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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
シーサイドランデブーとプリティーキュートの実地戦
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マジャリナ機甲隊バルバラ・チャパート

「なんだ――? 出現したベロボーグの反応が……」

ツンベルギア・マイが装騎のサブディスプレイを見ながら怪訝な表情を浮かべる。

それは、ディスプレイに出たベロボーグの反応――その内の半数が消失したからだ。

「マイちゃん、ベロボーグの反応が幾つか消えたみたいだけど――何でかなぁ?」

「これは撃破――――いや、機能が停止したから――――そんな感じですね」

「機能が停止ぃ? オレら何にもしてないぜー」

「もしかして、不良品だったとか?」

「不良品……アイ先輩!」

「――――うん、そうみたい。スキャンをしてみたけど、ベロボーグは撃破された訳でも消えたわけでもないわ。ただ、リアクターの不良とかかしら――――動かなくなっちゃってるみたいね」

マイと同時に同じことを考えたアイはすでに装騎ダンプティの強力なスキャン能力を発揮し、消失したベロボーグの反応を詳しく解析していたようだ。

「と、言うことはルシリアーナのベロボーグは――――」

「不良品っていう事かー!!! 何だ、雑魚じゃん!」

「ふっふっふー、ミーシャ先輩! 動けないベロボーグも一緒に全部吹っ飛ばしに行こうよぉ!」

「そうだなマイン! と言うことで、行ってきます先輩!」

「なっ、ミーシア、マインちゃん!」

「レッツゴーだぜーい」

「動けない相手をボッコボコ――最高に楽しいことだよコレは♪」

そんな言葉を言い残し、ミーシアの装騎カンプファとマインの装騎カプリスは、破壊目標であるはずの投石器を無視しベロボーグを破壊しに駆け出していった。

「マイちゃん、あの2人なら大丈夫よ」

「そう――――ですかね……」

「私達はすぐに投石器を破壊して、2人を連れ戻しに行きましょう」

「――分かりました。行きましょう先輩」

それから暫く、各所で戦闘が開始された。

「此方、シュヴァルツヴァルト女子学園第1装騎隊。C地点の投石器を撃破した」

「フリードリヒ・ギムナジウム所属フクス・シュヴァイフです! 二騎のP-3500と遭遇! 援護をぅ!」

「こちらラインカッツェ学院高校第21機甲チーム……トラップを発見、データを転送する……気を付けろ」

戦闘の開始と共に、様々な通信が入ってくる。

いくら精鋭を集めた突破部隊とは言え、急造のチーム。

それぞれが自由に動き回り、自由に戦うため、色々と錯綜する。

ただ、その自由さがマルクト学生兵の良いところでもある。

そんな突破部隊に対して、マジャリナ王国側もかなり混乱しているようだった。

「こちら第17機甲隊、P-3500起動しません!」

「こちら、第24機甲隊――――敵重装甲騎の砲撃が――――うわぁああああああ」

「今少し持ちこたえれば……援軍が、くるわ――――バルバラ隊、P-3500の修理は?」

「修理完了しましたよ。イケます!」

「ドホナーニ隊長――――マルクト騎が2騎、此方に向かってきます!」

「分かった――バルバラ隊、迎撃するわよ……撃破する必要は無い。時間稼ぎに専念しなさい」

「諒解!」

そんな中、ドホナーニ・バルバラ率いるマジャリナ王国第13機甲隊――通称バルバラチャパートと呼ばれる4騎編成チームが、投石器の破壊を目指して侵攻したツンベルギア・マイの装騎パフューム、ハンフリィ・アイデンティの装騎ダンプティを発見した。

「私がトップを務めるわ……アネスカ、クラリカ、ズィズィは援護を」

「大丈夫なんですか隊長!?」

「善処する、わ」

「そこは大丈夫って言ってくださいよ!!!」

「行くわよ……」

超振動ナギナタを装備するバルバラのP-3500ベロボーグは装騎パフュームに向かって駆け出した。

「マイちゃん! P-3500が――――四騎! 四騎編成でコッチに向かってくるわ!!」

「さっきまでそこに反応は――――そうか、動けるように直して……」

「みたいねぇ。どうする? 支援要請する??」

「――いえ、マインちゃんとミーシアを呼び戻してください。それで十分だと思います」

「同感。それじゃあ、2人が来るまで抑えておきましょうか」

「そうですね――――行きますよ!」

装騎パフュームが全身のブースターを開くと、バルバラ騎へと急接近。

超振動鉈イフリータを閃かせた。

ギィイイン!!

装騎パフュームの超振動鉈イフリータは、バルバラ騎の超振動ナギナタに受け止められ火花を散らす。

「バルバラ隊!」

「「「諒解!」」」

その動きが止まった装騎パフュームに向かって、アネスカ、クラリカ、ズィズィのベロボーグが電動式連弩砲を連射した。

ギギギギン

連弩砲の弾が装騎パフュームの装甲を叩く。

「マイちゃん!」

「この程度の銃撃、大丈夫ですよ先輩! それよりも、今のうちに!」

「ええっ」

アイデンティの装騎ダンプティは、装騎パフュームに対して銃撃を加えるベロボーグに対して、長砲身ロケットカノン・アイを構えると、成形炸薬ロケットを発射する。

「クラリカ!」

アネスカ騎がそのロケット弾へと連弩砲を向けた。

「そこっ!」

ガスッ!!

「きゃぁああああ!!??」

そのアネスカ騎に向かって、装騎ダンプティの蹴りが炸裂。

「しまっ」

クラリカ騎の左肩に成形炸薬ロケットが突き刺さる。

「緊急切除!」

ゴウォァオオオン

爆発を起こし爆散するクラリカ騎の左腕。

だが、爆発の直前に左腕を切り離し、本体への大きなダメージは無かったようだ。

「くっ、やっぱり――強い!」

「諦めない……あと、少しだから…………」

「よそ見をしている場合じゃないですよ――!」

一瞬、クラリカ騎に気を取られたバルバラ。

その隙をついて、装騎パフュームがバルバラ騎のナギナタを払いあげた。

そして、装騎パフュームはバルバラ騎に急接近。

超振動鉈イフリータを振り上げた。

「しまっ――――死…………っ」

「バルバラ隊長!!」

「ズィズィ!?」

装騎パフュームに対して連弩砲による射撃をしていたズィズィがバルバラ騎を押しのける。

グシャア!!

装騎パフュームの振り下ろした超振動鉈イフリータはズィズィ騎の右肩からボディを削り、右足に傷を入れた。

「今ですバルバラ隊長!」

「――――っ!!!」

超振動鉈イフリータを振り下ろしたことによって生じた隙。

その間を狙い、バルバラ騎が超振動ナギナタを振り払う。

「くっ――――!!」

ジジジジイジジイジジ

装騎パフュームはそれを咄嗟に左腕で受け止める。

火花を散らし、ジリジリと削られていく装騎パフュームの左腕。

「――――な、この装騎、セラドニウムの純度が高いの!?」

「マルクトの超振動武器よりも鈍い……これなら――――」

装騎パフュームは思い切り左腕を振り払い、バルバラ騎の超振動ナギナタを払いのけると、そのまま、左手に持った超振動鉈イフリータをバルバラ騎に叩き付けようとする。

装騎パフュームの横払いを、装騎を屈ませ回避するバルバラ。

その時、突如として大きな爆炎が上がった。

「何かしら――?」

「何だ!?」

「どうした……?」

「バルバラ隊長――!」

「街中央の地雷が何者かに強行突破されました!」

「味方騎、敵機、共に被害が――――」

「あらあら、マインちゃんかしら――?」

「マインじゃないよー!!」

「オレでもねーぜー」

それとほぼ同時に、エスポワール・マインの装騎カプリスと、フィゴウル・ミーシアの装騎カンプファが合流した。

「この反応は――――」

「どうしたのマイちゃん――――――あっ!」

ゴゥゥウオオオオオン!!

突如、青黒いエネルギーが何処からか放たれたかと思うと、プリティーキュートの四騎とバルバラ隊の四騎を巻き込んだ大爆発が起こる。

「何だ!?」

「マイちゃん、ミーシアちゃん、マインちゃん、無事!?」

「私は無事です!」

「オレもだー!」

「マインもヘーキだよぉ!」

「バルバラ隊……っ」

「アネスカ健在――!」

「クラリカ死にません!」

「ズィズィです!!」

そして、そのエネルギーを放った張本人が姿を現す。

青黒い装甲に、人型でありながら海洋生物を思わせるようなフォルム。

「アレはまさか――――」

「ディープ、ワン!!」

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