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厄災 その5

ラムランド……

 薄暗い部屋の中から大きな笑い声が響いた。

 部屋の中には神官の衣をまとった一人の竜人が、手を顔に当て笑い声を上げていた。


「フハハハハハ! 行幸だ。まさに行幸だとも! まさかあの魔法生物を作り出した本人を、我が手中に抑えることができようとはな! これも全て我が盟友とその娘のおかげだ。 感謝しているぞ。」


 薄暗い部屋の中で狂ったように高笑いを上げていたのはラムランド司祭。

 そんなラムランドに一人の男が近づき声をかけた。


「そうだな。 お前は本当にラッキーな奴だよ。 ラムランド。 まさか厄災カラミティがこの竜都カグラに現れるとは思っていなかったからな。 あの小僧に作らせれば……今の出来損ないよりもマシな物になるだろうよ。」


「その声は……おおぉ、そこにいるには我が盟友ではないか」


 ラムランドが狂気を帯びた瞳で神人族の男性に話しかけた。


「全く……お前には俺がそう見えているんだな。 科学者ラムランドよ。」


「何をいうギンダル。 お前はお前だろう?」


「そうだな…少なくともお前の眼と頭は俺をギンダル・カグラと認識しているんだろうよ」


「稀有なことを言うのだな? ギンダル?」


「俺の独り言だ。 ラムランド。 吉報を期待してるぞ」


「任せてくれギンダル。 俺ごときが彼の御方の力になれるなんて、最っ高だ」



ーーーバタンーーー


 神人族の男は、ラムランドの肩をたたき部屋から出た。

 廊下を足速に歩きながら呟いた。 


科学者ラムランドが、このバハトラームを手中にしたと聞いた時は、信じられなかったんだが……これは、これは良いことだ」


 男は口元をニィっと歪に歪ました笑顔を覆い隠すように黒いローブを纏った。


「神人教義会の老人ども喜ぶだろうよ。 ああっ素晴らしい。 これで一つ世界が染まったぞ」


 その男は呟きながら闇夜に溶けるように消えていった。

 そして部屋には去った男と入れ替わるように黒い衣装を着た竜人が音もなく現れた。


「主人よ……お待たせした」


 ラムランドは振り返ることもなく背中越しに言葉を発した。


「……貴様らか……どうだ、あの魔人族の女達は?」


「はっ! 目標は宿に戻って行きました。 今夜が最適かと……」


「そうか! ならば今夜、実行する……クハハハ。 ちょうど良い、改善したコレを試す良い機会だ」


 ラムランドは歪な笑顔で胸元から小瓶を取り出した。


「これはな、すごいゾォ。 竜人だけでなく、魔法力を有する人種なら分け隔てなく感染させられるはずだ。 貴様らにこれを授けよう。 あの生意気な女達にこれを使え。 ああぁ結果がどうなるか楽しみだなぁ」


「はっ!」


 ラムランドは小瓶を黒い装束をきた男に手渡して告げた。


「分かったな、確実に効果的に使えよ、効果的にだ!」


「はっ。この命に変えても」


「貴様の命なんぞ価値はない。結果だ。結果を示せ」


「はっ!」


「分かったならば散れ」


「はっ」


 黒い装束をきた男達は部屋から音もなく消え去った。

 そして部屋には歪な笑顔で高笑いをあげる最高司祭の姿があった。



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