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災禍の街 その12

ここで名前が判明します。

ーーーヒュルルルーーー


 愛子が重力したがって落ちるリンゴのように落下に伴う浮遊感を感じていた。

 今の状況をふと振り返った愛子が呟いた。 


「あ〜なんか私って、いっつも落ちていくのよね〜」


「ちょっと〜アイコさ〜ん? ワタクシたちは、どこに落ちているですのぉ?〜」


「それは、そこの女に聞いてぇ〜」


 愛子に目に映ったのは自由落下中の愛子を必死の形相で見つめるトウエルブ・マキナだった。

 愛子はトゥエルブ・マキナのすぐ横を同じように必死の形相で落ちている盗賊団の女を指さし告げた。


「ちょっと、オメェら! 俺のことを女って言うな!! 俺には…ゼロ・カグラって名前があるんだ。 俺のことを女って二度と言うなよ! それに俺もここがどこまで落ちるかなんか知るかぁ〜!」


 ゼロ・カグラと名乗った女は必死に愛子に怒声を上げた。

 先程までは全身をローブで覆っていた為、女性とわかりにくかったが今はローブが体に密着しているため、女性の象徴たる二つの胸の形がはっきりと露わになっていた。


「無責任にも程があるわぁ〜!?」


 ゼロの発言を聞いて愛子は叫んだ。


「知るかバカァ! 俺は今までここにいろんな奴を落としたけど、ここがどこかなんて知るかぁ」


「ならどうして休憩所の地下にこんな場所があること知っているの〜?」


「ここは俺の育ての親が知っていただけだ。 酔っ払った時に呟いただけだ。 なんでも隠された秘密の場所とか言ってたがな!」


 ゼロは愛子に中指を突き出しまるでファックユーのポーズをとり告げた。


「あっ! アイコ殿! 灯りがあるぞ!」


「まずい!このままでは皆、激突して死ぬぞ! 飛べるものは飛行フライの魔法を!」


 遥か下にほんの小さな灯りが見えた。

 レイジィは急いで対処魔法を唱えるように大きな声で指示した。

 が、それに対応できない者もいた。


「えっ? 何その魔法!!」


「まさか…主人は使えないのか?」


「そんな魔法は使えないわよぉ!」


「「「「え〜〜〜!!」」」


 愛子が魔法を使えないことを告げるとレイジィを含めて全員が驚愕の声を上げていた。

 その時、愛子は閃いた。


「そうだわ! 絶躰ゼペレス!」


 愛子の体が魔法力で紫色に光り輝いた。


「他に魔法を使えないものは居ないか?」


「「私たちは使えないんですぅ!!」」


 ロシル、グラミスが手をあげて叫んだ。


「ちょっと! 貴女達! 私、魔法習得しときなさいって言ったわよねぇ!?」


 ケイトがミッタマイヤにお姫様抱っこされながら文句を言っていた。


「お主ら、そんなこと言い合っている場合か!! ミッタマイヤ!」


「おうとも! ロイエル」


 ロイエルはロシルを抱きしめた。

 ミッタマイヤはケイトを背中に移すとグラミスを抱きしめた。


「きゃっ!」


「うわっ! ぐるしぃ……」


「ちょっと! グラミスずるいわ! 私の獣騎士ミッタマイヤ様なのに!!」


「ちょ…ケイト隊長…だずげで……」


「こら! ケイト! 暴れるでない! 着地の打点がずれたら死ぬぞ!!」

 ミッタマイヤがロシルを抱きしめた。

 ただ抱きしめた圧力が強いみたいで、ロシルは息が止まりそうだ。


「……はい。 後でグラミスお話があります……」


 後ろから抱きしめられているロシルを見てケイトが嫉妬の声を上げた。


「「ヲルフガング流 ’亀硬術’」」


ーーーゴィィィンーーー


ーーードゴォォンーーー


 周囲に硬質な金属同士のぶつかる音が響いた。

 愛子と獣人達が着地……否、地面に突き刺さっていた。


「みんな無事?」


「……アイコさん以外は皆無事ですわよ…というか腰まで突き刺さってますけど…それ大丈夫ですの?」


 トゥエルブ・マキナが愛子を見下ろしながら尋ねた。


「ええ。 絶躰ゼペレスで体を硬化しているから大丈夫よ。 ただ……少し手伝ってもらえると助かるんだけど……体を引き抜いてぇ〜」


「仕方ないですわね……はい。これでよろしくて?」


 トゥエルブ・マキナが愛子の胴体を持ち引き上げた。

 地面には愛子の突き刺さっていた跡が大穴となっていた。


「ありがとう〜トゥエルブ!!」


 愛子はトゥエルブ・マキナを抱きしめた。

 抱きしめられたトゥエルブ・マキナは顔を微かに頬の緩ませながら愛子に尋ねた。


「感謝は宜しいですが……ここはなんですの? たくさんある骨はおそらく、この者が落とした者達ということはわかりますけど……」


「はなせよ! 首根っこ魔獣持つみたいにつまみ上げるな」


 ゼロ・カグラがつまみ上げられると両手をバタつかせながら声を上げた。

 そんなゼロ・カグラを尻目にロイエルが愛子を呼んだ。

「! アイコ殿! ここの光を読んでみよ……これは」


 ロイエルが顔を顰めて光り輝く文字を読んだ。

 そこには愛子が苦しみ、ロイエル達と出会った場所で見かけた文字があった。


「! ここ……グラマナスのダンジョンだ……」



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