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偽りの神 その1

エクス・マキナは玉座からゆっくりと歩きルルカッタの前に立った。


「まずはルルカッタくん。 君の質問に答えるぞ。 【ラプチャア】出ておいで」


ーーーキィィンーーー


「第六世代型統一演算機構【ラプチャア】起動します。 お呼びですか主人マイロード?」


「何者? ここがエクス・マキナの居城と知ってのことか?」


 玉座の間に響いた声にトゥエルブ・マキナが声を荒げ両足のホルスターから銃を抜いて構えた。

 その姿を見てエクス・マキナは笑いながらトゥエルブ・マキナの方を叩いた。


「落ち着くんだぞ、トゥエルブ。 【ラプチャア】統合体フィジロイを構成するんだ」


了承アイサー主人マイロード


 玉座の間の中心に霞のようなものが立ち込めるとそれは徐々に人型を成した。

 そしてゆるくウェーブのかかった桃色の髪とエクス・マキナによく似た顔をした統合体フィジロイが現れた。

 服装はエクス・マキナほど過激ではなく、どちらかといえばトゥエルブ・マキナのようなホルターネックのワンピースを纏い足元はピンヒールを履いたどちらかと言えばフォーマルに近い姿だった。


「ルルカッタくん。 これが機人国の保有する統一演算機構【ラプチャア】だぞ。 君は第五世代型統一演算機構【チャーム】を見たことがあるんだよね? どうだい似てはいないかい?」


 ルルカッタはラプチャアをじっくりと見た。

 姿、形は似てはいないが、醸し出す雰囲気がチャームに似ているとルルカッタは思った。


「そうですね。姿、形は似てないですけど……なんていうか……雰囲気はチャームによく似ています」


ルルカッタがそう答えるとラプチャアはルルカッタの手を取りブンブンと嬉しそうに振った。


「貴方は私の姉さん。チャームを知っているんですね? 雰囲気が似てるなんて言われるとすごく嬉しいです」


ラプチャアは嬉しそうに笑顔でルルカッタに告げた。

ルルカッタはラプチャアの言った一言が気になって問いただした。


「姉さんって?」


「ああ…私は第六世代型統一演算機構です。 だから統一演算機構シリーズの中では一番末っ子なんです。 それにチャームは、私の一番直近の姉なんです」


「というわけだ。 わかったかな?」


「わかるわけないでしょ!? マキナお願いちゃんと説明して」


「OKアイコさん。わかったんだぞ」


そしてエクス・マキナは語った。


「はるか昔、そう一万年くらい前かな……神人族の一人の天才が人工的な生命の創造という難題に挑んでいたことに始まるんだ」


カツカツとエンドアート城の玉座の間にエクス・マキナの足音が響いた

愛子たちは差し出された椅子に腰掛けた。

そしてエクス・マキナは王座の肘掛けにあるコンソールを叩いた。

愛子たちの前に長机が地面から現れその机の上にモニターが映し出された。


「その男は当時の神人族のコミュニティーで様々な発明を行なった。そしてこの世界はある時までは豊かになっていったんだぞ」


愛子たちの目の前にあるモニターに一つの絵画が映し出された。


「その男の名前はヴェルニカ・ウィルヘイム。 その当時では難しいとされた技術も彼は最も容易く作り上げた。その彼が生涯の命題として人工的な生命を生み出そうと考えたんだ。もちろんそんな彼を持ってしても人工の生命を生み出すのはとても難しいことだった」


エクス・マキナがさらにコンソールを叩き新たな絵画が映し出された。

それは天からの光が男に包まれている写実絵画だった。


「その天才はある日、一つの天啓を得た。 それは統一演算機構という頭脳と、それとは別の操る体を作るということで、人工的な生命の創造という難題に一つの答えを導き出した。 それが統一演算機構シリーズのことだぞ。 ちなみに最初の統一演算機構の名前をとって当時はグラマナスシリーズと呼ばれていたんだぞ」


「グラマナス!! それってグラマナス・サイコも関係しているの?」


 愛子はエレダンで戦った相手を思い出した。

 愛子を乗っ取り、ルルカッタを歯牙にかけようとした赤い結晶体のことを。


「グラマナス・サイコはおそらくだけど、私たちが封じた最初の統一演算機構……真・統一演算機構グラマナスが生み出して世界に配置していた複製体の一つじゃないかな?」


 愛子はエクス・マキナにエレダンでの出来事を話した。


「今いる統一演算機構は全て最初のグラマナスを基本ベース限定設計ダウングレードして作られたものなんだ。 だからグラマナスは全ての統一演算機構の母といってもいいかもしれない……」


 ルルカッタはエクス・マキナが告げた言葉を繰り返し頭で考えた。

 その上で一つの疑問をエクス・マキナに問いただした。


「その最初の統一演算機構なんですが……どうして封印しないといけなかったんですか?」


 エクス・マキナはルルカッタの問いかけに一瞬躊躇してルイカを見てから答えた。


「……それは私たち六王が何者で何と戦ったのかと言うことと関係しているんだ……」


「最初の統一演算機構が生み出されて、一千年たった頃……ある一つの魔法が生み出された。 多層次元強制召喚術ディメンジョンバルコリオンだ」


 一瞬ルルカッタはビクッとなった。

 その瞬間をエクス・マキナは見逃さなかった。

 そしてルルカッタの頭をポンポンと撫でると話を続けた。


「この魔法でこの世界は変わった。もともとこの世界には存在しなかった我ら機人、獣人、魔人、龍人、樹人、そして魔獣が一部の重なる次元ごとこの世界に召喚された。 当時の神人族は大混乱だったんだぞ。 なにせいきなり見たこともない種族がこの世界に召喚されたのだから……そして我らもいきなり見たこともない大地に一部のものだけが召喚されたんだぞ……」


 エクス・マキナは遠い昔を見ているようだった。


「私たちは召喚されてからは…この世界が元々いた世界でないことにすぐに気がついた。そこで機人族は、この世界を調べるためにManマン-Automaticmachineオートマチックマシン-Kineticキネティック-Interfaceインターフェイス-NAmbersナンバーズ 通称マキナシリーズが生まれたんだぞ。 ちなみに私はXisエクシーズ-Manマン-Automaticmachineオートマチックマシン-Kineticキネティック-Interfaceインターフェイス-NAmbersナンバーズ。つまり第十世代のマキナということでエクス・マキナという名前なんだぞ。トゥエルブは第十二世代のマキナということでトゥエルブ・マキナという名前なんだぞ。偉いんだぞ?」


 エクス・マキナが胸を張るように向きを変えて愛子の方に向いた。

 そして話の続きを話し始めた。


「そして私たちは出会い……戦争が起きた。もちろん話し合いをしようとした者もいたが……如何せん見た目が全種族違うんだ…すぐに諍いが種をかけた戦いへと変わっていった。 そしてその戦争は六種族を大きく疲弊させたんだ。 そして互いに血みどろの戦いが続く中、私たちはあることに気がついたんだぞ」


 エクス・マキナが神妙な顔で告げた言葉に愛子だけでなくルルカッタもルイカも驚きを隠せなかった。


「この種を賭けた戦いを先導した物…いや者がいたんだ。 それこそがヴェルニカ・ウィルヘイムだったんだぞ」


 そのエクス・マキナの説明を聞いていて一つの疑問が愛子に沸いた。


「ちょっと待って? そのヴェルニカ・ウィルヘイムは神人族よね? 神人族の寿命ってそんなに長いの?」


 それを聞いたエクス・マキナが答えた。


「いや。神人族の平均的な寿命は70年くらいだぞ」


「それならおかしいわよ。 だってそのヴェルニカ・ウィルヘイムは少なくとも二千年は生きたことになるわよ?」


 愛子が尋ねるとエクス・マキナは愛子を見つめて答えた。


「アイコさん。 有機体…炭素系生物も、珪素系生物も形あるものは、いづれ朽ち果てるのは自然の摂理だよ。 でもヴェルニカ・ウィルヘイムはその自然の摂理に叛逆した者なんだぞ」


 エクス・マキナはコンソールを叩き最初の絵画…男の絵にモニターを戻した。


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