偽りの神 その3
トゥエルブ・マキナの過去
トゥエルブ・マキナに案内されるまま愛子達は機都を歩いていた。
ルルカッタが先を歩くトゥエルブ・マキナに話しかけた。
「さっき聞いたことは、トウエルブ・マキナさんもご存知だったんですか?」
トゥエルブ・マキナは首を横に振りながらルルカッタに答えた。
「いや…初耳ですわ。 それに統一型演算機構は私も見たのは初めてですの……もしかしたらお母様、イレブン・マキナなら知っていたのかもしれないですけどね……」
「そういえば……貴女のお母様はどちらにいるん?」
ルイカがトゥエルブ・マキナを覗き込みながら尋ねた。
トゥエルブ・マキナは首を横に降って答えた。
「私の母は…イレブン・マキナは、五百年前に破壊され……死んだんです………」
「「「えっ!?」」」
愛子とルルカッタ達が揃って驚いた。
「あれは…私が(ワタクシ)にとって忘れることができない記憶です。 私が生まれて五百年ほど経った時でした」
「私に叔母上様が初めて稽古をつけてくれることになり、私は感激のあまり母に……イレブン・マキナに報告する為、バエルの街にある母の館に行きましたの」
トウエルブ・マキナは腰に装着している魔法銃を撫でながら話を続けた。
「私が館の扉を開けて、目にしたのは魔槍が体のあちこちに刺さって壁に磔になっている母の姿だったんです……」
トゥエルブ・マキナは腰の銃を手に取り話を続けた。
「母の手元には、この大口径魔法銃……マナカノンが落ちていました。……私は急いで母に突き刺さっている魔槍を抜きました……そして気がついたんです……母の頭が無いことに……」
トゥエルブ・マキナが銃をホルスターに戻して話を続けた。
「私は必死に探しました……そして母の頭が強い衝撃でバラバラに破壊されていることに気がついたのは、屋敷から連絡が行って駆けつけた叔母上…エクス・マキナが部屋に到着してからでした……」
「トゥエルブ・マキナさん…貴女は……」
「私は母を殺した人物を許す気はありませんわ。 もしあの魔槍を使うものと出会えたなら……私は私のモテる力全てで……」
トゥエルブ・マキナは瞳に殺意を込めて告げた。
「殺します」
トゥエルブ・マキナが、凍てつくような瞳で愛子を見つめた。
愛子はそんな彼女の決意を込めた瞳を見つめ、何も言うことができなかった。
そんな愛子を見てトゥエルブ・マキナが告げた。
「さぁ、今日は叔母上に言われた通り、この機都をご案内しますわね」
明るく振る舞うトゥエルブ・マキナは愛子達をいろんな場所へ案内した。
案内されたのは、外が砂漠というのがまるで嘘のような水族館、
機人によって電子化された大量の蔵書を仕舞い込む図書館、
最初に愛子達が戦ったコロッセオを彷彿とさせる武闘場、
魔法銃の練習にもってこいな射撃場などであった。
そして愛子達はその中の一角、冒険者ギルドへ案内された。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。 ご依頼はお済みですか?」
機人国のギルドは受付が人間ではなく機人が行なっていた。
機人に案内されるまま奥の部屋にトゥエルブ・マキナと共に愛子達は入っていった。
「あっ主人! 主人も依頼を受けにこちらに来られたんですか?」
「愛子殿もこのギルドに来られるとは奇遇ですね」
「もうロイエル様ぁ、こっちを見て欲しいんですぅ。 この依頼とかどうですぅ?」
冒険者ギルドにはレイジィ、ロイエル、アンジュルムが来ていた。
どうやら一緒に依頼を受けるつもりみたいだった
「三人はどうしてこの冒険者ギルドに来たの?」
「それは私が誘ったからだ。主人よ」
レイジィが愛子に告げたのは意外な言葉だった。
「私たちは貴女のクランに入ってからまともな戦闘訓練をしていないんだ。だから戦闘訓練の片手間にエンドアートで魔物を狩ろうと思ったんだ」
「我も同じだ。少しでも戦闘訓練をしようと考えてな。 それにアンジュルムから我がヲルフガング流決闘術を覚えたいと言われたのでな」
「そうですか。ではこうしましょう! 私を含むこの七人でサンドワームを狩りましょう」
トゥエルブ・マキナがギルドにあるコンソールを操作して一つの依頼を持ってきた。
それは大型の魔獣討伐依頼書だった。
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