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機人国潜入 その18

少しづつ機人国編も終わりに近づいていきます。

トゥエルブ・マキナは月夜を眺めながらルルカッタに告げた。


「それにな叔母上は長くは持たん。 如何に機人とはいえ、体の老朽化は避けられないわ」


「そんな……機人は体の交換ができるじゃないですか!? なぜわざわざ死を選ぶようなことを……」


トゥエルブ・マキナは目を細めてルルカッタを見つめた。


ワタクシにも分からないわ」


二人が立つ機人城に一陣の夜風が吹いた。

トゥエルブ・マキナはグラスを手に城の中に入っていった。


「僕が知らないことが、たくさんあります………父王様が見つけたあの【第五世代型統一演算機構】のことも……」


ルルカッタは月を見つめて改めて思った。

ーーー僕たちは知らなきゃいけないんだ。エクス・マキナがいなくなる前に必要なことをーーー

ルルカッタは少し肌寒さを感じて城のテラスから愛子たちが待つ王の部屋に入っていった。


ーーーチュンチュンーーー


 翌朝、愛子は機都マキナの宿で目を覚ました。


「あ〜よく寝たぁ。 あれっ? ルルくん、どうしたの? そんな真面目な顔して?」


愛子が寝ぼけ眼でルルカッタを見た。

ルルカッタの隣にはルイカもいた。


「アイコ様。 一緒にエクス・マキナ様の所にいきましょう。 僕はエクス・マキナ様に聞きたいことがあるんです。 父王が見つけた物のことを……」


「ウチもな、この世界がウチがおった世界のはるか未来ということはエクス・マキナ様の話でわかったけどな、父上様がウチに教えんかったことを知る必要があると思うんや……せやからウチはエクス・マキナ様に合わなあかんねん」


 ルルカッタとルイカが思いを愛子に告げた。

 愛子は頭をかいてから二人を見つめ答えた。


「よし。わかったわ。 今から私も用意するから一緒にエクス・マキナのところに行きましょう」


 愛子はそう告げるとベッドから勢いよく立ち上がった。

 そして着替えを済ませると、宿の一階で簡単な食事を食べて、エクス・マキナの居城であるエンドアート城に向かった。



同じ頃、クラン’仮面舞マスカレードダンス’がバエルの街に到着した。

このクランは総勢25名の冒険者が同じ半仮面ベネチアンマスクを付けているから仮面の騎士と言われるほどにまるで騎士のように統制がとられている冒険者のクランだった。


「ウィズ様、バエルの街に着きました。 これを打ってください。 一時的にですが魔法力マナを隠匿できます」


仮面の男スラインがウィズに長細い注射のようなものを渡した。

それを受け取ったウィズは戸惑うことなく右肩に刺して中の薬液を注入した。


「くっ……この感覚はなれんな……」


「仕方ありません。 今の我々は冒険者なのですから……」


そしてクランは古屋に入ると銀色の四角い結晶体に手を当てて名前を告げた。


「ウィズ・フィだ」


ウィズたちが偽名を名乗り全員の登録が済むと扉が開かれた。

そしてバエルの街に入るとクラン’仮面舞マスカレードダンス’は行動を開始した。


「この国にある神聖教義会がいう封印とやらを探し出し、破壊することが最需要任務です。 では五班に分かれて情報を集めてください。 副長は私と三日後に機都マキナで落ち合いましょう」


「わかりました。我が君」


「了解、姫様」


「了解です」


「了解」


ウィズの掛け声に四人の副長が答えた。

そして雑踏に紛れてウィズ、スライン、エモル、ライア、アイドスはビル群の中に消えた。



愛子たちは、足早にエンドアート城に現れた。


「私たち、エクス・マキナに会いたいんだけど。謁見は可能かしら?」


「しばらくお待ちください。確認を取りますので…この板に手をかざしてください」


ーーーピッーーー


 愛子が手をかざすとその板は魔法力マナを放ち手の平を覆った。


「アオヤマ・アイコさまですね。エクス・マキナ様よりお通しするように言われています。 どうか奥にある部屋にお入りください。 王の間に案内させていただきます」


 愛子たち三人は奥にある部屋の扉を開けて中に入った。


「……おう…アイアンマンがいっぱいだぁ……」


 奥の部屋には、機人とは違う金属で出来た人型のアイアンゴーレムが並んでいた。

 その内の一体が、無言で愛子たちの方に来ると手で来るように指示を出した。

 仕方なくアイアンゴーレムに従って後ろを三人は歩いた。


ーーーコンコンコンーーー


 アイアンゴーレムは扉をノックした。

 すると中からエクス・マキナの声が響いた。


「はーーい。 愛子さんたちだね。 入って入って〜! それに来るのはわかっていたんだぞ」


「失礼しま〜す。 あれ? トゥエルブ・マキナがいる」


「あっ本当や〜」


「ごきげんよう。アイコ様、ルイカ様、それにルルカッタ様」


トゥエルブ・マキナが不機嫌そうな顔で愛子たちに挨拶をした。


「もう…トゥエルブ…そういうのはだめだぞ」


「はい。叔母上様」


「でっ! 今日はどうしたんだい? まさか昨日の続きをしにきたのかい?」


エクス・マキナがにこやか笑顔で愛子に尋ねた。

愛子たちは神妙な面持ちでエクス・マキナに告げた。


「八千年前のことを教えて欲しいの。貴女たちが何と戦ってあの平和な世界を作ったのか。そして何を恐れていたのか…来たるべき時ってなに?」


「エクス・マキナ様……第五世代型統一演算機構ってご存知ですか? もし知っているなら教えてください」


「ウチもな父上様。アビス・ヨル・ヴィスタが六王と何と戦ったのか知らなあかん。ウチは何も知らずに生きてきた。 ヲルフガング様も、父上様のご友人で私に魔法を教えてくれたレイ・カグラ様も私にとって先生やった。父上の屋敷で六王の皆様が何をしていたのかウチも知らなあかんねん」


 エクス・マキナの表情が変わった。

 それは深い悲しみの表情だった。


「……うん……そうだね……君たち……特にルイカ嬢とアイコさんは知る権利がある。 それにルルカッタくん……君は第五世代型統一演算機構…チャームを知っているんだね……ならば君も知るべきだ。 私たちが何を恐れて、怯えて、封印したのかを」


 エクス・マキナは少し考えて隣に立っていたトゥエルブ・マキナにも声をかけた。


「トゥエルブ……君も聞いてくれ。 これは私だけじゃない。 機人の将来にも関係がある話だ」


 そしてエクス・マキナは白い玉座から立ち上がり瞳を閉じて自ら語り始めた。


「ことの起こりは、遥か昔……一人の天才がある想いを抱いたことにあるんだ……」

いつも読んでいただきありがとうございます。

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