抗体 その2
黒装束が現れます
「うわぁぁぁ!!」
「馬鹿! 声を出すな」
夜叉のような表情の女と目があった竜人は大声を上げた。
そしてその竜人を嗜めるように二人目の竜人が声をかけた。
ーーーヒュッ!ーーー
「人見て「うわぁ!」って声を上げるなんて失礼ではないですか?」
二人の竜人の後ろに音もなくレインが近づいた。
その首元にレインは魔法剣を間髪空けずに突き付けた。
そして二人の前に音もなくアウロトが浴衣姿で現れた。
「このまま帰すとでも?」
アウロトは、浴衣がはだけるのも気にせずに魔槍を突きつけた。
「さぁどうするんや? そこの竜人さん?」
ルイカは渡り廊下の奥にいる黒装束の男に向けて威圧を放った。
放たれた威圧に触れた二人の男は意識を刈り取られたようにバタリとその場で倒れた。
しかし、黒装束の男はその殺気を含む威圧をまるで気にせず声をかけた。
「ふん! 感の鋭い女たちだ……だが無駄だ」
「な?」
ルイカが声を発した直後、右手を上げた黒装束の竜人が指を鳴らした。
「そんなにのんびりしていて良いのか? 貴様の仲間は苦しそうだぞ?」
ーーーどんっ!ーーー
ルイカ達の部屋で何かが倒れる音が聞こえた。
「あんたぁ、なにしたんや!?」
「ただの実験だ。 その目で確かめたらどうだ?」
黒装束の男は、その目を細めた。
その言葉に釣られるようにルイカ達は部屋を見つめた。
そこにはフレイとクラン”ナイチンゲール”の仲間達が倒れている姿があった。
「フハハハハ」やはり新型はよく聞くなぁ」
「フレイ! それにみんなも!」
ルイカとレイン、アウロトはフレイの元に走った。
そして駆けつけると苦しそうな息をするフレイを抱きかかえた。
「ルイカはん……きてはいけない…これは……ごほっ!」
「………! あっ……」
突如、ルイカ達を強烈な悪寒が襲った。
そして息が詰まるよな感覚に襲われた。
「くははは!やはりこれは良いな。 改良された魔法生物は、魔法力の高い者によく聞くと言うことか」
黒装束の男は黒いマスクをつけ、ゆっくりと部屋に入ると倒れたルイカを蹴飛ばして部屋の端に転がっている小瓶を掴み取った。
「これで主人に良い報告ができる…感謝するぞ。冒険者」
「待ちなさいよ……!」
ルイカはフラつきながら立ち上がった。
息も絶え絶えで足には力なく姿勢を維持することが精一杯だった。
「これは驚いた。よく立ち上がれるものだ。だがそのようにふらついて私に勝てるのか?」
片手を黒装束の男に向けて霞む視界でルイカは魔法を唱えた。
「極大………」
「未熟!」
音もなく近付いた黒装束の男は、ルイカの首に手刀を当てた。
「あう…」
ドサッと音を立てて膝からルイカは崩れ落ちた。
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