災禍の街 その20
「何ものだ?」
星剣を構えたクレイが鋭い眼差しを拍手をする男に向けた。
「僕かい? ひっどいなぁ…入り口で光り輝いていた文字を読んでないのかい?」
「! ということは! あなたがグラマナス・エンヴィ?」
「ご名答! そうだよ? 僕がグラマナス・エンヴィだ。 それにしても君たちは、よく古魔狼を倒したねぇ。 あいつは対物理魔法があるから並の攻撃は通らないんだけどね♪ あいつを倒すなんて想定外だよ〜」
ケラケラと笑いながらも瞳はまるで笑わない顔で愛子達を見つめた。
「能書きはよろしくてよ! 私達をここから出しなさい!!」
トゥエルブが怒りを滲ませる声でグラマナス・エンヴィに告げた。
「ああ、君たちもここを出たいのかい? ……まぁ焦らずにいこうぜぇ?」
圧を感じる声でグラマナス・エンヴィがつぶやき、右手の指を弾いた。
ーーーパチィンーーー
グラマナス・エンヴィが指を鳴らすとグラマナスの横に魔法陣が描かれ、十字架が現れた。
十字架には傷だらけになっているゼロ・カグラが磔になっていた。
「この子もねぇ…出せ出せとうるさく喚くからさぁ…ちょぉとお仕置きしてあげたんだよねぇ」
ゼロ・カグラの青白く生気が無い顔は重りに従う様にしなだれていた。
体は魔法力で十字架に縛られていた。
「いやぁ…この場所を訪れる者は久しいんだよ。 特にこんなに若い竜人はひさしぶりだからね」
グラマナス・エンヴィは舌を出しゼロの頬をベロンと舐め上げた。
「うっ……」
小さな掠れるような声でゼロが呟いた。
「なんて酷いことを! ゼロ!」
愛子の声に反応するかの様にゼロは動いた。
顔をあげて愛子の方を見るも、息も絶え絶えで目の焦点は定まらない様だ。
「あぁぁこの子の瞳が絶望に染まった瞬間♪ 思い出しただけでも滾りそうだよぉ」
愛子は心の奥から湧き出る怒りを感じた。
その気持ちと呼応する様に手に握るアヴァリーティアの刀身が再び紫の光を帯びた。
「ここは最高だろぉ? ここから出ようとするなんて……許さないよ」
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