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古の神殿 その9

ついに100話です。

「なんで! ここに、この建物があるんですか? これは父上様と六王の皆様が、ある時まで使われていた屋敷です。 そもそも父上アビス様の城にこんな建物を隠す場所なんてなかったはずです」


 ルイカがギンゲムの服を掴み叫んでいた。

 悲痛な叫びにも似た哀愁を秘めた声だった。


「ふん。 それはな俺が知りたいくらいだ。 これは我が父、アドルフ・ヨル・ヴィスタが俺にだけ伝えたものだ。 だから俺もコレのことは何もしらん。 しかもコレの存在を知るのは今や俺だけだ」


「ギンゲム兄王様、アドルフ父様から聞いたというのは本当ですか?」


「ルルカッタよ、本当のことだ。 コレの存在は、ライラックやケイラも知らん」


 ギンゲムは思い出すかのように瞳を閉じてルルカッタに答えた。


「アドルフ父様が知っている場所と言うことは、ルドルフおじい様も知っているはずでは?」


「ルルカッタよ。違うのだ。これは代々受け継がれたものではない……父王様が発見したものなんだ。 だからおじい様はこの場所や先ほどの半円状のトンネル…設置型遮蔽転移門パルバラゲートの存在は知らないのだ」


「それにあの秘密主義の父王だぞ。 魂職スキル心眼師メトラーというのもずっと隠していたし、急死したものだから王位継承でどれだけ困ったか……」


「ギンゲム兄王様、僕は今はじめて父王様のスキルを知りましたが…ではこれは父王様がわざと隠しておられたということですね」


 ルルカッタがギンゲムに尋ねた。


「そうだ。この場所を開く真言マントラは父王が亡くなる寸前に俺だけに話したものだ……もう一つの願い事と共にな」


「なんですか、その願いというのは?」


「それはな、いつかこの場所に古代の姫が現れる。このアイテムと一緒に、この場所に連れてこいと言う物だ」


 そしてギンゲムが取り出したのは一つの魔道具。

 ルイカは、それを見て驚きの声を上げた。


「これは…タイルウォーの一つやん!」


「タイルウォー? なんですかそれは?」


 ルルカッタはルイカに尋ねた。


「これはな、私が父上から教えてもらった遊戯の一つや…ただおかしいで、コレ」


「おかしい? なにがおかしいのですか?」


 ルイカは赤い玉を六個とり告げた。


「相手の駒が無いんや…あるのは代わりに六個の赤い玉や。 これでは対戦ができないはず…」


 ギンゲムはルイカに声をかけた。


「おまえ、ちょっとこっちにこい。 もしかするとその遊戯を使う場所があるかもしれん」


「えっちょっと! 引っ張らんといて」


 ギンゲムはルイカの腕を引っ張り、屋敷の中にある奥の部屋に連れてきた。


「その赤い玉は六個だったな…この部屋の中央をみてみろ」


 ルイカが見ると中央に四角い石があった。

 そしてその上には、六個のくぼみがあった。


「そのくぼみに嵌めて見ろ。 俺の時には何も起きなかったが…アドルフ王が言ったのは古代の姫だ」


「わかった。 私がしてみるわ」


 ルイカが赤い玉を並べた。


「…なにも起きないやん…もしかしてこれも並べるのかな?」


―――パチパチパチ―――


 王の駒を六個ならべ、その周囲に盾の駒、騎士の駒、魔法使いの駒、歩兵の駒、砲兵の駒を置いた


―――キィィィンン――――


 直後、赤い玉と並べた駒が光輝いた。


「これは、こんな現象が起きるとは…」


 そして館に透明感のある女性の声が響いた。


―――血族確認ブラッドライン封印解除アンロック作業開始プログラムスタート―――


 タイルウォーがはめ込まれた石板が動き始めた。


「これは、なんだ! 何が起きているんだ?」


―――機構再起動確認、システム【チャーム】起動します――――


「おかえりなさいませ。アビス様、ルイカ様」

いつも読んでくださりありがとうござます。

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