古の神殿 その10
透明感のある声が屋敷の一室に響いた。
「チャーム?」
愛子が聞き返した。
「はい。私は第五世代型統一演算機構【チャーム】です。 ここは私が第三種指定封印されてから八千六百年後ですね。 観測衛星【ミサ】との接続も切れています。 次点観測衛星【モテット】との接続開始を要求します」
聞きなれない言葉が続いた。
愛子は周りを見渡したが、皆、目が点になるばかりだった。
「えっと…チャーム…さん?」
「ハイなんでしょうか? ルイカ様」
「あなた、どこにいるの? なんで私の名前知っているの? それにアビス様って?」
ルイカはおずおずと宙にむけて尋ねた。
「ああっ! 失礼しました。 今から統合体を表出します」
声が響くと部屋の中央が淡く光った。
そして長髪の女性が姿を見せた。
「アビス様、ルイカ様。 チャーム顕現いたしました」
そう告げるとチャームは軽く会釈をした。
「さきほどの質問に回答いたします。 そちらにおられるあなたはアビス様ですね? 見た目と雰囲気が凶悪に変わっていたので驚きました」
ギンゲム王を指さしてチャームが告げた。
「俺は皇帝ギンゲム・ヨル・ヴィスタだ! 貴様の言うアビス神ではないぞ」
「あら? おかしいですね…貴方の魂色と体組成は98%の確率でアビス様とおなじなのですが…?」
チャームが困った顔をして首を傾げた。
「それよりココは何なの?」
愛子がチャームに尋ねるとチャームは愛子の手をとった。
「第一種機密事項に抵触するため、大まかにしかご説明できませんがよろしいですか?」
チャームは愛子に確認すると愛子はうなずいた。
「いいでしょう。 ココの名称は神殿……私の本体が設置されている場所です」
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