機人国潜入 その9
愛子の腕にある魔道具に向けて話を続けた。
「チャームか…わかった、暫し待て」
皇帝ギンゲムが愛子に告げると、机にあるベルを鳴らした。
執務室にベルの音が響いた。
ーーーコンコン!ーーー
「失礼します。お呼びですか?ギンゲム様」
現れたのはヴィスタ帝国の城内でメイド長をしている、シイネ・ブリドールだった。
ギンゲムは威厳のある声でシイネに告げた。
「シイネよ。チャームはどこだ?すぐに此処に連れてこい!巫女殿が聞きたいことがあるそうだ」
「まぁ、アイコ様がですか?承知しました。今チャームは来賓室内の陶器の掃除と管理をしていますわ。すぐに代わりの者を差し向け、ここにチャームを呼びましょう」
シイネはギンゲムにそう伝えると即座に執務室からでて来賓室へと向かって歩いた。
途中でシイネは部下の女中にチャームと変わるように指示を出し自身はギンゲムのもとに戻った。
チャームが現れたのはそれからすぐだった。
ーーーコンコンーーー
「失礼します。お呼びですか?我が主人」
愛子の目の前にギンゲムの前にたつチャームが映し出された。
「うむ。巫女殿が、何やらお前に聞きたいことがあるということだ」
チャームはギンゲムの腕に向けて声をかけた。
「承知しました。アイコ様、水門についてのことでしょうか?」
「そうね…というか貴女!なんで私がそれを聞きたいと思うとわかったの?」
するとチャームは愛子にあることを告げた。
「愚問ですね。私は観測衛星【モテット】と接続しているんですよ?ということは貴女たちの足取りなんて私からすれば、確認すぐに出来るに決まっているじゃないですか…」
「……ということは」
「はい。イゼルの街に入ったことも観測済みです。ちなみに水門のことですが、今から結晶体の所に行けますか?以前教えた数字覚えていますか?」
「覚えているわよ。それをどうするの?」
「水門結晶に手を当てて告げてください。’限定承認にて水門稼働、水神殿への回廊接続’とそうすれば、神殿に転送されますから。そして転送先には同じような結晶体が有るはずです。そして結晶体に触れてください。そして私が伝えた数字を打ち込んでください。そうすればイゼルのダムにある神殿にたどり着けます」
チャームはそう告げると、頭を下げてギンゲムの魔道具から消えた。
「だそうだ。また何かあれば、我をいつでも頼るが良い」
ギンゲムが愛子に告げた。
そして愛子たちは水門結晶の前にやってきて告げた。
「限定承認にて水門稼働!、水神殿への回廊接続!」
ーーーキィィィンーーー
甲高い音が鳴り響くと愛子たちは光に包まれ消えた。
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