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災禍の街 その24

クレイとトゥエルブの活躍回です。

「クレイ!!」


 愛子がクレイに向けて叫んだ。

 クレイは膝をついたまま、目の前にいる女と男達を見つめた。


「はぁ、はぁ……クソ…どうしてこんなに強い奴らがいるんだ…」


「どうだい、検体テスターの仲間さん? 君はその増幅器を使えるくらいの魔法師なんだろ?」


「はぁはぁ…増幅器だと? なんだそれは……これは星剣ソレスタ、我が家に伝わる武器だ」


 クレイが手に握る星剣ソレスタを構えて立ち上がった。


「やれやれ…やはり人間の脆弱な社会では、知識の継続性を保つことは難しいみたいだねぇ」


「ガハッ!」


 グラマナスはクレイを蹴り飛ばした。

 受け身を取れず地面に転がるクレイ。

 そんなクレイにグラマナスは歪な笑顔で近づき髪を握り持ち上げた。


「いたた…くそっ……何をする!」


「君は無知みたいだから教えてあげるよ。 それは一つの増幅器だ。 君の意思と魔法力マナを形にするためのね。 その増幅器が開発されたのは今からざっと九千年前だね。 コンセプトはすごい良かったんだが……扱える者が極端に少ないのが問題でね。」


 クレイが星剣ソレスタを強く握りしめた。


「威力は強力だが扱える者が少ないということは、当然だが段々と忘れさられていったということだね♪ まぁ人間なら仕方ないよねぇ?」


 髪を掴み持ち上げられたクレイが道化師の男を射抜くような瞳で見つめて告げた。 



「だからどうした? 我がクレイ流剣技は無敵だ」


 クレイは目の前の道化師の男に叫ぶと、星剣ソレスタで男の右腕に斬りかかった。


ーーーボトンーーー


 クレイの髪を掴む男の右腕が切り落とされた。

 だが男は意にも解さないようで首をコキコキと鳴らして告げた。


「へぇ…まだそれだけの元気があるんだね? 驚きだよぉ?」


「せいぜい勝手に驚いていろ! 貴様らに我が奥義を見せてやる!」


「面白い。 せっかくだ、見せてもらおうか? その奥義とやらをね……まぁ君が倒れたら僕の予備体スペアコレクションに入れてあげるよ♪」


 軽口を叩くグラマナスは左腕を振り上げ背中にある大剣の柄を握り振り下ろした。

 クレイは即座に後ろに飛び退け左手を男に向けてかざして叫んだ。


「くらえぇ! 真滅火炎撃テラヴェノス!」


 左手の平に描かれた赤い魔法陣から火炎の弾丸が連続して発射された。

 道化師の男は放たれた火炎に巻き込まれ燃え尽くした。

 その直後、燃える道化師の男を避けて現れた道化師の女は手にした剣でクレイに向けて斬り込んだ。


「さぁ、この剣戟をどうする?」


「舐めるな! クレイ流奥義’円剣マドカ’!」


 道化師の女が繰り出した多段剣戟はクレイに必殺の威力を持って迫った。

 その剣をクレイは星剣を持って打ち払い、その威力のまま斬りかかった道化師の女とその後ろにいた道化師の男をまとめて切り裂いた


「まだだ! 私はやられんよ! まとめて、かかってこい!」


 クレイは鬼気迫る気迫でグラマナス達を威嚇し怒声を上げた。

 そのクレイの背を対にトゥエルブ・マキナが魔法銃を構えて迫り来る道化師の姿をしたグラマナスたちに火炎弾を撃ち放った。


「さすがワタクシの友ですわ! クレイ!」


「トゥエルブ! お前も無事か?」


 肩で息をしながらトゥエルブはクレイに言葉を返した。


「まぁ万全とは言い難いですが、大丈夫ですわ。 それに貴女に気迫で負けるわけにはいきませんもの」


 息を大きく吸い込んだトゥエルブが魔法銃マナカノンを構えた。

 そして目の前にいるグラマナス達を強く射抜くような瞳で見つめて叫んだ。


「ヴェノフ、ボルニック! 具現なさい」


 トゥエルブ・マキナの両隣に機狼が転移して現れた。

 そしてトゥエルブ・マキナが握る魔法銃を腰にあるホルスターに瞬時に仕舞うと叫んだ。


「さぁいきますわよ! 機獣ファング融合装着フィジオン!!」


「「ウォォォン」」


 トゥエルブ・マキナが赤い魔法力マナに包まれるとヴェノフ、ボルニックと呼ばれた機狼も雄叫びと共に赤い魔法力マナに包まれた。

 赤く輝く三つの光の球は重なった。

 そして光が収まると其処にはフルプレートアーマーのように見える重武装に包まれたトゥエルブ・マキナがいた。


ーーーギィンーーー


 トゥエルブ・マキナの瞳が赤く光った。


「さぁ! ワタクシは、まだまだいけますわよ。 刮目して喰らいなさい!」


 トゥエルブ・マキナの両肩がバカンと開いた。

 開いた肩には大口径レンズ五つあり、レンズは魔法力マナまとい、キラリと輝いた。


閃光共振破ファングレイ!」


 発射された極大の光線は、轟音と共に迫り来るグラマナス達に直撃し蒸発した。

 その時、愛子の後ろにある壁が光り輝いた。

 




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