ステラソフィア☆マラー:スズメちゃんは癖毛ほか
【スズメちゃんは癖毛】
「イザナちゃんの髪の毛、サラサラで良いなぁ~」
「本当、何か手入れでもしてるの?」
「特にそういうのはしてないわ」
「良いわねぇ」
サリナの問いかけにそう答えながらも、スズメに髪の毛を触られどこか嬉しげなイザナ。
「私は酷い癖毛だから、イザナちゃんみたいなストレートに憧れちゃうな」
そう言いながら、自分の髪の毛に手をやるスズメ。
「スズメちゃんってそんなに癖毛なの? 確かに、ちょっと癖はあるように見えるけど……」
「パッと見はちょっと天然なだけに見えるんだけど、ブラシで梳かそうとすると、ね……」
「あいっ、手が抜けなくなったさ」
そんな傍で、そっとスズメの頭へ手を伸ばしたイヴァ。
そのイヴァの右手がスズメの髪の毛に絡めとられ、抜けなくなっていた。
「あー、だから言ったのに!」
「手が抜けなくなるってどんだけ酷いのよ」
「全くね」
「ってイザナちゃん手を伸ば――」
必死にイヴァの手をスズメの髪の毛から引っ張り出そうとするサリナ。
その傍で、イザナの左手もスズメの髪の毛に絡め取られていた。
それからなんとかしてスズメの髪の毛から手を引っ張りだせたイヴァとイザナ。
「スズメの中――凄かった」
「だからよ。複雑に入り組んでて魔境みたいだったさ……」
「うぅ……今の時期は良いですけど、秋とかなったら頭洗うときにドングリが出てきたりして大変なんですよぉ」
「だったらストパーとかかけてみたらどう?」
「実は、昔ストパーかけたことあるんですよ」
「へぇ、スズメがストパーをね……」
「どうだった?」
「ストパーで何とかなるようなモノじゃなかったですよ……」
「ま、まぁ、薄々気づいてたけどね……」
【楽しいバドミントン】
「スズメ、今日の体育ってバド?」
「うん、ミントン」
体育館で準備も済み、体育の授業が始まった。
何時もの様にスズメとイザナはペア。
4つあるコートの中でローテーションを組みバドミントンをプレイする。
サーブ権はスズメ・イザナペア。
スズメのサーブからゲームが始まった。
「スズメ、ファイト」
「う、うん。せーのっ!」
サーブを打とうと振り上げたラケット。
しかし、そのラケットは見事にシャトルの上を通り過ぎて行った。
「当たってないわね……」
「私、ミントンのサーブは上からじゃないと当たらないんですよぉ……」
「あー……授業だと下からじゃないとダメだしね」
ゲームが続く中、ふとイザナがあることに気付く。
飛んでくるシャトルにスズメが向かっていく。
「えいっ!」
はね跳ぶように躍動すると、そのシャトルを相手コートへ打ち返すスズメ。
「ピョコン……」
低めのラインでこっちのコートへ向かってくるシャトル。
「はいっ!」
そのシャトルを捕えようと、下から振り上げられるラケット。
しかし、それに反してスズメ自身の体はわずかに地面を離れる。
「またピョコン……」
「イザナちゃんソッチ行ったよぉ!」
「あっ」
スズメの動きに気を取られていたイザナ。
不意にイザナに向かって飛んできたシャトルを――しかしイザナは容易に打ち返し決勝点を決めた。
「わーい、勝ったよイザナちゃん!」
「あ、勝ったんだ」
「どうしたのイザナちゃん、なんかボーっとしてるように見えたけど……」
「少し気になることがあったのよ」
「気になること――――?」
イザナの言葉にスズメが首をかしげる。
「スズメって、シャトルを打つ時に必ずジャンプするわよね」
「ああ……なんかジャンプしちゃうんだよね……」
「何で?」
「んー、そっちの方が気持ち当たりやすいんだよねー」
「必殺! 黄昏に掛かる龍が如き虹の輝き打ち!!!」
「わー、変な方向飛んで行ってる、すごーい!!」
そんな話をする二人の傍ら、不意にそんな声が体育館に響き渡る。
スズメたちの傍のコートでプレイをしていたアルク・アン・トワイとエスポワール・マインのペアだ。
「!! スズメ、危ないっ」
「えっ?」
瞬間、スズメの髪の毛に、トワイの打ったシャトルが突き刺さった。
「うわーん、シャトルが髪の毛の中にぃ!!」
スズメの髪の毛の中からシャトルを取り出すのに30分以上掛かったそうな。




