厄災 その3
色々暴かれています。
「なんだぁ、違うんかぁ……あんた、私の知ってるやつによく似ていたんよねぇ。 ところでなんでこんな所に?」
「実は……」
ルルカッタはレイとカミキリにラムランド司祭によって、この牢に入れられたことを伝えた。
「ふむ……そうか…あの男め、ついにやりおったか……」
「あの男?」
「あんたを此処に入れたやつのことだよ」
「ラムランド司祭!」
レイとカミキリが大きくうなづいた。
「でも、どうして? 司祭がなぜ、貴方のような神を司る人を此処に入れたのですか?」
カミキリがルルカッタに尋ねるとカミキリは大きなため息をついて答えた。
「はぁ…あいつは司祭なんかじゃねぇよ。 奴は科学者だ。 司祭の地位を得たのは、その方が国を動かしやすいからだろうよ。 奴は自分以外に何も信じてねぇよ。 じゃなきゃ偽神を封じた六英雄を此処に入れたりはせんだろ?」
カミキリはレイを指さしルルカッタに告げた。
「せやねぇ…ウチもまさか此処に入れられるとは思わんかったわぁ。 それに此処に入れられてから千年くらいでカミキリも放り込まれたから……」
レイはガックリと頷き答えた。
そして牢屋の鉄格子を挟んで座り込んだ。
「まぁ、まさか酒飲んで寝こけている時に放り込まれるなんて誰も考えねぇよ。 あんたが悪りぃわけじゃねぇよ。 レイ」
カミキリもレイの背中越しの鉄格子を挟んで座り込んだ。
「ううぅ、カミキリィ。 あんたぁほんまにええ男やなぁ」
「俺が此処に放り込まれてからの付き合いだからなあ」
泣げき悲しむレイをカミキリが慰めた。
そこには、たがいに牢屋越しに背を預けて慰める二人の姿があった。
「そんな長い時間をこの牢で……」
ーーーグゥーーキュルルルーーー
ルルカッタのお腹が鳴った。
「その音は……お前、お腹すいているんか?」
「お恥ずかしながら……お二人はご飯とかどうしているんですか?」
ルルカッタはカミキリに尋ねた。
「うちらは仙法を使えるから食事はいらんの。それに食事なんかいれらた事ないんどす」
「そんなぁ……」
ルルカッタは涙目で訴えた。
「ならアンタも仙法を学ぶしかないな。 大丈夫、カミキリは教えるのが上手いからすぐに覚えられるよ。 そうしないと死んじゃうし」
レイがルルカッタに向けて告げた。
「おい、そういうことを気軽に言うなよ。 でも、妖精を目視できるなら可能性はあるか……教えるから頑張れるか?」
カミキリがルルカッタに向けて尋ねると、ルルカッタは大きく頷き答えた。
「よろしくお願いします!!」
カミキリが頭をポリポリと描いているの姿を横目にルルカッタはレイに尋ねた。
「六英雄ってことは……レイさんは、もしかして竜王、レイ・カグラ様ですか?」
「せや。 以後よろしゅうね。 えっと?」
「ルルカッタです」
「そうそう、アビスの隠し子の」
「違います!!」
ルルカッタはレイの言葉を全力で否定した。
「ところで、なんでラムランド司祭は貴方達を此処に入れたんですか? それに竜王を持ってしても壊せない封印って?」
「ああ、それはな。 あいつが狂信者だからだよ。 グラマナスのな」
「せやな。 それに気がついたのは此処に入れられてからだったんやけどなぁ。 それに此処は元々グラマナスを完全に封印するためのものとして私とファシが作ったんや」
「ファシ?」
「ファシネーションという統一演算機構の一つどす。 長い名前やからファシって呼んどるんどす」
宙を見上げながらレイが答えた。
「まぁそのファシも今はどうなっているか…… うちがおらんと勝手に起動はできへんから大丈夫やと思うんやけど……」
「あいつが統一演算機構をどうにかできるわけねぇよ。 それにそんな物は眼中にないはずだ」
カミキリはルルカッタに向いて告げた。
「あいつは、自分が作った物以外を信じることはない。 それに自分一人が生きていたらいいんだ。 他人は利用できる駒ぐらいにしか考えていないし、世界の中に自分一人がいればいいと本気思っている奴だからな……まったく……本当にどうしようもない奴だよ」
「どうにか、此処から出れないと何もできへんけどねぇ」
レイもルルカッタに告げた。
そしてルルカッタは宙を見上げてつぶやいた。
「アイコさん、ルイカ……どうか無事でいてください……」
いつも読んで頂きありがとうございます。
話が「面白かった!」「続きが気になる!」と思った方は、
広告の下にある☆☆☆☆☆の評価や、
ブックマークへの登録をお願いします!
また、ご感想、ご意見、誤字脱字があればご報告お願いします。
皆様の評価が、執筆の後押しになりますので、よろしくお願いします!!