災禍の街 その22
愛子が過剰な回復魔法を覚えました。
ステータスプレートを確認した愛子は小さく呟いた。
「これは……これならゼロを元に戻せるかもしれない!」
愛子は右手をゼロにかざし意識を指とての平に集中させた。
黄金に輝く魔法力が愛子の手のひらから指先まで覆った。
そして愛子は大きな声で魔法を唱えた。
「’極生命蘇生術’」
愛子が魔法を唱えると愛子の右手に黄金に輝く魔法陣が描かれた。
黄金に輝く魔法陣から放たれた大量の黄金色の魔法力がゼロの体を爪先から頭の先まで全て覆った。
そしてまるで逆再生を見ているかのようにゼロの欠損した体が復元、再生されていった。
「おお……なんて暖かな魔法力の光なんだ」
「アイコさん。 私も代々のマキナの知識を継いでいますが、このような魔法は記録には残っていませんわ。 ああ…なんと神々しい光でしょう……」
クレイとトゥエルブは揃って愛子の右手の魔法陣から溢れる魔法力の光に見惚れていた。
極秘生命蘇生術はレアスキルである看護師に派生した固有魔法だ。
この世界の治癒魔法としては回復師の持つ固有魔法’回復’があったが、それはあくまで治癒というべき物であり欠損した体など、無から有を生み出すことはできない魔法だった。
しかし愛子が紡ぎ出した魔法は欠損した体の部位でさえも治療してしまう魔法であり、例えるなら再生魔法とでもいうべき代物………過剰魔法だった。
「う……ここは…俺は……」
ゼロを覆う黄金色の魔法力が消えると同時にゼロは横たわる体を起こし周囲を見渡した。
そして隣に座る愛子の瞳と視線が交わった。
「! あんたは…アイコだっけか? 俺は…そうだやつは! あの道化師みたいな格好のやつは?」
ゼロは愛子に飛び掛からんとする勢いで問いただした。
愛子は笑顔でゼロに告げた。
「大丈夫よ。 あいつは、グラマナス・エンヴィは私が倒したわ」
そう告げた直後、ドームの中にケタケタと笑い声が響き渡った。
「けけけけ。 あれで僕を倒しただって? それは甘い。甘いよ。 検体♪」
愛子たちが声の方を見つめると先程の姿とは違うが道化師の姿をしたグラマナス・エンヴィが魔法陣の上に立っていた。
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