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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ウィリアムバトラーの十字架
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事前情報・ウィリアムバトラー

「それじゃ、適当にブリーフィングすんぞ」

3回戦開始前。

ブローウィングの4人は選手待機室で円を描くように椅子に座る。

演習場として使われているのはステラソフィア機甲科の外れにある森林地帯。

今、ブローウィングとウィリアムバトラーの2組は、それぞれの試合開始を待ち別の場所で準備をしているところだ。

ワシミヤ・ツバサがSIDパッドにチーム・ウィリアムバトラーのデータを表示しながら口を開いた。

「相手のウィリアムバトラーは全体的にバランスが良い。いうなれば特徴が無いのが特徴みたいなチームだな」

中近距離兵装を持つ軽量型格闘騎PS-R4ラファエルをベースにした装騎イニスフリーを操るリーダーのロバーツ・ミカエラ。

近接格闘能力を上げたPS-A4アブディエルをベースにした装騎ファーガスを操るアタッカーのエール・カトレーン。

リーダー騎と同じく中近距離兵装のPS-M-A3アズラエルをベースにした装騎マクブライドを操るミドルアタッカーのモード・ヘレネ。

「1年のリサデル・コン・イヴァの装騎は未確認だが、チームに合わせて配属されるしベーシックな装騎、だとは思う」

「PS-M-A3アズラエル、PS-R4ラファエルの魔術仕様騎……ヘレネさんは魔術適性者なんですね」

「元魔術大国のマギア領出身ですしねぇ。ウチよりも適性が高いB級なのですわ」

「厄介ですね……」

「それに気を付けないといけないのは、ウィリアムバトラーが得意とする時間差攻撃……時の十字架(ルード・オブ・タイム)だな」

「ルード・オブ・タイム?」

「4体の装騎で相手のチームを取り囲みながら時間差攻撃でジワジワと削っていく――っつーいやらしいヤツだよ」

相手を包囲するというのは多数戦闘の基本とも言える。

加えて、ウィリアムバトラーの戦法が脅威となるのは、ミカエラの指示による突破の難しさとタイミングのいやらしさ。

そんないやらしさの習得がウィリアムバトラーに所属する者の習得必須科目だと揶揄される程度にはいやらしいとか。

「そんで、アタシらのチームだが……マッハちゃんが勝手に飛び出していくのは止められない。確定事項だ。それは相手も知ってるだろう」

「マハに任せやがるんですよ!」

「本当はちゃんと命令を聞いて欲しいんだが……まぁ、ここでマッハちゃんを囮にして敵を撃破するパターンと、マッハちゃんと一緒に突っ込んで行って一点突破する手があるが」

「マッハ先輩にはやっぱり、魔術適性者のヘレネ先輩を当ててきますよね」

「魔術騎は魔力障壁とかもあって防御力が高いからな。壁としてうってつけだ。さて、どうするスズメちゃん?」

「ええっ!? わ、私ですか――――!!??」

「スズメちゃんもデュエルゲームとかやってたんだろ? だったら少しは案とか無いかなーって」

「デュエルゲームは狭いフィールドでやるゲームですし、1対1なんでこういうのとは、ちょっと……」

「まぁ、知ってた」

「ちょ、先輩っ!」

「だったらいつも通りでいいんですよっ!」

「ふふ、結局そうなるのですわね」

「いつもの――――?」

やる気まんまんに拳を振り上げるマッハに、ニコニコと笑みを見せるチャイカに、ツバサは「そうだな」と大きく頷く。

そして、首をかしげるスズメの肩にバシンと手を置くと言った。

「プランA、ガンガン行こうぜ!!」

「それって作戦プランなんですかァ!?」

結果的にマッハに続いてウィリアムバトラーを一点突破する方向で話は決まったらしかった。

「アタシら結構本番に強いタイプだから大丈夫だって!!」

「ほ、本当に大丈夫なのかなぁ……」

多少の不安を抱えながらも、それぞれはそれぞれの装騎へと乗り込み、試合の開始を待つ。

「それでは始まります。Bブロック3回戦!!」

舞台の上でミウラ・リタがマイクを手に持ち声を上げる。

「心の奥に響く波音。チーム・ウィリアムバトラー!」

4年ロバーツ・ミカエラとその装騎イニスフリー。

3年エール・カトレーンとその装騎ファーガス。

2年モード・ヘレネとその装騎マクブライド。

そして、1年リサデル・コン・イヴァとその装騎ゴア=ブース。

「あれは――PS-Me2メタトロン? ううん、違う。小さすぎる」

イヴァ自身が好きだと語っていたPS-Me2メタトロン。

彼女が乗る装騎はその姿によく似ていた。

しかし、メタトロンよりも細身でドレスアーマーも機動性が確保できるように丈が短い。

「何だ、あの機甲装騎……スズメちゃんと同じ新型か?」

ツバサもあの装騎に心当たりが無いらしい。

会場からの歓声も、一段と強く上がっている――やはり、新型か。

特に特徴的なのは背中に背負った筒状の物体。

分解された巨砲のようにも見えるソレは、異様な迫力を持っていた。

「対するは、追風一杯、順風満帆! チーム・ブローウィング!!」

4年ワシミヤ・ツバサとその装騎スーパーセル。

3年テレシコワ・チャイカとその装騎スネグーラチカ。

2年カスアリウス・マッハとその装騎チリペッパー。

1年サエズリ・スズメとその装騎スパロー。

スズメとスパローの姿が映されたその瞬間、更に人々の熱が上がる。

「う、うわぁ……す、すっごい見られてる…………」

モニター越しの人々の視線を感じてしまい、スズメの体を緊張が走る。

「両チーム、未知の実力を持った一年とその装騎による活躍が期待できるBブロック3回戦――! 開始ィ!!」


オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑

挿絵(By みてみん)

4年:チーム・ウィリアムバトラー所属

名前:Roberts Michaela

読み:ロバーツ・ミカエラ

生年月日:聖歴149年6月13日

年齢:18歳(4月1日現在)

出身地:マルクト国シナイ市

身長:160cm

体重:58kg

使用装騎:PS-R4S:Innisfree(ベース騎PS-R4:Raphael)

好みの武器:10mm銃剣標準装備型アサルトライフル

ポジション:リーダー・ミドルアタッカー

私立イェイツ学園出身。

仲間を引っ張るリーダー力を認められステラソフィアに自己推薦入学。

趣味は毎朝の100マス計算。

個人的な声のイメージは白石涼子さん。

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