Ⅵ 異国の地
「ん・・・。」
微かな鳥の鳴き声目を覚ました。
ベットから部屋を見ればまだ薄暗くまだ明け方頃なのが分かる。
また眠る気にもなれず、体を起こしベランダへ向かった。
カーテンを開け、扉を開けて出る。
空を見上げれば日が昇り始めているからか地球では絶対見れないような綺麗な沢山の星々が薄れ始めていて大小の大きさの違う青白いまん丸のお月さま沈もうとしていた。
はあ・・・とため息が出る。
森であの男の人に出会ってから何日が経ったのか分からないけど、もうここが私の知っている地球ではないことは明らかだった。
今の所どうやら丁重に扱われているようで身の危険が及ぶような事は起こっていない。
でも言葉が通じない以上彼らが何を考えているか分からないしこれから何が起こるかもわからない。
しかも私の体の中に得体のしれないものが渦巻いている感じがしてどうも落ち着かない。
目線を下げ両手を見れば未だに黒い布の下から淡く光っている。
そしておそらくこの手からは何らかの力が働いている。
前にこの部屋で目覚めた時に、この手を見たあの男の人は手から火を出していて見様見真似でやってみたら、顔を歪めるは部屋が霜で覆われるは散々だった。
物語で出てくる魔法という物がここでは存在し私に備わっているのだとしたら・・・。
魔法でなかったとしもそれに似た何かである事には間違いないのだろう。
でなければあの時起こった事の説明がつかないのだから。
しかも後日、目が覚めて鏡を見てみればどこにでも居る様な黒髪と瞳の色が変わっていた。
どちらにしろここではあまりにも私は無知すぎる。
どうやら身の回りの世話をしてくれている深緑色のメイドの様な女の人は言葉が分かる図ともとても優しくしてくれる。
この部屋には沢山の本があるからあの人に言えばせめて呼んでくれるかもしれないし、上手くいけば読み書きを教われるだろう。
ふとあの白銀の髪をした不愛想の男の人の姿が浮かんだ。
未だに何者かもわからない彼の姿が何故思い出したのかは分からなかった。
部屋で目覚めた時、ベットの側に座る彼と彼のすぐ後ろに控えるもう一人の彼が居た時は内心驚いた。
2人のやり取りやよく見たら瞳の色が違っていたとかするあたり、双子なのかもしれない。
この部屋で会った事以来、双子の彼らやこの黒いのを手渡された彼もここに来る事はなかった。
未だこのベランダまでしか出ていない私にとって彼らが出入りしている扉の先がとどうなっているのかは分からない。
でも時々、眠っている時に誰かが側に居る事を感じる時がある。
眠っている私自身それが誰なのか確かめようがない。
けれど、確証なんて無いけれどそれがあの不愛想の男の人の様な気がして仕方がなかった。
どれくらいここにいたのだろう。
いつの間にか外はだいぶ明るくなっていた。
そろそろ彼女が来る頃かな・・・
そう思っていると後ろからノック音が響いた。