開幕!!
ステラソフィア女学園・新入生歓迎大会トーナメント表
第一試合
Aブロック
無限の星は夢の数 バーチャルスター
VS
美味しさたっぷり召し上がれ ドキドキ マンゴープリン
Bブロック
カクリヨカラ、トキ、キタル…… アヤカシ
VS
私達、皆ヒロイン! マジェスティックフォー
第二試合
Aブロック
南の空に瞬く思い サザンクロス
VS
あったか家族 マンチャドーレス
Bブロック
毎週パフェ会やってます パフェコムラード
VS
ようこそ、ヒミツの花園へ リリィワーズ
第三試合
Aブロック
アイ・アム・アイアンガール! アイアンガールズ
VS
踊るテンポで詠う世界 テクノリリック
Bブロック
心の奥に響く波音 ウィリアムバトラー
VS
追い風一杯、順風満帆! ブローウィング
第四試合
Aブロック
誰かに伝えたい言葉がある グートルーネ
VS
これぞオリエンタルミステリー! ミコマジック
Bブロック
素敵な恋を探して シーサイドランデブー
VS
私達の奏でるバトル 奏でNight
第五試合
Aブロック
その名の通り、永遠に! エターナルネバー
VS
みんなでたのしく和気愛愛 ユートピアエックス
Bブロック
夢見る調べで アマリリス
VS
がんばってがんばります! マイナーコード
第六試合
Aブロック
神代に恋して ヤソガミガハラ
VS
そろそろチーム名を変えたいです! プリティーキュート
Bブロック
どんな相手も振り切ります アクセラレーター
VS
作戦コード、正義! ジャスティホッパー
第七試合
Aブロック
希望は我らに オラシオン
VS
勝利の剣! ヴァイスシュヴェールト
Bブロック
その時、世界が動いた! アブダクション
VS
不思議大好き仲良し四人 ミステリオーソ
第八試合
Aブロック
届けたい、楽しい思い出 ギフト
VS
いつか、大人になるその時まで アララト
Bブロック
速くて、強くて、可愛い! ヴィーナスラヴ
VS
敵には追われてもイケメンには追われない ソルフェージュ
普段は何も遮蔽物が無く広々としているグラウンドに、今日は沢山の人々の姿があった。
人々が目を向けるその先には、2つ並んだ大型モニター。
そこに映っているのは、これから始まる1回戦に向けて演習場で待機するAB両ブロックの各チーム。
「相変わらず賑わっているなぁ」
「あれ、機甲科の生徒ってこんなに沢山いましたっけ……?」
「新入生歓迎大会は学園都市でも一大イベントですからね。他の学科の生徒や関係者も集まってくるのですわ」
「それに、外部から見に来るヤツもいるんですよ!」
チャイカやマッハの言う通り、そこには機甲科とは違った制服を着た生徒や、大人に家族連れなど色々な人の姿が見える。
「あれってソレイユ先輩たちのチームですかね……?」
スズメが指さした左側のモニターには、見覚えのある装騎の姿が見える。
白い騎士のような機甲装騎――紛うこと無くソレイユの装騎セイクリッドの姿だった。
「そうだな、左側がAブロックで右側がBブロック。それぞれのブロックで1試合ごとやるからな」
「そういえば、ソレイユ先輩のチームはAブロック第1試合でしたね」
「ちなみに、ウチ等のチームが対戦するんは3回戦やで。楽しみやんな!」
「へっぽこ……座ろう。そろそろ」
「誰がへっぽこや!!」
ヘレネの言葉にブローウィングとウィリアムバトラーの8人は学生席1番後ろとその1つ前の空いている席へと腰を掛けた。
どうやら機甲科学生専用席と、その他観客席で区切られているようで1番後ろと言っても、モニターが良く見える良い席だ。
「1年は真ん中の方行っとき」
「同じ学年なんだし、今のうちに仲良くなってた方が良いぞ」
と4年の先輩に促され、スズメとイヴァが隣同士にさせられる。
結果、一番後ろの席に4年ツバサとミカエラ、3年チャイカとカトレーンが。
そしてその前の席に1年スズメとイヴァ、2年ヘレネとマッハが座ることになった。
「よ、よろしくね、えっと、イヴァちゃん」
「う、うん……よ、よろしく…………」
会話が続かない。
イヴァもそうだが、スズメも少し言葉を選ぶところがある。
「い、1回戦はどこが勝つと思う……?」
「え、えっと……イヴァにはまだよくわからんさ……」
「だ、だよねー」
会話が進展することも、盛り上がることもないまま気付けば時間になっていた。
第1試合の開始時刻である10時30分。
グラウンドにそびえる2つのモニターの前に1人の女性が出てきた。
「みなさん、こんにちはー!!」
観客席から歓声が響き渡り、ついにその始まりを告げる。
「すっげーな……テンション上がってくるぜ!」
「全くなのですよ!」
「はぁ、お姉ちゃんもミズナちゃんも無茶しないでよね」
「ドキドキします……」
グラウンドの様子は、カメラを通じてソレイユ達第1試合参加者にも伝わっていた。
「いよいよ始まります! 新入生歓迎大会――! 司会はわたくし、機甲科3年チーム・ソルフェージュ所属のミウラ・リタです!」
ミウラ・リタが一礼をすると、益々人々の声が大きく上がる。
モニターに第1試合というテロップが流れ、それぞれのチーム名とキャッチコピーが表示された。
「それでは新歓第1試合! Aブロック、無限の星は夢の数。チーム・バーチャルスター!!」
左側のモニターに映るのは、装騎セイクリッドを中心としたチーム・バーチャルスターの面々。
その装騎の姿と、騎使の姿が順番に流れる。
4年ディアマン・ソレイユとその装騎セイクリッド。
3年ディアマン・ロズとその装騎ロゼル。
2年ツミカワ・ミズナとその装騎ミルキーウェイ。
1年エレナ・ロン・サリナとその装騎ラピスラズリ。
「対するは、美味しさたっぷり召し上がれ。チーム・ドキドキ マンゴープリン!!」
4年グラノーラ・トロピカとその装騎クリーム。
3年ミルフィーユ・カンミとその装騎ストロベリィ。
2年ラクトレア・アイステミッシュとその装騎フレーバー。
1年バオム・クーヒェンとその装騎トルテ。
「お、ソレイユ達とやるのはチーム・ドキドキなのか」
「今年はマンゴープリンなんやな」
「今年、は?」
後ろでそんな話をするソレイユとミカエラの言葉に、スズメは振り向き首をかしげる。
「あのチームは、毎年リーダーが変わるごとにチーム名も微妙に変わるんだよ」
「チーム・ドキドキ、までは一緒なんやけどな。去年は何やったっけ?」
「確か――ベルギーワッフルだったような」
「ドキドキ ベルギーワッフルですか……結構マニアックなチョイスですね」
「あの時のチームリーダーはベルギーの出身やったからね」
マルクト神国北西部に存在するベルギー市。
北に北海、西にセーヌと敵対国マスティマ連邦2つの国境に面しているため、マルクトの主要都市でも危険度が高い市でもある。
とまぁ、今は要らない情報だが。
「そしてBブロック! カクリヨカラ、トキ、キタル……。チーム・アヤカシ!!」
そして右側のモニターにBブロック1回戦のチームが映る。
「対するは、私達、皆ヒロイン! チーム・マジェスティックフォー!!」
それぞれのチームも出そろい、ついに、その幕が上がった。
「それでは――新入生歓迎大会、第1回戦! 開始!!」
人々の歓声の中、第1試合が始まる。
試合が始まり、スズメたちもその画面にくぎ付けになる。
やはり、特に目を引くのはAブロックのチーム・バーチャルスター。
バーチャルスターはかねてより優勝候補と呼ばれるチームの1つであった。
特筆すべきはやはり、リーダーであるディアマン・ソレイユの巧みな刀捌き。
そして、妹ディアマン・ロズとのコンビネーションだ。
「わぁ、やっぱりソレイユさんはすごいや! でも、ドキドキ マンゴープリンも結構頑張ってるなぁ」
スズメの言葉通り、優勝候補と言われるバーチャルスター相手にドキドキ マンゴープリンも結構な善戦をしている。
強烈なソレイユとロズのコンビネーションアタックを仲間同士でサポートしあいながら凌ぐ。
「あのピンク色の装騎ってPS-G4ガブリエルかなぁ……」
「そ、装騎フレーバーのことですよね……カ、カメラの形が独特で可愛いわけさ」
スズメの呟きに答えたのは、隣に座るイヴァだった。
「イヴァちゃんこういうの詳しいの?」
「く、詳しいというか、好きなだけさぁ」
「そうなんだ! 私も装騎が好きなんだ。イヴァちゃんはどんな装騎が好き、とかある?」
「イ、イヴァは重装甲砲撃特化のPS-Me2メタトロンが好きだばーよ」
「メタトロン! 確かに良いね。ちょっと動き出し遅いけど速度が乗ればホバーですごいスピードが出るし、装騎最高クラスの30mm弾を使える固有兵装フォイアゾイレの迫力は圧巻ですからね!」
「そ、それも良いけど、イヴァ的にはあの重厚で丸みを帯びたデザインが最高さ。ドレス風のオーバーアーマーも可愛いわけさ」
「私はやっぱりPS-A4アブディエルかなぁ! 私の尊敬するデュエルゲームの騎使サクレ・マリアも使ってる装騎だしね」
気付けば、スズメとイヴァの話はヒートアップしていた。
好きな装騎に始まり、好きな武装だったり、好きな選手だったり、話が膨らむ。
「おっとスズメちゃん、仲良くしろとは言ったけどまだ敵同士だからな。自分の装騎のことは話すんじゃないぞ」
「そうやで、イヴァちゃんも内緒にしといてや」
「え、何でですか――?」
ツバサやミカエラの言葉に、スズメとイヴァは首をかしげる。
「何でってこの新入生歓迎大会の勝利の鍵は1年だからな」
「正直、ウチら2年生以上の手は今までのイベント事で大体バレてるんや」
「そ、だから、まだデータの無い1年でどれだけ度胆を抜けるかっていうのが新歓勝利の鍵なんだよ」
なるほど。
スズメは2人の言葉に納得する。
「とはゆうても、そっちの1年の装騎はもう有名やで? 久々の奇形装騎やもん」
サエズリ・スズメの装騎スパロー。
そのベース騎であるPS-R-H1ハラリエル。
やはり、史上初の逆間接装騎と言うことで、周囲の注目を一段と引いているようだった。
「ま、まぁ、グラウンドで毎日走り回ってればバレますよね……」
「なーに、見た目以外にも隠し玉はたくさんあるしな。そうだろスズメちゃん?」
「は、はいっ、もちろんです!」
スズメの装騎スパローはチーム内対抗戦で見せた動きが全てではない。
そして、それはおそらく先輩達もそうだ。
スズメはこれからの戦いへ胸を躍らせているのを感じた。
「まぁ、実力がバレてても脅威的なヤツらもいるんだけどな……」
「それな……」
そう言いながら2人が見つめるのは、Aブロックの戦いが映されたモニター。
言うまでも無く、ディアマン・ソレイユ率いるチーム・バーチャルスターの事だった。
気付けば、Aブロック1回戦はバーチャルスターの圧勝で幕を下ろしていた。
「でもさ――」
不意にスズメの耳元にツバサが顔を近づける。
ツバサの息と体温を感じ、スズメは思わず肩を震わせる。
「今回はバーチャルスターに勝てそうな気がするんだよね」
「ほ、本気ですか――?」
スズメが見たツバサのその瞳には強い光が灯っており、彼女が本気で言っている事は間違いなかった。
「――勝ちますよ、絶対」
ツバサの瞳と意思に吸い込まれるように、スズメもそんな言葉を口走る。
「おっと、もうバーチャルスターと戦う話してるん。その前にウチらを倒さないといけないの忘れたん?」
「はっ、ウィリアムバトラーなんてスズメちゃん1人でも勝てるってーの」
「ええっ!!??」
「なんやて――!?」
「はっはっは!」
そうこうしている内にBブロック1回戦も終わり、ABブロック2回戦も幕を下ろした。
そして、ついにABブロック3回戦が始まりを告げたのだった。