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厄災 その2

投獄されたルルカッタです。

ーーーピチョンーーー


「はぁ……」


 ルルカッタは冷たい石牢で薄暗い光が差し込む窓を見上げて小さくため息をついた。

 そして瞳を閉じて、思い返していた。

 厄災カラミティと呼ばれていた魔法学院アカデミー時代のことを。


「まさか、アレが出てくるなんて……」


 ルルカッタは自らが生み出した魔法生物のことを思い出した。


「アレは、魔法学院アカデミーの最深部にある第三号封印’禁忌アカシック’に隔離していたはずなのに……あれを持ち出すことができる者は魔法学院アカデミーの中でも限られているはず……それに……」


ルルカッタは小さなため息をついてつぶやいた。


「フレイが持っていたアレは、僕が生み出した物だけど……少し違ってた」


ーーーグシャグシャグシャーーー


 ルルカッタは頭を掻きむしって叫んだ。


「あーーもう分からない!」


「ウルセェぞ、そこのガキ」


 ルルカッタがふと隣の牢を見ると背の高い年老いた竜人が首輪をつけられていた。

 その竜人は牢を蹴り飛ばした。


「おい! ガキ! 夜中に叫ぶんじゃねぇ、うるさくてこいつらが逃げんだろうが!!」


 そう告げると竜人は手のひらをルルカッタに見せた。

 ルルカッタはその竜人の手のひらを見たが、そこには何もなかった。


「あの…何もないですが……」


「あぁ? お前、魔人族か? ならその魔眼でよくみやがれ」


 ルルカッタはさらに顔を近づけて手のひらを見つめた。

 赤い瞳が魔法力を受けてさらに赤く輝いた。


「! これは?」


「おう、初めて見たか? これが世に言う妖精スピリッツだ」


「はい。文献では何度も見ましたが……生きているのは初めて見ました」


「そうか、文献で見たって言ってたが、お前は学者か?」


「いいえ、私は冒険者です。昔、魔法学院アカデミーに在籍していただけで」


「そうか、ならお前は俺の後輩ってわけだ?」


 そう屈託のない笑顔で竜人はルルカッタに向けて笑った。


「失礼ですが、あなたは?」


「ああ、俺はカミキリ・カグラ。 こう見えても神事を司る者だ。齢は四千年を少し超えた所といった感じだ」


「失礼しました。僕はルルカッタ・ヨル・ヴィスタ。 冒険者です。 年齢はまだ百三十歳です」


「なんだ、まだ百三十歳か。 まだまだヒヨッコだな」


 カミキリ・カグラが笑いながら告げた。

 そして唐突に話し始めた。


「確か魔人族は平均年齢一千年といった所だったな? まぁ俺たち竜人に比べたら短命だよな」


「そうですね、竜人族は長命の種というのは聞いていたのですが……実際にお会いするのは初めてです」


「まぁな。 年老いた竜人は世俗から離れて籠る傾向にあるからな。 俺みたいなのは珍しい方だ」


「………」


「ところでお前さん、何をして此処に入れらた?」


「………話を聞いてくれますか?」


「ああ、いいぜ。どうせ此処に入ったら出られねぇんだからな。話ならいくらでも聞いてやる」


「……出られない?」


 ルルカッタは鳩が豆鉄砲を食らったような顔でカミキリの顔を見つめた。


「あぁぁ? 俺の顔になんかついているか?」


「いえ、そうでなくて。 出られないと言うのは?」


「ああそっちか。 ここは真竜の封印牢。あらゆる物を封じるための牢だ。 だから外から干渉はできても、こちらからは何も出来ねぇんだよ。 外の奴らが封印を弱めない限りな。 そうだろレイ? 聞こえてるか? レイーーー!!」


 カミキリが何も無い虚空を見つめ叫んだ。

 すると何も無い空間からまるで始めからそこにいたかのような声が響いてきた。


「うぅぅるさぁぁぁい。 あんたぁマジにうざいわねぇ。 ええ加減、普通に呼べへんの?」


 薄暗い光が声を出した女性の竜人を照らした。

 鱗を持つ肌と二本のツノが特徴的だった。


「おん? あんた、新人さん?」


「はい。ルルカッタ・ヨル・ヴィスタと言います」


「あんた……」


「はい?」


 ルルカッタは竜人の女性を見つめた。

 そしてフッと笑うと告げた。


「あんた、もしかしてアビスの隠し子?」


「違います!」




 


 


 

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