偽りの神 その13
拳で語ろう
ライアが冷や汗を垂らしている近くではレイジィとアイドスが互いに手に握る魔剣を構え直し相対していた。
互いに激しい斬撃の繰り返しの中、レイジィが魔剣の柄を握りしめ真言を唱えた。
「輝け!星剣」
「ったく、なんだ!その剣は?」
「私も詳しくは知らん。 だが私の獲物であることに違いない…なぁ第三騎士団の剛腕アイドス殿?」
「はっはっはっ。 わしのことはバレておったか」
「ええ。その仮面を被っていてもバレバレですよ。 その大戦斧は有名ですからね」
「そうか。 まぁさして問題でもあるまい。 貴様を倒せば良いだけのことだからな…元第八騎士団のレイジィ・クレイ殿?」
アイドスが大戦斧を両手で構え直しレイジィを射抜くように見つめ告げた。
「なっ! なぜ私が第八騎士団のレイジィ・クレイだとわかった?」
「その構え、斬撃の受け流し方。 それだけ確かめれば嫌でもわかるぞ」
アイドスの言葉に動揺したレイジィは深く息を吐いた。
そしてレイジィは星剣を構え直した。
二人は微動だもせずに互いの隙を伺っていた。
ーーーギィィンーーー
そんな二人の間にライアの華麗な棒術で弾き飛ばされたアウロトの魔槍が突き刺さった。
「大切断」
「龍頭破断」
アイドスの大質量を誇る戦斧が渾身の力をこめて振り下ろされた。
それを逸らすかのようにレイジィが放ったのは一閃の斬撃。
「グォォォォォォ!!」
「負けるかぁぁぁぁぁ」
レイジィとアイドスの咆哮が響いた。
ちからを互いに緩めることなく魔剣に圧力が加わっていく。
「うぉぉぉぉ!」
「ああああぁぁぁl!」
ーーーバキィンーーー
アイドスの大戦斧にヒビが入り、レイジィの星剣が剣を貫いた。
そしてそのまま魔剣を振り上げアイドスに向けて振り下ろした。
「ちぃぃ!」
アイドスは嘘のように軽やかに後ろに飛び退きレイジィの技から逃げ切った。
「はっはっはっ。 中々やりよる!」
「お褒めに預かり光栄だ!」
「だが…これはどうかな」
アイドスは腰から籠手を取り出し装着した。
「ここからは拳とその魔剣で勝負と行こうじゃないかぁ」
「ふん。 武器も持たぬものに魔剣を使うなど騎士道に反する! 私も……」
「何を勘違いしてやがる? これはハンデだ!」
アイドスは指をくいくいっと曲げてかかってこいとばかりにレイジィを焚きつけた。
それを見たレイジィは星剣を納めて告げた。
「ハンデだと! それは私を侮辱する言葉だ! いいだろう……わたしも拳で語ろうではないか!!」
「ちっ戦闘狂が!」
「お前もなぁ」
こうしてアイドスとレイジィの第二幕が開かれた。
同じ頃、愛子はガルドスの魔鎌を相手に有効打を放てずにいた。
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