも稽古つけるついでに一緒にしてやるわ」


 そうクイッと親指を向けられた獣人二人組。

 それはルルカッタをルイカと勘違いした二人の獣人騎士だった。

 二人はルルカッタに名を告げた。

 すこし香ばしいポーズを取りながら。


「私は、ヲルフガング様の第一弟子である、疾走カゼのミッタマイヤです」

「私は、ヲルフガング様の第二弟子である、頭脳チリャクのロイエルです」


 なかなかに香ばしい二つ名を名乗った二人の獣人はルルカッタに手を伸ばし握手を求めた。

 求めに応じるルルカッタ。顔は少し引きつっている。


「…よっよろしくおねがいします?」


 ルルカッタの表情が固まっった。


「小僧が目を覚ましたようなら、行くとするか! ついてまいれ!!」


 ヲルフガングと二人の獣人に連れられてルルカッタは闘技場にきた。


「ではヲルフガング様、私はあちらで…」


 闘技場に付くと客席にルイカが座り日差しよけの傘をさして座った。


「ヲルフガング様!その変態をとっちめてくださいましねぇ!!」


 その瞳はこれから行われる稽古と言う名の試練を楽しんでいるようだった。

 闘技場の真ん中に立つとヲルフガングはいきなり上の甲冑を脱いだ。

 鍛えらえた肉体をさらけ出した。


「すっ!すごい!!」


 まるで鋼のようである。

 毛むくじゃらの顔からは表情が読み取れないが、うれしいことはシッポの動きでわかった。


「来い!弟子どもぉ!」


 香ばしい二つ名を持つ弟子たちが構える。

 

「「王よ! 行きます! 」」


 沿う言葉を告げる二人の獣はそれぞれヲルフガングに向けて走り出した。

 赤い毛でおおわれた獣人、ミッタマイヤがジャブとパンチを繰り出した。

 そして青い毛でおおわれた獣人、ロイエルもミッタマイヤの攻撃の間に蹴りを繰り出した。

 そのスピードは分身して見えるほどであった。


「フン!甘い甘い!それに遅いわ!」


 それを簡単に薙ぎ払うヲルフガング。

 その間に間髪入れずにミッタマイヤとロイエルの額にデコピンをくらわした。


―――ドゴォ!ドゴォ!―――


「「ぐぁぁ!!」」


 ヲルフガングはルルカッタに向けて告げた。


「小僧、貴様も来い! 」


 そう告げられるとルルカッタは自分も行くべきなのだと自覚したそして魔法を使った。


「’獣魔召喚魔装術リヴァイ’!!」


 詠唱と同時にルルカッタの背後に魔法陣が現れた。

 ハクの零体がルルカッタにかぶさって獣人に変身した。

 それをみたルイカが歓声を、もとい罵声を上げた。


「ヲルフガング様! そのドスケベ、ド変態をやっつけてくださいませぇ!! 」


 思わずカクッとなるルルカッタをしり目にルイカは暴言を吐きまくった。

 その声を無視してルルカッタはヲルフガングに向かった。


「ほうぅ! 小僧のその心意気は良いな! 頭も回るようだのぉ! なかなか良い出来だぞ。しかし、一体化がまだ完全ではないなぁ! 」

 

「王よ!よそ見ですか!!」

「我らをいつまでも舐めないことです!」


 二人の獣人、ミッタマイヤwithロイエルは壁から飛び出してヲルフガングに蹴り付けた。

 その攻撃をいなしながらヲルフガングはルルカッタの魔装術を見た。


「ふん。ケツノ青いガキどもがぁ、面白いことをいうのぉ」


 そしてルルカッタも加わりさらに攻撃を加えて言った。


 三人の獣人の攻撃はさながら正拳突きと蹴りの嵐が吹き荒れた。

 ヲルフガングは確実に捌いた。


「まずは、ミッタマイヤ! 貴様は遅い!」


 ミッタマイヤの拳は右の腕で弾き左の腕から繰り出されたパンチによりミッタマイヤは吹き飛ばされた。


「そしてロイエル! 貴様は力が足りん!」


 そして左腕を引き戻しロイエルのパンチを裏拳で返し蹴りでロイエルも吹き飛ばした。


「小僧は軽い!!」


 正面にいるルルカッタのパンチは右手でつかみ持ち上げた。

 蹴りを繰り出すも届かずその手で持たれた腕ごと後ろに放り投げられた。

 

「「「つよい!!」」」

 

 それが3人の正直な感想だった。

 その後、同じ光景が幾度となく繰り広げられた。


「やれぇ!ヲルフガングさまぁ!!ブッコロブッコロ!!」

 

 ルイカが客席でエキサイトしていた。

 そして夕闇が闘技場に差し掛かるころ。


「くかかか。なかなかどうして面白い拾い物だ」


 ボロボロになったルルカッタとミッタマイヤwithロイエルはヲルフガングによって拾われた。

 そのままヲルフガングの天蓋テントにつれていかれた。


「さすが!ヲルフガング様です」

 それを満足げな表情でみるルイカが居た。

いつも読んでくださりありがとうございます。

感想、ご意見、誤字脱字があれば報告お待ちしています。


前回に出た獣人二人組の名前がきまりました。

これからの話をお楽しみください。

次回更新は火曜日18時ごろを予定しています。

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