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あの空に近づきたくて  作者: 巳椿によ
第一章
2/10

Ⅱ 森

小鳥の鳴き声


草花の香りと感触


(まぶた)ごしに感じる光




  生き、てる・・・?

  あの高さの崖から落ちたのに

  まさか本当に転生したの?

  いや、それだったら今までの記憶はないはずだし

 「ん・・・」

少し重い瞼をゆっくりと開ける。

身体に重さは感じないのにうまく動かない。


何度かゆっくりと瞬きを繰り返しているうちにぼやけていた視界もしっかりした物に映り、脳へと伝達された。

  森・・・?

  最初に私が居た所も森ではあったが、どことなく雰囲気が違う気が

最初にいた森も木々が生い茂って少し薄暗くて蝉の声が五月蠅かったがここは木がたくさんあるけれど薄暗くもないし蝉の音も聞こえない。

どちらかというと静かな感じだ。


だいぶ体の感覚が戻り、ゆっくりと上半身を起こしそのまま立ち上がる。

どうやら仰向けで倒れていたようだが大きな怪我は無かったが何故か綱渡りをしているかのように体がふらついたが何とか立ち上がり、改めて周りを見渡した。

  やっぱり、ここは明るい

それに周りを見渡して気づいたが、私はかなり高い崖からから落ちてきたにもかかわらずその崖がどこにも見当たらない。

  考えれるとしたら、私はあの状況でまだ生きていて昏睡状態になっていてその中で見ている夢に過ぎないとか

  どこか打ち所が悪くてただそう見えているだけとか

  はたまた、


  異世界に来てしまった、とか


それこそ夢物語と思うかもしれないが気を失う前の記憶が記憶なだけにそう思わずにもいられないし、もしこれが夢だとしたらあまりにも現実味を帯びている。

木々の隙間から漏れる日の光に、頬を撫でる温かな風、草や花の甘い香り、あまりにもリアルだ。

とりあえず、このまま突っ立って考えていても仕方がない。

  日はまだ高いようだし、この辺りだけでも歩いてみようか

そう思って足を前に出した瞬間、

 「わっ!?」

ドサッという音とともに転んだ。

しかも地味に痛い

  なんで私転んでるの?

そもそも今のが転んだという表現もおかしい気がする。

確かに私は歩こうとして足を前に出した。

そしたら転んでいたのだ。

  訳が分からない

もう一度立ち上がり足を上げた。



ドサ・・・


 「・・・・・・・・・」


やっぱり訳が分からない

普段通りに歩こうとしているだけなのになぜか転ぶのだ。

しかし今のであることに気が付いた。

足を上げた瞬間、体が浮いたのだ。

つまりはこうゆうことなのだろう。歩こうとしていた私の体は妙に浮いたことによって歩く(..)から着地する(....)に変換できずその衝撃で倒れてしまった。

しかもあの浮いた感じはジャンプをした時と似た感覚がある。

あまりにも自分が可笑しなことを言っているのは分かっているだけど実際にそう感じたのだ。

 「・・・・ん。」

だとすると試してみることは一つ、その場ジャンプ。

立ち上がり短く息を吐いた。

そして今度は両足を曲げ軽く真上にジャンプした。

 「わっ!!わっ!!」


跳んだ。

軽くジャンプしただけで、それこそ30cmくらい上がるくらいの力しか込めていないのに私の体はゆうに2メートルくらいは高く上がった。

着地は今度はしっかりと両足で着地する事が出きた。

2メートルくらい高く上がったにもかかわらず着地した時の足の負担は全くなかった。


これらのことから考えれるとすると、込めた力の大きさ(.....)跳んだ高さ(.....)ではない。という事になる。


自分で自分の言っていることが分からない。

今までごくごく普通の女子高生だったはずだ。

ましてやこんな羽のように軽かったはずもない。

それこそ地球の重力どうした?ってなってしまう。

  それとも本当に異世界に来てしまったのか・・・

どっちにしろ歩けなかったら意味がない。

  せめてゆっくりでも歩けるようにならないと・・・

深呼吸をしそっと足を出して一歩。

続けて反対の足も同じようにそっと出しそれを繰り返す。

ほとんどすり足状態だが何とか前にに進むことはできた。

今までの力加減とだいぶ変わるから慣れるのに少しかかるかもしれないがなんとなく感じがつかめてきたような気もする。


 「うーん・・・」

だんだん足元を見なくても進むことはできるようになってきたので、少し足に力を込めてみれば案の定さっきよりも歩幅が広がる。

そのまま立ち止まらずに一歩、一歩前に進む。

まるで跳ねるかのように進む体になんだかんだ楽しんでいる自分。

今まで味わったことのないこの感覚に珍しく興奮しているようだ。




どれくらいこの森を歩き回ったか分からないが、さすがに疲れた。

例え進む感覚が今までと比例していなかったとしても元々あまり運動をしていなかった自分がこれだけ歩き回れば疲労も出てるるだろう。

それにこの間にだいぶ力加減も分かってきた。

その証拠に今までと同じように歩くことができるまでできたのだ。

  どこかに椅子みたいに座れるものがあれば・・・

そう思い、歩くスピードを落としあたりを見渡すと視界の隅に湖が見えた。


距離としては5mちょっとぐらいだろうか。

今まだの私なら遠いと感じている距離だろうが、今ならあっという間にあそこまで着けるだろう。

 「・・・っし、行くか。」

少し疲労感のある体を奮い立たせ、さっきよりも強く足を踏み出した。





タン・・・


 「ふぅ、到着っと。」

  あの距離でだいたい2歩半ってところか


  きれい・・・


改めて湖の方を見てみれば来た時よりも明らかに傾いた太陽の光に当たってキラキラと輝いていた。

湖と言っても大して大きくない。ゆっくり歩いても数分で一周できてしまうだろう。おそらく深さもそんなに無いんだろう。

近くに折れた太い木を見つけそこに腰掛けた。

落ちてから大分経っているのか所々苔が生え所々朽ちて崩れているところがある。

休憩するだけならば十分な大きさだ。



ただじっと小さな湖を見つめる。

  これからどうしようか

歩き回っているときにここが私のいた森とは完全に違うということは分かった。

だがそれ以外何も分からない。

そもそもなんで生きているのか。

なんでここにいるのか。

ここがどこなのか。

もし本当にここが異世界で何らかの拍子にこの世界に来てしまったとしてどうやって生きていけばいいのだろう。

この世界のことは何も分からない。

帰ろうにもその帰り方さえ分からない。

  たとえ帰ったとしてもあそこに私の居場所なんてないのだからある意味変わらないか


 「・・・~♪、♪♪~~♪~」


  なんでこのメロディーが思い浮かんだのだろう・・・

歌詞もあった気がするが思い出せなくて、メロディーだけが強く残っていてそれを鼻歌で歌っている。

理由なんて分からない。

気が付いたらそのメロディーが流れてきて歌っていたのだから。



パキッ

 「っ!?」

突然後方から聞こえた音に驚いて勢い良く立ち上がり後ろを振り向いた。

少し離れた木の陰、日の沈み始めた森からはだんだんと来た時の明るさはなくなり始め木の陰にいる何かを知るには暗くて分からなかった。

でもさっきまでいなかった何かが居るのは確かだった。

例え熊やオオカミなどの獰猛な動物だったとしても今の足だったら確実にまくことができる。

その為には襲い掛かる前に飛びのいて素早く逃げる必要がある。

物陰の正体が分からない今、十分警戒しておくにこしたことはない。


 「&*%%・・・。」


出てきたのは、なんと人間だった。

それも男性で年齢は20代前半っていうところだろうか。

白銀の髪が光に当たってキラキラと光っている。

外国人のように顔の彫が深く、スッと通った鼻筋に少し眉間にしわよせ切れ長に目から澄んだ金色の瞳でが覗いてる。

スラっと伸びた手足に高身長。

かるく180cmはあるだろう。

かなりのイケメン。

こんな人が学校に居たら確実に学校中から黄色い感性を受けたたはずだ。

でもその表情は険しくて明らかに警戒しているのが分かる。

だがコスプレですかと問いたくなるようなその服装には少し、いやかなり驚いた。

中世ヨーロッパのような服装を身にまとっていた。

  騎士、なのか?

赤や金を基調とした騎士のような服装にだが、豪華さが出ていてまるで王様のようにも見える。

  王冠をしていないから分からないけど、それよりも腰にかかっている剣はまさか本物じゃないよね?

  でも明らかに模造刀にも見えないんですけど

熊とかが出てこなかったことには安堵はしたものの完全に安心はできないこの騎士?さん。

しかもさっきから私に向かって何やら話しかけているみたいだが全く言葉が分からない。

英語でもなさそうだし他の国の言葉なのだろうか、そもそもここが私の知っている地球なのかさえ怪しい今地球上の言葉であるとも限らない。

全く言葉を発しない私に向こうも怪しんでいるのか眉間にしわを寄せている。


 「#%$&・・・?」

 「あの・・・何を言っているのか分からないのですが」

何かを聞いてきた拍子にそう伝えると私が反応した事に驚いているのか分からないが、表情が一変したのは分かった。

そして何かを考えているかのように急に黙り込んでしまった騎士さん

騎士さんの表情も幾分和らいでそこまで警戒心を向けなくなったからもしかしたら言葉が通じていない事を気づいたのかもしれない。

だからと言って私も向こうも完全に警戒心は解けない。

なんであれ森の中で他人と対峙しているのだから。

 「#$*・・・?」

ふと、顔を上げたと思ったら何かを言ってきたがやっぱり何を言っているか分からない。

それを伝えるかのように首を傾げれば、それが伝わったのか困ったような表情を見せた。

見せたといってもさっきからほとんど表情を変えないからあくまで多分と付け加えるしかないけど。

 「&%$$#。」

また何かを言って身振り手振り何かを伝えようをしている。

その手の動きに見入って自身の両手を重ねたと思ったら開いた瞬間、その手の中に花があった(.....)のだ。

しかもよく見るとその花は違うもの(....)でできていた。

角ばっていてなのに光に当たるとキラキラと光る、鉱石の様なもが花の形になっていた。

だが何もなかった手から突然花が出てきた事の方が驚いてしまった。

  マジックでもしたのだろうか、それとも魔法!?

何が起こったのか分からずじっとその花を見ていたら、手に乗せたその花をこちらに差し伸べてきた。

その行動に驚き、手と騎士さんの顔を交互に何度も見たら、またどうぞとでも言うように伸ばした手を揺らした。

なぜそんなことをするのか分からず動けずにいたらふと騎士さんの腰にある剣に目が行った。

それに気が付いたのか彼も同じように視線を下げると何を思ったのか、あろうことか腰につけてあった剣を鞘ごと抜き取り少し離れた所に投げ捨てた。

 「!?」

その行動に驚き、顔を見ればさっきと変わらずこちらに手を伸ばしていた。


チラッと剣の方に視線を向ければほんの1mくらいの距離に落ちている。

いざとなれば、跳んで騎士さんよりも早く取る事も可能かもしれないが今まで剣なんて触った事が無い私に一発本番でしかももし本物の騎士だった場合、例え剣を持っていたとしても勝てるわけがない。

そうなると逃げるのが得策となる。

だがここまでする人が本当に何か企んでいるのだろうか・・・?



カサ・・・

意を決して一歩近づいた。

微かに騎士さんの眼が細められた気もするがその表情からは何を思っているのかわからなかった。

少しずつ近づき、手を伸ばせば花が届く位置まで来た。

その間、騎士さんからは何の動きも見せなかった。

そっと手を伸ばし、鉱石の様なものでできた花を掴んだ時に微かに騎士さんの手に触れたその瞬間、その手を伝って体中に静電気の様な電流が走った。

 「っ!!??」

予想だにしなかったその衝撃に驚き、考える暇もなくその場に倒れた。

意識が消えかかる中、騎士さんが驚きに満ちた表情で必死に私に話しかけているのが見えそこで意識が完全に切れた。




目覚めたと思ったら、また気を失ちゃった主人公・・・

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