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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
シーサイドランデブーとプリティーキュートの実地戦
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EATROJECTION

『rrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!』

咆哮を上げるディープワン。

「――――来る!?」

一瞬身構えるバルバラだが、どういう訳かディープワンはバルバラ隊を無視しツンベルギア・マイの装騎パフュームに襲い掛かった。

「何っ!?」

ディープワンの拳と、装騎パフュームの超振動鉈イフリータがぶつかり合う。

ギギギギギギッギギギギ

激しい音を火花を散らす装騎パフュームの超振動鉈イフリートとディープワンの拳。

「マジャリナ騎を無視してコッチに来た――――!?」

「そういえば、前にバーチャルスターとブローウィングがディープワンと遭遇した時もロメニア騎と協力しているように戦っていたって……」

「と、言うことは――このディープワンはマジャリナの仲間と言うことですか……?」

「分からない、けど……そういう可能性は十分あるわね」

一方、バルバラ隊の間にも困惑した様子が見られた。

「ディープワン――――もしかして、増援が、コレ?」

「そう――みたいです。ディープワンの援護をします?」

アネスカの言葉にバルバラは頷く。

「でも――装騎にダメージがあるズィズィ、クラリカは退却して――」

「退却ですか!?」

「クラリカまだ行けます!」

「隊長命令――――」

「――――諒解です」

「隊長……ご無事で――――!」

「アネスカ――」

「はい! 行きましょう、隊長!!」

退却したズィズィ騎とクラリカ騎を見送ると、バルバラ騎とアネスカ騎は電動式連弩砲を構えてプリティーキュートへと向けて斉射した。

そんな銃弾の雨を物ともせずに、ディープワンへと突っ込む装騎が一騎。

「マイ先輩! 助太刀するぜい!!」

装騎パフュームと拳をぶつけ合い、動きが止まったディープワン。

その隙を狙って、フィゴウル・ミーシアの装騎カンプファがモルゲンシュテルンを叩き付ける。

高速回転を始め、ディープワンのボディを削ろうとするモルゲンシュテルン――だが、

「効かない、だと!?」

ガズガズガズガズ

モルゲンシュテルンが奏でるのは、ディープワンの表面をなぞる様な音。

有効打が与えられているようでは全く無い。

「マインが撃つぅー!!!!」

「私も援護するわ!」

エスポワール・マインの装騎カプリスが18mm長砲身を、ハンフリィ・アイデンティの装騎ダンプティが成形炸薬ロケットカノン・アイを構え、装騎パフューム越しにディープワンに狙いを定める。

「ちょっと待ってくださ――――」

「せーのっ、ファイアフライ・フェノメノン!!!」

瞬間、装騎ダンプティのロケットカノン・アイと、装騎カプリスのファイアフライ・フェノメノンが発射された。

「クッソぉ――!」

咄嗟に回避する装騎パフューム。

「メチャクチャな――――っ」

「うっそ、何ですかコレ!?」

バルバラとアネスカも、ファイアフライ・フェノメノンの流れ弾を回避しようとする。

そして――爆炎が巻き上がった。

「やったかな――?」

「! マインちゃん危ないわ!」

ゴゥウン!!

爆炎をかき飛ばすよな勢いで、突如として両手に超振動鉈を持ったディープワンが装騎カプリスに向かって跳びかかってきた。

そんな装騎カプリスを庇った装騎ダンプティ。

その胴体をディープワンが超振動鉈で一閃した。

「あれは――――イフリータ? マイちゃん!?」

「だから待ってと言ったんです――!」

「そういえば報告にあったわね――――魔力による浸食固定……その所為で」

「はい――武装を、奪われてしまいました……」

「マルクト騎を倒せるチャンス――――」

「ええ、隊長、やりましょう!」

そんなスキを見て、超振動ナギナタを装備したバルバラ騎、超振動ソードに持ち替えたアネスカ騎が装騎パフュームへと襲い掛かる。

「マイ先輩!」

そんな装騎パフュームに、装騎カンプファがモルゲンシュテルンを投げ渡す。

そして、切りかかってきたアネスカ騎の斬撃をモルゲンシュテルンで受け止めた。

その隙を狙って閃くバルバラ騎の超振動ナギナタ。

それをマイは左手を使って刃先を逸らし回避する。

「アイ先輩、ライフル借りるぜ!」

「ええ――!」

装騎カンプファは装騎ダンプティの手からロケットカノン・アイを取り、構えるとディープワンに向けて撃ち放つ。

『gggggggggggggggg!!!!!』

飛翔した成形炸薬ロケットは、身を防ごうとしたディープワンの右腕に突き刺さる。

その瞬間、圧倒的な爆発力でディープワンの内部から右腕を破壊する。

「お、どーやらコイツ、成形炸薬弾には弱いみたいだぞォ」

「確か、情報だと魔電霊子アズル武器にも弱いんだっけ」

マインはそう言うと、装騎カプリスを怯むディープワンに向かって突撃。

「いっけぇ!!!」

その胸部に装備された拡散霊子砲ミニフレアにエネルギーを溜めこみ――照射から即座に離脱。

至近距離で放たれたとはいえ、火力は低めに設定されてる霊子砲ミニフレア。

ディープワンの全身を焼き付けただけでディープワンに決定打となる一撃は与えられなかった。

だが、そのダメージは相当のもののようだった。

全身をボロボロにしながら『rr……』と呻くような声が漏れる。

「ミーシャ先輩! もー1回!」

「ああ、モチロンさ! 今度は左腕でも頂くかァ!?」

再びロケットカノン・アイを構えた装騎カンプファ。

その一撃が放たれた時――――

「何だと!?」

「ええー」

「――斬」

装騎パフュームと戦っていたバルバラ騎がディープワンの前に立ちはだかり、成形炸薬ロケットを切断した。

その瞬間だ――――

「え――――?」

ディープワンの左腕が、バルバラ騎の胸部を貫いた。

「何ですって!?」

「仲間じゃなかったのか?」

「うわぁすごーい! 1撃だぁ!!」

だが、それだけではなかった。

『grrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr』

奇妙な声を上げたかと思う、ディープワンの頭部が横に割れ、まるで口のように開かれる。

そして――――

「た、隊長!? バルバラ隊長――――!!!???」

「食べてる――――!?」

「ディープワンが、装騎を!!??」

「マヂかー……」

「美味しいのかな……?」

ガギッバギバギッグワシャッ!!!!

激しい音を立てながら、装騎を貪るディープワン。

強固なセラドニウム装甲を物ともせずに、自身の内へと取り込む。

バルバラ騎からは、アズルの青い輝きが飛沫のように飛び散り、その中枢から僅かに紅い滴が漏れ出してくる。

「うわぁあぁあああああああああああああああああ、隊長ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

そんなディープワンに向かって、アネスカ騎が超振動ブレードを手に切りかかる。

だが、そんなアネスカ騎をディープワンは殴打。

一撃でそのコックピットを潰し、撃破。

そして、バルバラ騎の残骸を残し、動きを止めたアネスカ騎へと跳ぶように移ると、今度はアネスカ騎を貪り始める。

「アレは!? 装騎を食べてる――――!!??」

「ヤツらは受けたダメージを周囲にある物質を取り込むことで補修するのよ」

「クイーンちゃん!」

「アイデンティ! 貴女、やられたの――!?」

「それより――隣の黒いベロボーグ、は……」

「今は味方よ安心しなさい。それより――――」

装騎ラプソディは右手のハンマートゥフォールを構え、装騎チェルノボーグがワイヤーを構える。

「良いかしら? ディープワンの弱点は肩甲骨の間よ。そこから中枢を破壊すれば機能は停止するわ」

「肩甲骨の間――では、そこを狙えば」

「そうよ。無事な装騎は援護をして頂戴――念のため、誰かアイデンティを後方まで連れて行ってくれないかしら?」

「マインは戦うー!」

「オ、オレだって戦えるさ! ほ、本当だぞ!? 嘘じゃないぞ!?」

「……ミーシアちゃん、アイ先輩を連れて退却してください」

「え!? 良いの!!?? やった――じゃなくて、エースのオレがいなくて大丈夫なのかぁ~?」

「時間が惜しいわ。良いから下がりなさい」

「へーい……マイ先輩! ロケットカノンは渡しておくぜ!」

「ええ、有難うございますミーシアちゃん」

「では、行きましょうアルジュビェタ!」

「そうねー。アルジュビェタ、参戦!!」

未だにアネスカ騎を貪るディープワンに対して、装騎ラプソディと装騎チェルノボーグが2手に分かれ駆け寄る。

「マインちゃん、ロケットカノンを使ってください!」

「マイ先輩はー?」

「あのベロボーグのナギナタを使います――!」

それは、先に食われたバルバラ騎のナギナタを手にし、装騎ラプソディと装騎チェルノボーグの後に続いた。

「いくわよ――――!」

装騎ラプソディが右腕にボムを設置すると、ハンマートゥフォールをディープワンへと叩き付けた。

ゴゥウォォオオオオオン!!!

激しく吹く爆風と熱量。

『gggggggggggg!!!!』

その一撃に、ディープワンは食事を邪魔され怒ったかのように咆哮を上げた。

「チェーンブレードはさっきの戦いで壊してしまったし――どうしようかしら」

「武器が無いときは相手の武器を奪う――基本よ」

「なるほどね」

そして、装騎チェルノボーグがディープワンの全身にワイヤーを巻き付ける。

「!! ――コイツ、侵蝕型ね……!」

「侵蝕型――?」

「触れたものを取り込もうとするタイプのディープワンよ。武器やパーツくらいなら良いけど――もし騎使まで取り込まれたら――――」

「アルジュビェタ、危ないわ!」

『gggggwwwhhhhhhhhhhhhhhh!!!!』

全身にワイヤーを巻き付かれたディープワンが癇癪を起すように全身を振り乱す。

「クイーン先輩! 助太刀しますよ!!」

「マイちゃんお願い!」

そこへ、超振動ナギナタを構え、ディープワンへと突撃する装騎パフューム。

装騎パフュームは、激しく体を揺するディープワンのボディへとその刃先を突き立てる。

「クッ、狙い通りでは無いか――――!」

「いいえ、その隙があれば――――」

装騎ラプソディはアネスカ騎が握っていた超振動ソードを奪い取ると、そのままディープワンの背後へ取り付き、その背後に超振動ソードを突き刺した。

「クッ――やっぱり、刺さらない!」

「クイーン、右腕を!」

「分かってるわ!! ハンマートゥフォール!!!」

そして、その超振動ソードへと右腕を振り下ろす――――だが、

ゴゥオオオン!!!

激しい爆炎と共に、装騎ラプソディの右腕が吹き飛ぶ。

「しまった――使い過ぎたわ!!」

今までの使用が重なり、ハンマートゥフォールの衝撃で右腕は破壊され、その所為でディープワンへと有効なダメージを与えることが出来なかった。

「ダメージが――浅いよ!」

「アルジュビェタ――何か手は――――!」

「クイーン先輩、まだです! マインちゃん!!」

「りょーかい!!!」

何かを察した装騎ラプソディと装騎チェルノボーグが力を籠め、暴れるディープワンを抑えつける。

それと一緒に、装騎パフュームもディープワンを必至に抑え、狙いが合うのを待つ。

「10、9、8――――」

狙撃用の支援照準を覗き込みながら、マインが静かにカウントをする。

「6、5、4、ゼロ!!!」

刹那、発射された成形炸薬ロケット。

その一撃は――――

『ggggggggggg!!!!!!!!!!!!!!!!!』

的確にディープワンの背中に命中、その中へと爆発力を注ぎ込む。

「そして、トドメだ!」

そこへ、装騎チェルノボーグが最後の切り札として持っていた超振動スティレットを突き立てた。

ディープワンはその機能を停止し、溶けるように消失した。

「さて――ディープワンも片付けたし、これ以上ここに居る意味もなさそうだし、ワタシは帰るか」

「待ってアルジュビェタ――貴女には聞きたいことが――――」

「そんじゃ、ナスフレダノウ!」

そう告げると、装騎チェルノボーグはその場を後にする。

それを追いかけようとするクイーンだったが、

「今回の作戦は終了ですぅ。みなさん、帰還してください~」

チャレンジャー・キャロラインからの通信が入り、クイーン達もその戦域から撤退する事になった。

「バルバラ隊長……」

「ねぇ、ズィズィ……これからどうしよう…………」

「決まってるじゃない――――バルバラ隊長の仇を、取るわよ」

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