機人国潜入 その14
バエルの街につきました。
眩い光に包まれた愛子たちが目を開けるとそこは水門によく似た結晶が浮かぶ白い部屋だった。
「これは?」
「……ここが先ほど言われていた転移門ですか?」
レイジィとケイトが愛子に尋ねると周囲に冷気が漂った。
ーーーキィィィンーーー
「六帝門、水門起動します。どちらへ行かれますか?」
澄んだ声が愛子たちの脳内に響いた。
「うぉぉ?なんだコレぇ?」
「ケインさん、なんですかこれ?」
「頭の中に声が聞こえるうぅ!!?」
「ふあぁぁぁ!?」
元第八騎士団のケインたちが驚きの表情で水門を見つめた。
「私たち総勢27名クラン’ナイチンゲール’を機人国の近くへ」
「了承。では現、機人国の首都、機都から2kmの地点にある六帝門、土門への転移設定を行います。転移シークエンス開始まで30セクト。座標設定完了。転移開始します」
愛子の目の前で水門結晶が輝くと周囲を白く塗りつぶした。
そして愛子の脳内にだけ澄んだ声が響いた。
「…行ってらっしゃい異物…」
「!? ちょっとあんた! 私のことわかってんじゃ……」
愛子は周囲を白く塗りつぶす光に包まれた
「ったく!あいつやっぱり私のことわかってたんじゃないの?」
愛子は小さな声でボヤきながら消えた。
ーーーキィィンーーー
「ここは?」
愛子たちが目を開けるとそこに土色の結晶が浮かんでいた。
「解、土門起動。水門より転移設定に伴う生命体27体の移動を確認。ようこそ土門へ」
今度は硬質な男性の声が、愛子たちの頭の中に響いた。
「うわ!これも頭に響くのかよ?それに真っ暗闇は俺苦手なんだよぉ」
「ケインさん!!ぉ…おっぱい握らないでください!!」
「おっさん!!どさくさに紛れてあたしたちに抱きつくな!!」
ーーーゴォォンーーー
二人の神人族の少女の拳がケインの顎に炸裂し綺麗に狐の字を描くようにケインは宙に舞った。
「ゲェフ」
ーーーグシャァァアーーー
ケインは地面と激しく衝突した。
「お…お前ら……いいぃパンチだったぜ」
なぜかケインは嬉しそうだと愛子は思った。
「それにしてもここは、地面がほんのり光っているんだけど薄暗いわね。明るくならないのかしら?」
「解。昭明調整の嘆願を確認。視野が開ける程度の光量に調整します」
愛子たちの地面が輝き、部屋の全体が見える程度の明るさになった。
そして愛子たちが見たのは壁面に彫られた大勢の人が、天にある何かと戦っている様を写したレリーフだった。
「コレは……」
「解。レリーフは八千年前の戦いを写したものです」
「八千年前の戦い?」
「解、六王と神の戦いです」
愛子はエレダンでの出来事を思い出した。
そして言葉を言おうとしたところで土門から尋ねられた。
「疑、あなた方はどちらに行かれますか?」
「我らは機人国に行くのだが」
ロイエルが答えると土門は光輝き愛子たちの頭に直接言葉を告げた。
「解。では機人国のバエルの街に転移いたします。そこからなら、こちらに転移することも可能です」
そして土門が眩しく輝き周りを白く塗りつぶした。
ーーーキィィンーーー
愛子たちの姿は、またもや光の中に消えたのだった。
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