機人国潜入 その15
トゥエルブ・マキナ登場。
白い光に満ちた空間から消えた愛子たちが次に目にしたのは、土色の壁に囲まれた部屋だった。
「ここは、またさっきとは違うわね? どこかの部屋?」
レイジィが周りを見渡してつぶやいた。
「土門の言を信じるならば……ここはバアルの街の一角……土門につながる結晶体のある所か」
ミッタマイヤが鼻を鳴らしながらレイジィの問いに答えた。
「あっあそこになんや扉があるで?」
ルイカが扉を引いて開けるとそこに上に上がるための階段があった。
「階段を上がらないとわかりませんね…」
ルルカッタが告げると愛子はルルカッタの手をとり階段登った。
登った先にはまた小さな扉があった。
愛子は扉を押しあけるとさじんが愛子たちに降りかかった。
「うっ!砂が目に入ったぁぁぁ!?」
愛子が目の痛みに悶絶した。
愛子の瞳は真っ赤だ。
「アイコ様大丈夫ですか?」
「もうなんなのよぉ……」
「仕方ないですよ。機人国は周囲を砂漠に囲まれている国なんです。ほら、あそこに見える城壁の奥に機人国はあるんです」
ルルカッタは奥にそびえたつ銀色の壁を指さして愛子に伝えた。
「機械って精密機器じゃないの?こんな砂まみれじゃ生活できないんじゃないのぉ?」
「それは……行けばわかりますよ」
そして愛子たちは銀色の壁に向けて歩き始めた。
愛子たちが壁に近づくと壁の前に小さな古屋が見えた。
「あれは…?」
「あれが機人国への入国審査ですよ」
そうルルカッタは伝えると古屋に愛子たちを誘導した。
そしてその中には宙に浮かぶ四角い銀色の箱があった。
「ようこそ機人国の最初の街バアルへ。 私に触れて名前を言ってください」
銀色の箱から出た音声が古屋に響いた。
愛子は銀色の箱を指さしてルルカッタに尋ねた。
「コレって?」
「僕たちの名前と魔法力を記録する為の装置みたいです。 それをしないとこの国には入れないんですよ」
「なるほどね。個人識別のための意味があるのね。では、アオヤマ・アイコ」
愛子は箱に手をかざして名前を告げた。
その直後、体にピリッと電気のようなものが走った。
「承認しました。次の方どうぞ」
そしてその場にいるクラン’ナイチンゲール’の全員が手をかざして名前を告げた。
その直後、奥にある鉄製の扉が開かれて部屋全体に風が吹きつけた。
「うわっぷ。風が強い!!」
愛子たちが扉を抜けると、そこは先程までの景色と一変した。
街並みは今まで愛子が見たものとは違い、さながら現代の都市群、ビルが立ち並んでいた。
そして外にあった砂漠と特有の渇いた風が吹くこともなく、都市の中は静寂に満ちていた。
その静寂の中、多くの機人が街にはいた。
「すごい!ビルがある。それに機人がいっぱいいる!」
「すごいですね。話には魔法学院で聞いていましたが、僕も機人国に入ったのは初めてです」
「なんやすごいなぁ、あんな高い建物なんて見たことないで」
「我らの時にも機人の集まりはあったが……コレほどの建物を立てている都市はなかったぞ」
ルルカッタたちが感想を互いに述べていると、道の奥から一体の機人が愛子たちの元に現れた。
「……あの、アオヤマ・アイコ様ですか?」
「はい。あなたは?」
「申し遅れました、私はこの街で市長をしている、トゥエルブ・マキナという者です。アオヤマ・アイコ様。ある方から伝言を預かっております」
「それって……!?」
トゥエルブ・マキナは愛子を見つめて告げた。
「はい、エクス・マキナからの伝言です」
「エクス・マキナ!!」
そしてトゥエルブ・マキナは愛子たちに手を差し出して告げた。
「皆様、よろしければ私の屋敷にきませんか? 機都にある私の屋敷へ」
トゥエルブ・マキナはニッコリと笑って愛子たちを見つめた。
「行くわ!みんなもついてきて!」
「はい!!」
「よろしい。では皆様をバアルの転移門で、我らが機都にご招待させていただきます」
そしてトゥエルブ・マキナに連れられて、愛子たちはバアルの転移門へとやってきた。
そこはバアルの中心にある施設だった。
「では、いきましょう。 機都へ」
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