ダンジョン攻略 その7
2017/11/13
マキナからもらった愛子の服をすこし変えました。
―――キィィン――――
愛子の耳に金属音が聞こえた。
「うっ……ここは……」
愛子はつぶやくと、瞳を開けようと力を瞳にいれた。
「まだ寝てなさい。貴女…かなり無茶したみたいね。大丈夫。ここは安全だから…」
そう声が聞こえると、愛子の瞳は閉じてしまった。
そして愛子の意識は、漆黒の闇に包まれながら深い眠りの坩堝へおちていった。
―――カチャカチャ―――
どれくらいたったのだろうか。
「う……ん…あれ?………ここは…いったい……」
愛子の意識は、眠りの坩堝から戻ってきた。
まだ完全に目が覚めていない状態だった。
愛子は背中に金属のメタリックな冷たさを感じた。
そして気が付いた。
体が金属台に、乗せられている事を。
―――キイィイン―――
聞こえた金属音に愛子の意識は急速に覚醒した。
「ここはど…こ…!?……あいたたたぁ!」
そして自らの太ももに感じる感覚は、今まで感じたことのないものであった。
―――ガシャ!―――
金属の当たる音が響いた。
愛子はゆっくりと目を開いた。
ほのかな青い光が、半分開いた愛子の瞳に入ってくる。
「あら? 目が覚めたようね!」
―――フイィィーン―――
目の前の女性は、愛子に向かって言った。
「もう少しで終わるからね。動かないようにしててね。じゃないと痛いわよ」
その手には、ドリルのような機械をもっていた
―――カシャ!―――
何かが開いた音がした。
愛子は音がした方を見た。
そう、愛子の足元を!
「なっ!なぁ~~~~~~!」
そこには黒い金属で出来た義足があった。
否、愛子に取り付けられていたのであった。
「なあぁにぃい!こぉれぇぇぇぇぇ!?」
「なにって……義足だけど?」
愛子の叫び声に、女性は答えた。
黒い鈍い光を放つその細身の義足は、艶やかな光を放っていた。
スリットラインに薄紫色の光が!足先は紫色のハイヒール型!
―――カシャン!―――
「よぉーし。どうやら同期が出来たみたいね。これで足を自由に動かせるわよ」
再び音がした。先ほど開いた外装が、閉じた音だった。
「あっ…ありがとう……いやっ!そうじゃなくて!貴女誰?ここどこ?」
「あ~~そこからか。私はエクス・マキナ。ここは私の研究室。OK?」
「おっ・・・おっけぇ!?」
愛子は情けない声を出した。
―――カシャン!―――
義足が開きスラスターのような形状の突起物が出た。
「なんかでたぁ!」
「あっそれは…ただの廃熱口よ。手で触れないでね。焼けるわよ?」
「あっ。はい」
すると機人は、どうして愛子がここにいるのか伝えた。
「それにしても、びっくりしたわよ。ほんと! いきなり、人の研究室に現れたかと思うと血まみれでさぁ! それから急に意識なくされてさぁ! しかもバイタル下がってさぁ! もうすぐ死にますぅ!って状態だったのよ貴女!」
マキナは捲し立てながら話上げた。
「……えっ?」
愛子は、驚いた。
「だから急いで人工血液を輸血してさぁ! とりあえず私のスペアの脚とりつけてさぁ! 他にも傷がいっぱいだったから血液が外に流れないように傷をふさいでさぁ! 私が、天才じゃなかったら貴女死んでたわよ。マジで」
「あ…ありがとう」
愛子は、思わず頭を下げた。そして感謝を伝えた。
「それにしても、どう義足?」
愛子は義足を見た。
それは、金属と一目でわかるメタリックな色合いだった。
「付け根が冷たくない」
愛子が告げると、機人の女性が聞いてきた。
「よしよし。生体との融合部は良さそうね。ではこれは? 」
―――フニッ―――
そう告げたマキナは、愛子の顔を見た後に太ももから付いている義足を優しくふれた。
愛子はその触れらた感触に驚いた。
「えっ!なんで触れた感覚がするの?これ義足でしょ!?」
そう触れられたのである。
それは愛子の他の身体の場所を触れた時と同じような皮膚感覚を体験したのである。
そして愛子目をパチクリさせ驚いた様子であった。
「うんうん。足に手が触れた感覚は感じるという事ね。なら動かすように意識してみて」
「う…うん」
愛子は、足を動かすように意識してみた。
スッ―――
義足は音もなく動いた。それは愛子の意思で動いたのである。
「なんで動くの?まるで自分の脚みたい!…信じられない……」
本来義足は、欠損した部位を補う目的で使用されるものである。
その為、審美性を要求されれば、それはスキンをシリコンで作成するし、機能を要求されれば、それは弾性の強い素材で作成される。
愛子がつけているような本来の脚のように動く義足は、本来ならばありえないものであった。
「そりゃそうよ。本来は私の脚なんだから。まぁ…これもあまりこの世界ではみかけないものなんだけどね」
現在の世界においては、愛子の義足のように滑らかに稼働する義足は存在しない物であった。
しかしそれを知る余地もない愛子は、その義足が付いた足に見つめて思った。
―――私は…一体なにをされたのぉ?―――
「ねぇ、きいてる? 無視はしないでよぉ」
「うふふ、これは夢ね。私は死んだのね!」
愛子の精神が限界を迎えた。そして意識を落とした。
「わぁ!また意識無くしたぁぁ!?」
マキナが慌てて愛子を支えた。
「ちょっと!また意識無くされたらこまるうぅ!」
愛子をガクガクとマキナが揺らした。
「うっ!目が回る!」
愛子の意識は急速に戻った。
「もう、頼むから意識無くさないで!」
愛子が意識を無くしたことでマキナは、狼狽していた。
愛子の認識が現実にやっと追いついた状態になったところで愛子が口を開いた。
「私を助けてくれてありがとう。えっとエクス・マキナさん?」
最後の質問は機人族の女性の言葉でかき消された。
「マキナでいいわよ。ところで…貴女、たしかアビスの子供が生まれた時に広場にいたわよねぇ? 」
そう告げると女性は、愛子の服を脱がした。
そして右腕を持ち、その腕を確認するように見つめた。
右手の甲には六つの刻印があった。
マキナの表情が明るくなった。
「それと貴女、どこかで”多次元境界強制召喚術”を受けてない?」
マキナは、確認するように愛子に問いただした。
「えっなぜ、それを!?」
愛子は驚きの表情で、マキナをみた。
「いい?貴女を召喚した魔法技師に伝えてね。今後絶対に’多次元境界強制召喚術’は使わないように……あれは、禁忌の魔法よ」
マキナは、愛子の瞳を見ながら告げた。
さらにマキナが話を続けた。
「それに貴女が、アビスの子供が生まれた時にあそこに居たのはこの刻印をみればわかるわよ。この刻印はあそこで私達、六王が触れた者にしか無いはずだしねぇ」
「そう…」
愛子が手の甲を見た。刻印が輝いているように見えた。
「それにしても…」
マキナは愛子の身体をまじまじと見つめた後に、腕を交差して右人差し指を立てた。
「それにしても貴女、その服装やっばいわ。ほぼ全裸みたいになってるわよ?」
「へっ…きっ……きゃぁぁ!マキナ!そういう事は、早くいってよぉぉぉ!」
そう告げられた愛子は自らの今の服装をみた。
切り裂かれたシャツやブラ、ショーツが体にまとわりついてるだけ。
愛子は顔が紅潮していくのを感じた。
恥ずかしさで胸がいっぱいになった。
「うふふ、しかたないわね。私のでいいなら、服あるわよ。背丈もほぼ一緒だし良かったらどうかしら?」
「服あるの?」
愛子がマキナに赤い顔で聞いた。するとマキナは答えた。
「もちろん機人族の服だけど、ちゃんと貴女用に調整してあげるからね」
マキナはそう言うと愛子の手を引っ張った。
「ついてきて。こっちにあるから。いろいろとね」
そしてクローゼットへ連れていかれた。
愛子は聞いてみた。
「ねぇ、もし私が目を覚まさなかったらどうしようとおもったの?」
そしてマキナは答えた。マキナの想いを。
「いやぁ、貴方が目を覚まさなかったら、というかあと少し目が覚めるのが遅かったら全身改造をしようかと思ったんだけどね…目が覚めちゃったからさぁ‥‥」
マキナはクローゼットを探りながら残念そうに愛子をみて告げた。
愛子は血の気が引いた。
それと同時に天を仰ぎ、勝手に全身改造されずに、生かされたことに感謝した。
―――あぁ神様! ありがとう! ほんとうにありがとうぅぉぉぉぉ!! ―――
「それはそれとして、この義足を生身に使用するように改造するのは本当に難しかったのよ? 一応ね、生体アタッチメントマテリアルを太ももに埋め込み、それを人工神経で接続することで感覚を得ることはできたんだけどね」
マキナが服を手に持ち叫んだ。
「あなたたち炭素系生物の生体にはね、私たちのような動力となる動力核がないのよね!そのままでは動かない義足だしね!」
マキナが服を愛子に渡して話を続けた。
「それで悩んでいた時に、貴女の服を物色…もとい調べていたらさ、ウエストバッグからたまたま結晶石が出てきたのよね。これは使えるって思って義足を改造して動力問題は解決できたのよ」
愛子はマキナから服を受け取った。マキナは話をさらに続けた。
「結晶石は魔力をその内部に内包した結晶体なのよ。動力核は無いが結晶石を義足に取り付けることで動力を得ることができるのではないだろうか? と思った私はまず義足を改造し結晶石から魔力を吸い上げることで動くことができるようにしたのよ。そして、結晶石を使いきったら取り換えられるようにしたの」
マキナの渡してくれた服をみて絶句した愛子。それを尻目にマキナは話続けた。
「あとね、貴女のような生身には冷却機構が存在しないから義足の中に組み込んだのよ。そして実際に義足を取り付けたら後は生体からの信号となじむように神経回路と魔力回路を組み込み同期し魔力を流したところで貴女が目をさましたのよ。そのせいでこの義足は、もう貴女専用品とでもいうべき代物になってしまったわ。私が天才すぎて怖いわ!」
マキナが自信満々に伝えてきた。顔はどや顔であった。
「それに外すことできなくなっちゃったしぃ。さらに排気される風で空も飛べるかもしれないよぉ。もう私ってすごいわぁ!」
すこし目がイッテいるマキナは光悦の表情を浮かべて愛子に近づいてきた。
「マッマキナ?これは…ちょっと…エッチい」
マキナが渡してくれた服を着た愛子は顔が真っ赤なリンゴとでもいうべき色に変わった。
その服はマキナが選んだ新しい愛子の服。
「へっ?廃熱がしやすくていいでしょ?」
全身をぴったりと覆う薄手のスーツは、愛子のボディラインを余すことなく映し出した。
しかも少し透けていた。
さらに胸元には薄く紫色に光るラインが入っていた。
まるで極薄の全身タイツを着させられたみたいだった。
「マキナ…きゃっかあぁぁぁぁぁぁ! 」
愛子は叫んで速攻で脱いだ、
もうマジックというべきスピードで脱いだ。
「えぇならこれは?」
次に持ってきた服を見て愛子はさらに驚愕した。
きわどいスリットと鋭角に切り取られた服がそこにあった。
どう見てもハイレグ水着をさらに切り込んだ物がそこにあった。
「ふかあぁぁぁ!! 」
つぎつぎ出されるボンテージやタイツたちに愛子は涙目で抵抗した。
「ねぇ……マキナ本当に!これみたいなものしかないのぉ!? はずかしいよぉ!」
愛子はマキナに懇願した。
「廃熱効率がよくていいんだけど?何がいけないの?」
マキナは、よくわからないといった表情で愛子を見た。
愛子はうろたえていた。
「うぅ…はずかしいぃぃよぉぉ」
「もう、わがままねぇ! そうだ!貴女の魔力に会いそうな服だと……これどう?」
そういってマキナが取り出したのはなぜか背中がバックレス仕様のナース服。
しかもナース服はなぜかミニスカートだった。
なんか、少しアダルトな感じがするが、それまでに出された服よりはいくらかマシに見えた。
「うぅ。これ、コスプレじゃない。わたしこれは…」
「もうコレ着ないなら服無いわよ。全裸でいる?」
「………着ます」
愛子は渋々だが、着てみた驚いた。
ナース服の胸元が急に体にフィットして胸を支えたのだ。
「なんか勝手に服がフィットしたんだけど! それにこう…胸がね?」
自然とフィットした服に胸を支えられてる愛子に、マキナはつげた。
「いいでしょ。それ! ちなみに機人族でも高位の者以外はそこまで胸を支える必要ないんだけどねぇ」
そう告げるとマキナは自らの胸をドーンと張った。
胸がポヨンと動いた。
「機人族の下位の者は体がすべて金属でできているんだけど、私など上位の者は一部に生体的特徴をもつ液体金属でできてるの。そのせいで他の種族の女性たちと同じように胸を支える必要性があるのよね。それに肩の神経回路も凝るしね」
愛子はつぶやいてマキナに伝えた。
「……もう……これでいいです……」
愛子はうなだれた様子でマキナに伝えた。
愛子は涙目である。
マキナは笑顔である。
「まぁそんな顔はしないで。その服には機人族の技術の結晶を取り込んでるからいいわよぉ」
マキナの瞳がランランと輝いた。
そしてさらに説明してくれた。
「その服は見た目は薄いけどね、耐摩耗、耐衝撃、耐物理の付与がついてるの!攻撃はすべて吸収し自らの魔力に変換してくれるしね。それに、自動修復機能もあるの。もし破れたり、破損しても勝手に修復されるしね。さ・ら・に!義足の修理、保存、改造システムとしても使用されているのよ!基本的にこの服を着ていれば義足は、常にメンテナンスを受けている状態なの」
「えっ! じゃこの服以外着れないじゃない!! 」
愛子は思った。
常にこの服しか無いなんてとんでもない!
こんなハレンチな服はルル君の教育上よくない。ぜったいに! と
しかしマキナの返答は意外な物だった。
「フルメンテナンスを受けるには着とかないといけないけど、それ以外は別に何を着てもいいよ」
その提案に愛子は乗り、さらにマキナは告げた。
今着ているのと同じ服をもう二着用意したと。
愛子の腰にあるウエストバッグを見てマキナはいった。
「ちょっと、その魔法具かしてね」
ウエストバッグを愛子から受け取ると、研究室にある六つのアームがある機械に渡した。
―――ウィン!―――バチィバチィ!―――
「ちょ!ちょっとマキナァ!」
それを見ていた愛子。
その機械は愛子の見ている前でウエストバッグを改造してマキナに渡した。
茶色の革製のウエストバッグが黒い金属質なウエストバッグに改造されていた。
「それ!わたしのバッグなんですけど」
愛子が目を吊り上げてマキナに怒ってきた。
「いいじゃない、ちょっと改造しただけだって!それにこのバッグ、左と真ん中に無限庫とリストの魔法を付加していたでしょ? その容積をすこーし大きくしたのよ。これをつけている限りその義足は貴女に適宜最適化されてい行くし、もちろん改造もしてくれるのよ」
マキナはさらっと恐ろしいことをいった。
「えっなに!この子こわい」
愛子は思わず本音を漏らした。
そしてマキナからウエストバッグを受け取ると愛子はマキナに問いただした。
「ねぇマキナ、わたしはダンジョンにいたのもしかしたら、ここもダンジョンの中なの?」
そういうとマキナは首をかしげて愛子に聞いてきた。
「ダンジョン? そんなもの知らないわよ。ここは機械国”エンドアート”の城の中の研究所よ」
そう伝えられた愛子は続けて話をした。
「えっどういうことなの? ここは機械国? ねぇマキナ、今は、聖名歴何年なの? 」
「何をいっているのアイコ。決まってるじゃない。今は聖名歴140年よ。あの広場での生誕祭りから140年たっているのよ? 」
愛子は血の気が引いた。
いままでダンジョンの一部と思っていた場所がまったく別の場所と月日だったからである。
「えっ二コラさんは"聖名歴8880年"だといってたのよ」
愛子が混乱し始めた時、愛子の足元が黒く輝き始めた。
「あっ、それ!! 黒い粒子が周りにあらわれたら気を付けてね! いい? あと絶対に多次元境界強制召喚術は使ってはダメって伝えてね!!」
マキナが告げた。
そしてその光は愛子を包むとその場所から愛子を消していた。
ただ一人、女性を残して。
いつも読んでくださりありがとうございます。
感想、ご意見、誤字脱字があれば報告お待ちしています。
機人族のひと出てきましたね。
今後もどこかででてくるとおもいますのでよろしくお願いします。
次回更新は土曜日20時までにしたいとおもいます。




