機人国潜入 その11
愛子危機一髪(物理的に)
愛子が眩しさに目を閉じると聞き覚えのある声が聞こえた。
「アイコ様、アイコ様! しっかりしてください!!」
ルルカッタが愛子の服を引っ張り揺らしていた。
「あれ……此処は?」
愛子は周囲を見渡した。
そこには心配そうに愛子を見つめるルルカッタとルイカ、ロイエル、ミッタマイヤがいた。
「私、どうしたの? 結晶体は?」
「愛子殿、大事ないか? 転移するといきなり瞳を開いたまま立ち尽くしているから心配したぞ」
「せやで、アイコ。どんだけ揺らしても、顔叩いても反応せんから心配したで」
「次、動かなければ俺が、ヲルフガング流決闘術’風穴牙’を見舞いしようとしていたところだ」
カラカラと笑い顔でミッタマイヤが愛子に告げた。
愛子は顔を引き攣らせながら思った。
ーーー目が覚めてよかったぁぁーーー
危うく仲間の手で命を刈り取られるところだった。
「まっ…まぁとにかく心配かけたわね。ごめんね。ところで此処は?」
愛子は周りを見渡すと此処は白い部屋だった。
そして中心には水門とよく似た結晶が浮いていた。
愛子は思わず、ビクッとなってお腹をさすった。
それは、さっきまで戦っていた結晶体に変化する前の結晶とよく似ていたからだ。
「アイコ様、きっとあの結晶がチャームが言っていた物だと思いますよ」
ルルカッタは愛子の手をひいて結晶の前に立った。
そして愛子はオズオズと結晶に手をかざしてチャームが言っていた数字をつぶやいた。
ーーーキィィィンーーー
澄んだ音が室内に木霊した。
そして音声が全員の頭の中に響いた。
「…六帝門起動コード確認、水門起動します。 ようこそ、世界転移門へ、どちらに行かれますか?」
愛子は顔が引き攣って冷や汗をかいていた。
それは聞こえた音声が先ほどの結晶体と同じだったからだ。
そんな愛子の気持ちも知らずにロイエルが告げた。
「我らは、機人国に行かねばならないのだが、此処から行くことができるのか?」
「肯定します。機人国なら土門が最も近い転移先になりますがよろしいですか?」
頭に響いた音声がロイエルに答えた。
ロイエルが愛子に確認した。
「愛子殿、どうするこのまま行くか?それとも一度装備を整えてから行くか?」
「そうね。一旦、イゼルの街で装備を整えてからにしましょう。ニコラがクランの登録もしてくれると言っていたしね」
愛子がロイエルに答えると水門結晶が愛子に告げた。
「承知しました。ではまた移動するときにこちらにお越しください」
みんなの頭に響く音声が愛子に告げた。
そして愛子達は光に包まれその場から消えた。
「……またお待ちしていますよ。異物……」
愛子達が消えた白い部屋で水門結晶の音声が響いた。
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