災禍の街 その26
前編です
ーーヴァアァァァーー
ミノタウロスによく似た魔物は両手に巨大な戰斧を持ち愛子達に突進してきた。
「これを避けれるかなぁ? 赤風刃!」
グラマラスが両手の斧を構えたまま突進してきた。
そしてロイエルとミッタマイヤに向けて巨大な戰斧を振り下ろした。
魔法の力が乗っているのか戦斧は巨大な刃となりロイエルとミッタマイヤに襲いかかった。
「なんの! 飛び避ければ良いだけのこと……!?」
ロイエルが飛びのこうとしたが体が硬直したみたいに動くことができなかった。
振り返るとすでにグラマラスの影がロイエルを飲み込んでいた。
「動けぬ! ならばヲルフガング流決闘術’亀硬術’」
ロイエルが両腕をクロスさせ、決闘術の一つ亀硬術を用いて防御に徹した。
そんなロイエルに向けてグラマラスの慈悲の無い一撃が振り下ろされた。
ーーードゴォォンーーー
「ロイエル!」
愛子が叫んだ。
愛子の視線の先には赤い魔法刃を受けたロイエルがいた。
見た目には傷はなさそうだが、口から血反吐を吐き出していた。
「グァ…やるな!」
「あははは。 動けなかったでしょ? さぁお楽しみはこれからだよぉ?」
「気をつけろぉ! ミッタマイヤ」
「遅いよ♪」
ロイエルが叫んだ時にはグラマナスはミッタマイヤのすぐ側まで突進していた。
ーーーガギィンーーー
「へぇ……君もやるねぇ♪」
「足が縫いつけられたように動けぬが、大方何かカラクリがあるのだろう? その程度のことで戯れるな! 我らはヲルフガング様を師と仰ぐ者だ、貴様の攻撃ごときは効かぬ」
ミッタマイヤがグラマナスの戦斧を籠手で防いでいた。
ミッタマイヤも足が、飛び退くことが出来ない様だった。
その時トゥエルブ・マキナが何かに気がついたようで、声を上げた
「あーー! わかりましたわ。 皆さんあの魔物に近づいてはなりません」
「どうして? トゥエルブ?」
「アイコさん! あの魔物の頭の上に浮かぶ球体をご覧になって! あの影ですわ。 頭上にある光が獣の影を操っているんですわ。 さっきから見ていると影に飲まれた瞬間に動けなくなるようですわね」
トゥエルブ・マキナが指をさして告げた。
グラマナスは飄々とした言い回しで答えた。
「ご名答♪ まぁわかったところでどうしようもないのだけどね?」
そう告げるとミノタウロス・グラマナスは巨大な戦斧を構え、咆哮を上げて突進した。
突進の先にはトゥエルブとクレイが武器を構えて待ち構えていた。
「クレイ! あの影に取り込まれないように!」
「ああ、トゥエルブわかったぞ!」
そう告げると突進してくるミノタウロス・グラマナスの頭上に向けて飛び上がった。
「くらうがいい! クレイ流奥義’龍頭極破断’!!」
クレイはミノタウロス・グラマナスの頭上に輝く光球に十字の斬撃を放った。
星剣の光り輝く刀身が赤く輝き、白く光る光球を破壊した。
「今だ! トゥエルブ!」
「お任せあれ! 閃光共振破!」
トゥエルブの両肩がバカンと開き大口径レンズがきらりと赤く光輝いた。
そして殲滅の光線が放たれた。
「グァ! なかなかやるねぇ」
解き放たれた光線によりミノタウロス・グラマナスの左腕が戦斧ごと吹き飛ばされた。
だが右手に持つ戦斧の斬撃がトゥエルブに振り下ろされた。
「キャァ!」
「トゥエルブ!」
戦斧の斬撃がトゥエルブ・マキナの左肩に直撃し肩のアーマーを一部破壊された勢いのままトゥエルブは吹き飛ばされた。
そしてミノタウロス・グラマナスは愛子に向けて突進を再開した。
「さぁ! これを避けることができるかな! 検体!」
右手に持つ戦斧を掲げて愛子に斬撃を放った。
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