Ⅰ さよなら
さわ・・・・
夏の生暖かい風が木の葉揺らし音を奏でた。
視界いっぱいに広がる青葉とその真ん中から広がる真っ青の青空。
きれい・・・
そんな景色がだんだんと遠のいていていく中、こんな状況であるにもかかわらずそう思った。
自然と伸ばされる私の手。
それが重力のよってなのか自分の意志なのかは分からない。
私、もうすぐ死ぬんだ
足を踏み外したのかはたまた突き落とされたのか、今まさに落ちている私にはもうどうでもいい
微かに痛みを感じる
もしかしたらどこか怪我をしたのかもしれない
でもそれさえもどうでもいい
だってもうすぐ死ぬんだから
ただ見えるのは、日の光によってキラキラ輝く木の葉と雲一つない真っ青の空
ただ聞こえるのは、五月蠅いばかりの蝉の音
ただ香るのは、木の葉や草花の独特の香り
ただ味るのは、かすかな鉄の味
ただ触れるのは、重力に逆らおうともがく制服
私はもうすぐ死ぬ
未練なんてない
あぁ、でも
もし転生でも何でもいいからまた生きるチャンスを与えてもらえる事が出来たのなら
このきれいな空に近づきたい
(よカろう・・・)
手に取っていただきありがとうございます。
処女作なので温かい目で見て行ってもらえたら幸いです。
さっそく主人公死にました