災禍の街 その1
第四章スタートします。
ーーーキィィンーーー
甲高い音が白く塗りつぶされた空間に響いた。
その空間には二人の人物が互いに向き合い座っていた。
「土門、異物は貴方を無事に通れましたか?」
「水門……相変わらずだな。 まだ通り人を試すようなことをしているのか?」
一人は女性型でもう一人は老齢の男性の様だ。
向かい合う二人の間には机が現れた。
「答えてください。土門」
「ふぅ…やれやれ……ああ…無事に通った」
「そうですか…どうですか? 貴方から見た異物は?」
「確かにあれは規格外だ。 魂の許容量がこの世界の者を超えている」
老齢の男性は頭を掻くような仕草で女性に告げた。
「ならば、かの者を打ち倒すこともできそうですか?」
「そうだな…次元の扉を自ら越えることができれば……だな」
「この世界のバランスは狂っています。 我らの希望はこの世界があるべき姿に戻ることです」
「今の世界は確かに歪だ。 だが珍しいな水門。 お前がそこまで人種に固執することは無かったと思うが」
女性は頭を垂れてつぶやいた。
「かの者はおそらく我らも凌ぐ力を身につけています。 かの者を打ち倒せるのは、この世界に生きるものだけです。 それにもし我らの庭も手にしたとなれば、一万年前のように重なる次元を招くようになるでしょう」
「そうか、お前は次元の連鎖崩壊を気にしているという事か」
「ええ…アレは避けるべき事態です」
男性は深いため息を吐きながら告げた。
「では我らも…できることを進めていくことにしよう。 あやつらは炎門に向かった」
「炎門ですか…また難儀な……」
「炎門は気位の高い奴だ。 おそらく試されることになるだろう」
二人の人物は互いに視線を合わせ頷くと消えた。
そして白い部屋には二人が座っていた椅子と机が残されていた。
ーーーキィィンーーー
白い空間は甲高い音を立てて消えていった。
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