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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
シーサイドランデブーとプリティーキュートの実地戦
83/322

悪名高き壊し屋

「さぁ、行きましょう!」

颯爽と戦場を駆け抜ける、チーム・シーサイドランデブーの四騎。

「きゃっ!?」

「あっぶな!? どこの学校だ!?」

「あの校章は――ステラソフィア! それにあの装騎は――――」

「壊し屋だ! 壊し屋のシーサイドランデブーだ!!!」

戦場に響き渡るそんな声。

他校にも「戦慄の壊し屋」として悪名高いチーム・シーサイドランデブー参戦の知らせは、学生間の通信を経て一気にその戦場にいる学生たちに知らされた。

「なんだ? 道があいてるじゃねーか!」

「あら、これは好都合。このまま前線まで行きましょう」

その悪名だけでビビる他校の生徒も少なくなく、シーサイドランデブーの進行ルートをほかの学生があけているという事にも気付かず前へ、前へと突き進むシーサイドランデブー。

他の学生部隊を全速力で抜き去り、一気に最前線へと到達した。

「先手必勝よ――――喰らいなさい、グレート・キング・ラット!!」

クイーンの呟きとともに、装騎ラプソディが背負っていた箱状の物が展開する。

この装備は、新歓の時には装備していなかったものだ。

その箱状の物から、地面に向かって小型のナニかが発射された。

それは、丸っこくどこかマウス――そう、PCのマウスに似たものだ。

マウスによく似たソレ――グレート・キング・ラットは地面に着地すると、敵の装騎目掛けて駆けだした。

「――!?」

グレート・キング・ラットに気付いた1騎の装騎サーカニィ。

だが、気付くのが少し遅かった。

グレート・キング・ラットは、突如、そのサーカニィに向かって飛び跳ねると――自らの体をぶつけ――――爆発した。

「自走爆弾――グレート・キング・ラット。お味は如何?」

ふふふっとクイーンは口元に笑みを浮かべると、14mmキラークイーン・ガトリングを構えほかのサーカニィに向かって撃ち放った。

「…………っ!」

クイーンの爆撃に続く形で、他のシーサイドランデブーのメンバーも攻撃を始める。

クイーンの装騎ラプソディの脇から、駆け出したのはサツキの装騎サーティーナインだった。

左手にチェーンナイフ。

右手にはボムを持っている。

「っ!」

サーティーナインは、装騎ラプソディのガトリングに怯む敵サーカニィに向かって、1個のボムを投げ込む。

そのボムは、攻撃用のボムではない――黒煙を噴き上げる目くらましようのスモークボムだ。

黒煙が視界を遮る中、その黒煙の中に突っ込む装騎サーティーナイン。

ギギギッギギギギギイッギイイイイイイイイイイ

装騎サーティーナインのチェーンナイフが、鉄を切り裂く音がした。

「――――っ!」

黒煙の中から響くかすかな爆音。

それは、装騎サーカニィが1騎撃破されたことをしめしていた。

「サツキちゃん、さすがね」

その黒煙に向かって、銃撃を放とうとその周囲に居たサーカニィが銃口を向けた。

「よっしゃぁぁああああああ、ぶっ壊すぜェ!!!!!!!」

バギィン!!

その内の1騎を捕えた、テイラーが駆る装騎スウィートレディの拳撃。

アームハンマー・ハンマートゥフォールの純粋な殴打攻撃。

その一撃は――しかし、サーカニィのような装騎にとっては強力な1撃。

装騎自体は無事でも、その衝撃は騎使の脳を揺らす。

「まだまだいくぜ――ッ!!!!」

1騎のサーカニィを殴り倒した勢いのまま、左手のハンマートゥフォールを振り上げる装騎スウィートレディ。

「這い蹲れ――――そして、」

ゴゥン!!!

巨大な金属の塊が、別のサーカニィを殴りつけたその瞬間。

「死ね」

左手のハンマートゥフォールに仕込まれた衝撃集中爆弾が反応し、装騎サーカニィを爆砕した。

「テイラー先輩!」

その爆破の衝撃で負傷した装騎スウィートレディの左腕を、ジャンヌの装騎ベストフレンドの修復機能が補修する。

その間にも、装騎ラプソディのジャイロロケット砲や、装騎サーティーナインの持つボムによって各所に爆炎が上がる。

不意に、そんなチーム・シーサイドランデブーに向かって放たれたモノがあった。

「これはっ!?」

ドゴァ!!

装騎ラプソディの傍に1つの巨大な塊が落下した。

「これは――――岩? まさか、投石器――!」

そう、それは投石器カタパルトによって投げられた巨大な岩石。

その岩石は、他のマルクト装騎にも向かって投げ放たれていた。

「投石器かァー、面倒くせーな……」

「そうですね……」

投石器で放たれた岩石はかなり巨大だが、マルクトの装騎を撃破するのは不可能なはず。

だがしかし、その衝撃は装騎を操る騎使にも至る。

つまり――

「油断はならないですね」

「――――っ!」

そんなことを呟くクイーン――その装騎ラプソディの真上で突如の爆音。

それと同時に、砕けた岩がパラパラと小雨のように降り注いだ。

「あら、有難うサツキちゃん」

それは、装騎ラプソディの真上を飛んできた岩石を、装騎サーティーナインが放った追尾型のボムが爆破した音だった。

「油断ならないとか言いながら、真っ先に油断してんな先輩よぉ」

「クイーン先輩、その、大丈夫ですか?」

「私はいつだって大丈夫よ。サツキちゃんもちょっと焦り過ぎ」

「…………」

「ふふ、私を心配してくれたってことは分かってるわ。謝る必要は無いのよ」

「……!」

「?」

クイーンとサツキのやり取りが読み取れず、首をかしげるテイラーとジャンヌ。

「しかし、投石器――非常に邪魔ね」

「そーだな。ここはやっぱり――ブッ壊すか?」

「でも、投石器の位置って結構後ろ、ですよね。今、計算させてみたんですけど……」

今目の前でラインを形成している多数のサーカニィ。

その背後――市街地にその投石器はあった。

「投石器がある中でも、私は何の問題も無い――ですが」

クイーンが移した視界の先には、投石器によって侵攻を阻まれるほかの学生達の姿。

もちろん、そんなものを物ともせずに戦いを繰り広げる者も居るには居るのだが、多くの学生は投石器に戦いを邪魔され、中にはその直撃を受け、騎使が気絶したのだろう、後方へと運ばれていく装騎の姿も見える。

「他のヤツらがそーでもねーってことだな」

「そう――だから、今善戦できているほかの学生にも支援要請を出して――――ここを一気に突破、投石器を破壊しちゃいましょう」

「支援要請? コンナんボク達だけでイケんだろ」

「そうですね――しかし、過信は禁物。保険と言うものはかけておくものです。備えあれば患いなし、ですよ」

「そ、それじゃあ、他の学生とかにも支援要請を出しておきます、ね!」

「ええ。よろしくね、ジャンヌちゃん」

オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑37

挿絵(By みてみん)

元ステラソフィア生:チーム・アイアンガールズ所属

ステラソフィア女学園機甲科講師

名前:チャレンジャー・キャロライン

英字表記:Challenger Caroline

生年月日:聖歴143年7月5日

年齢:24歳(4月1日現在)

出身地:マルクト国神都カナン

身長:162cm

体重:59kg

使用装騎:PS-Me2S:Vickers(ベース騎PS-Me2:Metatron)

好みの武器:20mm粘着榴弾砲ヘッシュ

ステラソフィア高等部機甲科の第十六期生で、ステラソフィア実地訓練における監督講師。

優し気で、どこかふんわりとした雰囲気のいつも眠そうな女性だが、例によって怒らせると怖い。

趣味はショッピングだが、買うだけ。

個人的な声のイメージは水口まつりさん。

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