ダンジョン攻略 その4
風邪が悪化してなかなか治りません。
「私って、魔法使えないのぉぉぉ!」
―――のぉぉぉ…―――
通路に愛子の声が木霊した。
すると奥からカタカタ音を立てながら骸骨兵が現れた。
同じように剣を持ちゆっくりと愛子に向かってきた。
「ひぃぃ!また出た!」
愛子は、鞭を振り放った。
―――ガシャ―――
ボーンソルジャーはもろくも崩れ落ちた。
そして再生した。
「まぁたこれかぁ!」
それから愛子はひたすらボーンソルジャーの頭部を破壊して魔法石を取り出した。
すると奥からまた一体ボーンソルジャーが現れた。
愛子はボーンソルジャーを壊しながら通路を進んだ。
「はぁはぁ……どんだけ……いんのよコイツラ。それになんでこんなに長いのよ。この通路ぉ……」
愛子は通路を進みながら、つぶやいた。
「だいぶ、鞭の扱いになれたけど…しんどいわぁ」
愛子はボーンソルジャーと出くわしても傷を負うことなく倒せていた。
すべてボーンソルジャーの頭部に結晶石が収まっていた。
そして愛子はボーンソルジャーの頭部を優先的に破壊していた
―――ヒュン!―――ガシャン!!―――
「それぇ!」
子はロングウィップの軌跡をイメージして振り放なっていた。
「ある意味でレッスンよねこれ!鞭の!それにしてもこのダンジョンを、設計なり作成なりした人は相当、性格が悪いわ!!それに……なんかの試練みたいね。これ」
思わず愛子は愚痴をこぼしながら通路を歩いた。
そして通路の左右に小部屋の扉を発見した。
「これって扉よね。開くのかな?」
愛子は扉のノブを回した。
――キィィ――
部屋の扉が開いた、中は真っ暗だった。
おずおずと愛子は部屋に入った。
すると突如、愛子の身体が黒い粒子に包まれた。
「あっやばい!!はずれ部屋だコレ…」
愛子を包んだ黒い粒子は愛子と共に消えてしまった。
―――チュンチュン―――チチチッ!―――
愛子が恐る恐る目を開けると、そこは広場であった。
上を見上げると空があり、あきらかに外の景色だった。
「あれっここってさっきの草原の間でもなさそうだし…」
愛子の目の前には、石作りの建物が並んでいた。
その景色は愛子が元の世界でTVでみたヨーロッパの建物によく似ていた。
そこに人影が現れた。
「お嬢さん?どうしたんだい?」
愛子は振り返った。そしてそこには『青い肌と黒い角をもった男の人』が立っていた。
「あのう…貴方は魔人族よね?」
愛子は男に聞いた。
「そうだよ。僕は魔人族のアビスだよ。君と会ったことあったっけ?君みたいな美人なら覚えているはずなんだけどね」
「ちょっとアビス!なにしてんの?神人族の女ナンパしたらウィルがまた怒るよ?」
「くかかかか、アビスは本当に手癖がわるいんだな。」
「アビス、君ってやつは、何度僕が注意したと思うんだ!?君には愛しの奥方がいるだろ?どうしてまたウチの国の人をナンパしてるんだよ!」
「ふふふっ。ほぉら、ウィルが怒りはったえぇ。まったくぅアビスはんわぁ、カンニンができへんのやなぁ…」
「…それが…アビス…だよ…」
愛子の前でアビスと名乗った魔人族に話かけてきた。
それを見た愛子は眼が飛び出るほど驚いた。
『黒いメタリックな肌とひかる瞳をもつ者』
『毛におおわれた体と獣の耳をもつ者』
『薄いクリーム色の肌と金色の髪を持もつ者』
『体に鱗をもち、頭から2本の角が生えている者』
『木と一体化した四肢を持つ体と顔は人形のようにまったく動かない者』
「おうぅ!」
愛子は倒れそうになった。
「わぁ、また倒れそうだよ」
アビスが愛子を支えた。
「だっ大丈夫です。ここは?」
愛子が男の人に聞くと同時に、目の前のステージから言葉が聞こえてきた。
「、、、よって、、本日、われらが親愛なる六王の御一人、アビス様にお子様が誕生した」
「六王は誕生を祝い、すべての罪人はゆるされるとの恩赦をだされた」
「皆のものよろこぶと良い」
「しかも、税をひと月は徴集しないとの考えもだされた!! 」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「ワアアアアアアアアアアアアアアアア」
「親愛なる六王は偉大なりぃぃぃぃ」
「ワァァァァァ」
「どうやら僕の出番みたいだ」
その歓声を聞いたアビスは、愛子の手を握りステージまで歩いた。
愛子は一人置いてきぼりをくらったような表情で、一緒にステージまで歩いた。
そしてステージにアビスと一緒に上がった。
その隣にはさっきアビスを叱ってた神人族の男性が立っていた。
そして愛子の手の甲に指先で小さな魔法陣を描いた。
「貴女の人生に良き祝福があることを!! 」
そういうと神人族の男は、隣に立つメタリックな肌の機人族の女性に愛子の手を渡した。
愛子の手をとった機人族の女性は、愛子の手の甲に指先で小さな魔法陣を男性が付けた魔法陣の
隣に描いた。
「貴女の人生に祝福を!! 」
そう告げると愛子の手を、隣の獣耳と筋肉質の体をもつ獣人族の男性に手を渡した。
「カハハ。貴殿の生に祝福を!! 」
その獣人族の男性も愛子の手の甲に小さな魔法陣を描いた。
毛むくじゃらの顔からは表情がわからないが、シッポと耳がすっごく動いていた。
うれしさを感じていることは理解できた。
そして獣人族の男性の隣には、鱗を持った体の女性がいた。
「フフフッあなたさまの人生にぃ祝福を! 」
鱗の身体をもつ龍人族の女性は、愛子の手の甲に小さな魔法陣を描いた。
そして手を隣の人物に渡した。
「……貴女の人生に…よりよき祝福を…… 」
その女性はからだが木でできていた。
その女性も愛子の手の甲に小さな魔法陣を描いた。
そして服装は葉っぱが、ドレスのようで全身を覆っていた。
胸元に咲いているバラがブローチのように主張していた。
髪は蔦が伸び色とりどりの花が髪飾りのようになっていた。
「すごい、きれいだわ!」
愛子はその樹人族の女性をみて思わず声を出していた。
「…あっありがとう…」
そして愛子の手は、さらに隣の赤子を抱くアビスの手に渡された。
「貴女の生涯に良き祝福を!! 」
満面の笑みで赤子を抱いたアビスは赤子を神人族の男性に預けると、愛子の手の甲に小さな魔法陣を描いた。
そして6人が円形に魔法陣を手の甲に描き終わると、愛子の手の甲が光輝いていた。
愛子がステージから降ろされると、愛子の手には六つの印が浮き出ていた。
「これなんだろ…6つの印?」
そうつぶやくと人込みに愛子は広場の奥に流された。
そして木の近くに愛子はおしながされると愛子はまたもや黒い粒子につつまれた。
「えっなにっ!?」
愛子は消えた。
―――ヒィイイン―――
愛子が目を開けると先ほど愛子が開けた部屋の中だった。
薄暗く蜘蛛が巣を張っていた。
「えっなに、あの光景は幻だったのかな…」
愛子は思った。あの幸せな空気に包まれたに光景は幻だったのだろうか?と。
愛子が右手の甲をふと見るとそこには六つの印があった。
「やっぱり幻じゃなかったんだ…でもあれは一体?」
愛子は考えながら部屋を歩いた。
―――コツン―――
愛子の脚に小さなオルゴールが当たった。
「オルゴール?なんでこんなものがあるんだろう…まっいっか」
愛子はオルゴールを左のウエストポーチの袋にしまった。
―――キィィ―――
愛子は部屋をでた。
そして向かいの小部屋の扉を開けた。
―――カタカタ、カタカタ、カタカタ―――
そこにはボーンソルジャーのみなさんが居た。
カタカタ動くボーンソルジャーは隊列を組んで愛子に向かってきた。
「もう! ここにきて、またあんたたちの相手かぁ! 」
愛子は全力でボーンソルジャーの頭部を破壊し結晶石を採取した。
そして通路にもどった。
「ハァハァハァハァ、本当にあいつらは、骨だけに骨が折れるわ!!」
愛子は寒いギャグをつぶやきながら通路を先に進んだ。
そして一人で突っ込みを入れた。
「くそっ!言うてもうたやん!ギャグ言うても誰も突っ込めないのにぃ!」
いつも読んでいただいてありがとうございます。
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6人の王たちですが、今後もでてきます、
次回更新は 日曜日20時までに行いたいと思います。