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第48話 王子殿下の婚約者

 会場に流れる音楽がバイオリンのソロに変わった。サスペンスを煽るようなヒステリックな音色。それが私の焦りをかきたてる。


 あたりを探すが、頼りになりそうな人物――具体的にはグリー様はいなかった。警備の騎士たちもいない。マルグレーテさえも見つからない。


「ちょっと、アンタ!」


 仕方なく、声をかけたのは一番頼りにならない人物であった。若いお花に囲まれたキラキラ美男子、アレン王子だ。


「早く来て!」


 と、花畑の中から引っ張り出す。


「――ダンスの誘いにしては強引すぎるんじゃないかな?」


「あいつ見て、あいつ」


 無視して、不審者の若い男性を示す。焦っているのでつい地が出てしまう。


「ふうむ。あれは……ダンスパートナーを探しに来たようには見えないね」


 さすがにアレン王子にも事態の緊急性が伝わったようだった。


「彼の視線の先にいる姫君、わかるかい?」


 男が先ほどからにらみつけているのは――それこそ花のような華奢なお姫様であった。貴族の娘にしても、マルグレーテとは正反対のタイプとでもいえばわかるだろうか。


「あれはボリキュース公爵家のご令嬢ミーリアン殿。わかりやすくいうと、ヴェルリア王家の次に大きな一族の王女殿下だね」


 つまりはスーパーVIPなお姫様。


「――まずいじゃない!」


「まずいかもしれないね」


「騒ぎになる前に止めるわよ!」


「大丈夫。ぼくが壁になって止めるから、君はここで待っていてくれ」


 アレン王子は迂回して二人の間に出る気のようだった。しかし、私もこんなところで座して待つ気はない。〈忍び足〉でゆっくりと後ろから男に近づく。バイオリンがどんどん盛り上がってくる。このBGM、うるさいから止めてくれないかな。


 男は可憐なお姫様からけして目を離そうとしなかった。額に汗が光り、手が震えている。その手が内ポケットに吸い込まれる。胸の四角いなにかを取ろうとしている!


 早くしないとやばい! 王子はなにをやってるの!?


 男はそのなにかを取り出した。もう間に合わない。


「ていっ!」


 仕方なく私は男のケツを蹴り飛ばした。ドレスの裾を持ち上げて大サービスだ。


「おっと」


 つんのめった男を受け止めたのは――アレン王子だった。ようやく登場してくれたのだ。男の手から四角いものがこぼれ落ちる。箱である。開いたふたから見えるものは、とても小さくて銀に輝いている。


 これは……指輪?


 指輪の入った箱?


 それを見てアレン王子は彼にしては珍しく顔をしかめた。


「……男性からのプロポーズはちょっと」




「つまり――あなたはミーリアン嬢に結婚を申し込みたいってわけね」


「はい……」


 舞踏会会場の片隅。私とアレン王子は、しょげかえった男性を取り囲んでいた。彼はフランツくんと名乗った。騎士だというから私の先輩であり、アレン王子の部下なのだろうか。


 事情を尋ねたところ、フランツくんはボリキュース公爵家のミーリアン嬢にプロポーズするつもりで、チャンスをうかがっていたのだという。燕尾服の胸に秘めた四角いものはむろんのこと、エンゲージリングの入った箱である。そんな状況なら、不審人物になるほど緊張するのもわかるんだけど、お騒がせ過ぎるよね(※騒いだ側の感想です)。


「……それでプロポーズの勝算はあるわけ?」


「ミーリアン嬢は大貴族の姫君だからね。そう簡単じゃないと思うよ」


「はあ、実はミーリアンとは幼なじみでして――」


 ふーむ、呼び捨てにできるような幼なじみキャラなのか。


「将来を誓い合った仲なのです」


「プロポーズ成立してるじゃない」


 ミーリアンルート確定であった。いや、ミーリアン嬢がフランツくんを攻略したのかもしれないが。


「いえ、正式に結婚を申し込んだわけではありませんし、その……」


「どうしたのよ」


「ミーリアンは他の男性と婚約してしまったのです」


「あら、大変」


 というか、ジ・エンドである。ぐずぐずしているあいだに、他の男に取られてしまったのだ。幼なじみって最近のゲームやアニメでは、流行らないからなあ。ここからの一発大逆転は容易ではない。


「それが最近、婚約解消ということになりまして」


 あっさり逆転した!


「ミーリアンも婚約には本意ではなかったのです。しかし、相手はなにぶん相手が相手ですから断ることもできず……」


「そこから、どうやってミラクル達成したの?」


「どうもミーリアンに恋人――つまり私がいることが先方に伝わったようなのです。そこまでして婚約する必要はないと先方から断ってくれました」


 へー、まさか、そんな都合のいい展開になるとはね。不幸な人が出ないでよかったよかった。でも……


「そんな話、最近聞いたような気がするんだけど」


「偶然か、ぼくも聞いた気がする」


 アレン王子が相づちを打つ。


「ちなみにミーリアン嬢の婚約者だったのはどこのどいつ?」


「それが……王家のアレン殿下なんです」


「ああそう。アレン殿下ね」


「なんだ、ぼくだったのか」


 私たちは互いに笑いあった。


「ミーリアン嬢って前に王妃陛下から聞いた名前だったものね。そうかそうか王子と婚約してたのか――って、あんたじゃないの!」


「ぐべっ!?」


 思わず肘をアレン王子の腹に叩き込んでいた。


「えっ、アレン殿下!? なぜここに……えっ!?」


 フランツくんはそもそも目の前にいるのがアレン王子であることに気づかないくらいテンパっていたようだった。そしてさらに混乱の度合いを増していく。


「なんの因果か、面白いことになってしまったようね」


「は、はあ……」


「仕方ない……。フランツくんに協力するわよ」


「えっ!? いやそこまでして頂く義理は……」


「それが、あるのよ」


 乗りかかった船であった。というか途中で積み荷を入れ替えてしまったのが私のようなものである。船が目的地に無事到着するかどうか見届ける義務くらいはあるだろう。どうかこの船が沈みませんように。


「いや、でも……」


 ぐずくずしてるんじゃない。おら、出航だ!


             ■


「ミーリアン様」


 声をかけると、周囲の姫君たちと談笑していた一段と美しい姫君が顔を上げる。


「失礼、こちらへどうぞ」


 軽く一礼して手を伸ばすと、姫君は素直に手を取った。きょとんとした顔である。私が手を引いて連れていった先――そこには、エリスランド公国王位継承権第一位、アレン・ヴェルリア殿下がいる。


「えっ……」


 なぜ? とその顔がこわばる。


 ミーリアン嬢にとって、アレン王子は不幸の象徴なのかもしれない。なぜなら恋人との仲を引き裂いた張本人だからだ。


 しかしアレン王子は一歩引いて一礼し、今日の主役を紹介する。王子の背中から出てきた若き騎士、フランツくんであった。


「えっ……」


 再び姫君は絶句したようである。


 二人は固まったように正対し――


 呆然と見つめ合い――


 時が止まったかのように――


「早くひざまづいて!」


 私は小声でフランツくんを叱咤する。


 フランツくんは膝を突き、指輪のケースを差し出した。なお……ふたは開いていない。単なる小さな箱である。姫君に箱を献上しようとする謎の騎士の姿がここにあった。気を利かしたアレン王子がケースを開けてくれる。


「――結婚して下さい」


 というのは私の台詞である。いつまで経ってもフランツくんが固まったままだから耳打ちしたのである。ちなみにミーリアン嬢もずっと目を見開いて静止状態である。おまえら、テンパり過ぎだ。


「け、結婚してください」


 ようやくフランツくんがその重要な言葉を口にした。その返事は――


「お受けします」


 今度はミーリアン嬢の耳にささやく。早く答えてあげて! ちゃんと自分たちだけで始末つけてよ!


「お、王家……!?」


 王家じゃない!


「お受けします、って言うの!」


「お、おうけします……」


 ミーリアン嬢はようやくそうつぶやく。


 瞬間、会場内に万雷の拍手が響いた。バイオリンのソロが終わり、ソリストが喝采を浴びているのだ。


 ちなみに二人のプロポーズ劇に注目していたのは、たまたま近くで見ていたおじいちゃん貴族が一人だけだった。


「おお、よかったのぉ」


 と、ぷるぷる震えながら感涙しているようだ。


 えーと、これで作戦終了ってことでいいのかな? フランツくんもミーリアン嬢もまだ彫像のように動かないけど。まだ肝心の指輪をはめてないんだですけど。本当はプロポーズ受けたくなかったとかないよね? フランツくん単なるストーカーだったりしないよね?


 えーと……


「………………」


 逃げちゃえ。もうあとは二人の話だ!


 私は素早く群衆に紛れる。


 すると、握手を求められている少年の姿が見えた。バイオリンを持っているということは、先ほど臨場感のあるBGMを提供してくれたソリストであろう。


 いかにも音楽家然とした繊細そうな男の子だ。色素が薄くて、病弱そうで、押したら倒れそう。どうやら有名人であるようだが……


 知り合いだ、あれ。


 ヨハンくんである。プリムのパーティーの一人だ。このあいだ、一緒に冒険もしたのだが、そのときはほとんど話さなかった。


「ヨハンくん」


 声をかけると、彼は楽団の女性にバイオリンを手渡してこちらのほうに来た。どうやら、演奏で疲れ切っていたところ貴族たちの握手攻めにあって困っていたらしい。人をだしに使って脱出するつもりか。周囲も「リリーさんに呼ばれたなら仕方ないな」的な反応になってるのがなんともはや。


「ヨハンくんって、バイオリニストだったのね」


「ピアノもやるし、指揮者でもあるよ」


 私の前に出たヨハンくんは、興味なさそうにそんなことをさらりと言ってのける。生意気な天才音楽家と言ったところか。


「えーと……ぼくと踊る?」


「なにそのいかにも適当な申し込み方は」


「別に踊りたくないけど、こうするのが礼儀なのかと思って……」


「失礼ね」


 それなら強引にでも踊ってやろう。私はヨハンくんの手を取った。細い指。これが音楽家の指か。これを折ったら、取り返しがつかないことになるんだろうなと思うと、ちょっとした背徳感を覚える。


「目が怖いんだけど」


「大丈夫よ、マルグレーテがその辺にいるから」


 いくらでも回復できる。


「前々から思ってたけど、馬鹿だよね、きみは」


 なかなかにはっきりと言われた。


「舞踏会なのに音楽がないんだけど、どうなってるの?」


「踊る人がいれば勝手に始まるさ」


 ヨハンくんの手を引いてホールの中央に出ると、たしかに音楽が始まった。ゆったりとした曲。私の初めてのダンス相手はヨハンくんだ!


「スローダンスだと手の持ち方が全然違うと思うけどね」


 ほとんど身体を寄せ合って揺れているだけである。


「疲れてるし、踊りたくなんかなかったんだけどな」


「これは嫌がったあなたへの罰よ」


「そんな人だと思ったよ」


 ヨハンくんはため息をつく。


「一度あなたとちゃんと話をして見たかったの。新キャラだからね」


「新キャラ?」


「知らない子には興味が出るってこと。あなたはどんな子なの?」


「特に話すようなことはないね」


「バイオリン上手いの?」


「今月末にコンクールがあるけど、ぼくが優勝するだろうね」


「慢心すんな」


「単なる事実さ」


 繊細ではかなげだけど、強気で生意気。こういうキャラは一般的な女子たちに受けるのかな?


「騎士としての訓練があるのに、バイオリンの練習なんてしてる暇あるわけ?」


「こっそりやってるよ。チェス湖のほうに誰も来ない穴場があってね」


 ふーん、じゃあ、ゲームならその光景を目撃するのが最初のイベントになりそうだね。湖のほとりでバイオリンを弾いている美少年とか神秘的じゃないか。その消え入りそうな姿に、ヒロインは妖精かなにかと見間違えたりしてね。


「音楽やってるのに、なんで騎士の学校に入ったの? あ、わかった、貴族の親にむりやり入学させられたパターンね」


「うちの両親は音楽家。ほら、そこにいるよ。タクト振ってるのがうちの父で、コンマス……第一バイオリンが母だ」


「あらそうなの? じゃあ、音楽一家じゃない」


「ぼくがお願いしてエリスランド学園に入れさせてもらったのさ。逆に親には止められたんだ。怪我でもしたら弾けなくなるからね」


「ああ……」


 そういうストーリー展開ありそう。大切なところで指を怪我して演奏できなくなってしまうのである。あとは心因性の理由で指が動かなくなったりとかもあるよね。


「ただでさえぼくは身体が弱いから、両親はずっと心配してる」


 ヨハンくんはうつむいた。


 彼の身体が弱いというのは単なるシナリオ上の設定ではなく、ゲームシステム上で再現されている。具体的には〔スタミナ〕が最大で75にしかならないのだ。疲れやすいとでも考えればいいだろうか。


 先の冒険の間、パーティーのリーダーであるプリムは、ずっとヨハンくんの調子を気にしていた。気にしてないふりを装うのだが、ヨハンくんにはバレバレだったようだ。


「本当はコンクールなんて出たくないんだ。この夏は冒険でもして過ごしたかった。ぼくは騎士になりたい」


 病弱な音楽家のくせになんで騎士を志すのか。それは寝込んでるときに聞かされた騎士物語にあこがれて……とかそんな感じの過去設定ですね。わかります。


 これってヨハンシナリオの中盤くらいに聞かされるであろう話だよなあ。フラグも立ってないのに、シナリオだけ進んでしまっている。これはバッドエンドへの一本道! みなさんは好感度上げて、必須イベントフラグ立ててから進めてくださいね!


「リリーは冒険に行ったそうだね。ぼくも連れていってくれたらよかったのに」


 うらやましそうに言うのだった。


「……冒険に行きたかったの?」


「まあね」


「じゃあ早く言いなさいよ! 私はずっとメンバー探してたのよ! もうなんなの!」


「えっ……」


 いきなり怒鳴りつけられて、ヨハンくんはびっくりした顔になっていた。


「つまりさあ……アンタ、本当は騎士になりたいけど、親には言えないとかそんなところでしょ」


「ま、まあ、そういうことかな」


「テンプレね」


「てんぷれ……?」


 ――激しい駄目シナリオの予感! 駄目シナリオの予感がする!


 これ、たぶん、騎士になりたいと両親にはっきり言って認められるとかそういうストーリー展開になるよね。最後には、ヒロインと夜の学校で一緒にピアノ弾くなんてスチル(イベントCG)が入ってさ……


 つまんなそう!


 なぜかというと、全部、彼の心の中でストーリーが進むことになるからだ。ヒロイン視点だとわかりづらいし、盛り上がりそうなポイントがない。


 こりゃ、アレンシナリオと同じライターが書いたものだな。スタッフの中に一人だけいるのだ、つまらないシナリオ書くライターが。


 ちなみに、『乙女の聖騎士』で一番出来がいいのはレインくんルートの話かな。一見地味なレインくんが人気なのは、シナリオの出来に寄るところが大きい。


「ヨハンくんが騎士になりたいのはわかった。でも才能があるっていうのなら、音楽と両立しなさいよ。ご両親が可哀想でしょ」


「えっ? でも、それだと中途半端に……」


 それでヨハンくんは迷ってるのだろう。でも――


「そりゃ、あなたのスケジュール管理が下手なだけでしょ」


「スケジュール……?」


「騎士候補生をやりながら、音楽のステータスも伸ばせばいいだけの話じゃないの。どうせこのゲーム、バランス甘いんだから、〔スタミナ〕が最大で75とか、縛りプレイにしても楽勝。やれば簡単にできるわよ。今月末のコンクールにはちゃんと出ること。それから、冒険に行くからそっちにもついてきなさい。わかった?」


「…………」


「はい、は?」


「は、はい」


「わかったら、ほらもっとバイオリンの練習してきなさい。踊ってる暇なんてないわよ」


 私はヨハンくんをドンと突き飛ばす。ほい、さよならー。


 これにてヨハンシナリオ終了! 音楽も騎士も両立するスケジュールやりくりエンドである。一曲踊ってるあいだにクリアだ。興味がある人は自分でハッピーエンド目指してみてね。


 私は晴れ晴れとした顔で中央のホールを離れる。


 すると。不機嫌そうなの顔が見えた。別に見たくなかった顔が。


「なんであんなのと踊ってるんだ」


 正装が似合わない小柄な男子は――金髪くんであった。まさかマルグレーテと一緒に冒険から戻ってきていたのか。


「こんなところでどうしたの?」


「いいから、こっちに来い!」


 と、私は手を引かれる。ホールの中央に出ようとしているのだ。


「まさか……、私と踊りたいとか言わないわよね」


「踊ってやると言ってるんだ」


「本当に馬鹿ねぇ……」


 なんで急にダンスなのだ。アホでわがままな幼稚園児を相手にしているような気分になってくる。


「あのさあ……。レディをダンスに誘いたいなら、もっと真摯な態度で真剣に臨まないとダメでしょ。そんなんじゃ、一生、だれにも相手にされないわよ?」


「なっ!?」


 金髪くんは顔を赤くした。いつものように怒るのかと思ったら……


「わかった」


 と、衣装をただし、急に私の前にひざまづいたのである。


「騎士候補生、ディレーネ・ヴェルリアです。リリー嬢、ぜひ私と一曲おつきあい下さい」


 まるで騎士のようにそんなことを言うのだった。突然のことに私は面食らってしまい、


「つつしんでお断りいたしますわ」


 スカートを広げて軽く一礼。


「なんでだよ!」


「いや真面目に誘われたら、真面目に断らないとダメだし……」


「断るな!」


「だって、意に沿わない殿方と踊りたくないし……」


 私はグリー様のものだし……


「じゃあ、あいつは意に沿ったのかよ!」


「ヨハンくんは私と踊りたがってなかったから罰ゲーム」


「なんで罰ゲームで踊ってるんだよ!」


 それは失礼な相手へのいやがらせであるからだ。


「――私が目を離した隙に何回騒ぎを起こしているの?」


 と、そこにやってきたのはマルグレーテだった。


「義理の従兄弟のしつけまで万全とはさすがね」


 王妃陛下まで一緒についてくる。近くにはヴァツラフ国王とアレン王子までいるから、王家勢揃いである。


「ちょうどいいわ。このあたりで発表しましょう」


「……なにをです?」


「あなたと息子の関係をよ」


 息子? アレン王子と私の関係……?


 奥様が会場の中央に歩み出て軽く手を上げると音楽がやんだ。ダンスをしていた人たちも引っ込んでいく。


「お集まりのみなさま、お手を止めてこちらに。王家の継承に関する重大な発表を行います」


 そんな呼びかけをする必要はなかった。すでに貴族たちはお妃様に注目している。


「我が息子にして王位継承者、アレン王子とリリー嬢の婚約をここに宣言いたします」


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