災禍の街 その17
レイジィおっちょこちょい説
「ところで、アイコさん! さっきの部屋はなんでしたの?」
「そうだ! 主人よ。 いきなり襲いかかるとは酷いではないか!」
愛子にトゥエルブ・マキナとレイジィが興奮気味に詰め寄ってきた。
「二人とも私と同じだったのね…ということは」
二人の話を聞いた愛子は俯き気味に尋ねたが、二人の返事は愛子の想像を上まわっていた。
「うむ。 いきなり襲われたので驚いたんだが……我はちゃんと主人とトゥエルブを粉微塵斬りにしたぞ!」
「ええ。私も御二人がいきなり押しかかってきたので困ってしまいまして………キッチリ蜂の巣ミンチにさせていただきましたわ!! 久しぶりでしたわぁ! あれだけの物量を人型に打ち込めたのは!」
高揚した様子で語るレイジィとトゥエルブ・マキナ。
そんな二人を見て血の気が引くのを感じつつ、愛子は引き攣る笑顔で話しかけた。
「……おっけ…まぁ偽物だからいいけど……それにしても粉微塵やミンチはひどくない!?」
「仕方ないだろ。だって主人もトウエルブも話を聞いてくれなかったじゃないか! 正当防衛だぞ」
「仕方ないですわ! お二人共無言で斬りかかってくるんですもの! 正当防衛ですわ」
愛子の目に写ったのは、キラキラした瞳で告げるレイジィとトゥエルブ・マキナだった。
ため息まじりで愛子は告げた。
「まぁ、私もそうだったんだけど……」
「「ということは?」」
「はい。 レイジィは真っ二つに、トウエルブは消滅しました」
「「ひどい(ですわ)!!」」
レイジィとトゥエルブ・マキナが抗議の声を上げた。
「まぁ結果オーライだよ。 無事に出れたんだし、それに偽物だと顔見たらわかったし!!」
「それはそうですわね。私もお二人の顔を拝見したら、すぐ偽物だとわかりましたものね」
トゥエルブ・マキナが愛子の言葉に納得したように頷いてたが、レイジィは二人とは違ったことを言い放って二人を困惑させた。
「顔? なんだそれは? 我に襲いかかる者だったから斬り伏せたんだぞ。 それが主人とトゥエルブだと気がついた時にはすでに………」
「「レイジィ……」」
信じられないものを見るような表情でレイジィを見つめた愛子とトゥエルブ・マキナだった。
直後大きな音がドームに響いた。
ーーードオォォォンーーー
「ヴォォォン」
ドームの壁が開き轟音と共に現れたのはツノの生えた巨大な狼だった。
「狼? それにしては大きさが!」
「お気をつけて! あれは古魔狼ですわ。 しかし…あの姿は……」
トゥエルブ・マキナが愛子に魔物について答えたが古魔狼の姿はトゥエルブ・マキナの知っているものとは異なっていた。
「体が爛れて腐肉が落ちている…おそらく呪いで体が腐っているんだ」
レイジィが愛子とトゥエルブ・マキナに告げた。
「……ウヴァァァ! 苦しぃ!! 誰かぁ!我を!我を楽にしてくれぇ!!」
「古魔狼が喋った!」
「本来、精霊に近い類の魔物ですもの! 人語を理解することもありますわ!」
愛子は古魔狼が人語を話したことに驚いた。
「ヴァァァ! 貴様もかぁ……貴様もあの神と名乗った者の仲間かぁ!! 我を! 呪いで汚した神の仲間なら殺す! ゴロズゥぅぅ!!」
古魔狼のツノが光り輝くと轟音を立てた落雷が愛子達に向けて放たれた。それはまるで巨大な光の剣の様に愛子達に襲いかかった。
愛子とレイジィが飛び退くと雷はトゥエルブ・マキナに向きを変えた。
「逃げてトゥエルブ!」
愛子が叫ぶとトゥエルブ・マキナは背中から鳥型の機獣を放ち、電撃を防ぐ魔法障壁を展開した。
耳を擘く爆音が響き巨大な雷がトゥエルブ・マキナに直撃した。
ーーーバギィィィンーーー
雷の余波で白煙をあげているトゥエルブ・マキナが右手を払うと白煙が消えた。
「よもやよもやですわ!」
雷を帯電させながらも無傷のトゥエルブ・マキナが立っていた。
そして両手に魔法銃を握り笑顔で愛子に告げた。
「ご安心を! 魔法銃、第一弾倉解放! 全弾発射!!」
魔法銃から放たれる実弾が古魔狼に襲いかかった。
ーーーギィンギィンギィンーーー
「ちっ!厄介ですわね。 古魔狼の能力はそのままですのね……」
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