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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
みんなの休日
78/322

サポートチーム第3班の休日

ここはステラソフィア高等部技術科の学生寮。

チーム・ブローウィングのサポートチーム、第3班の寮室にその3人の姿はあった。

「すすすすみません――! ここの前の実地戦のデータってどどどこに――――」

「紙のほうですかぁ? えっとぉ、たしかこのあたりに……」

「ソレならソコに積まれてる資料の下から5番目にあるゼ」

「下から5番目ですか!? ととと、取ったらやっぱり崩れちゃいますよねね」

「思いっきり崩しちゃおうよぉ~」

「ハァ、ソロソロ部屋掃除するベキかナァ……」

部屋中に積まれた機械類や本に、資料。

足の踏み場も無いその部屋で、1個のテーブルに集まり作業をするのは、1年コクテンシ・ヒバリ、3年フローレシア・マラード、2年ケツァール・カトレ。

3人はブローウィングが行った今までの実地戦や、新歓での戦闘、そして、ブローウィング以外のチームが実地戦で持ってきた共有用データを基に、これからの戦闘に対する対策などをまとめているところだった。

通常、こういう作業は学園の方でやってくれたりするのだが、この3人の場合はほとんどは趣味の領域。

せわしなく動くプリンターから、次々とデータが印刷された資料が吐き出されていく中、アナログ派の第3班の作業は進んでいく。

「ただいま」

「おおおおかえりなさい!」

「おかえりですぅ~」

「オカエリィ!」

「糖分大量に買ってきた。これで当分困らない――――ププププ」

「オー、助かるゼ!」

姿を見せたのは両手いっぱいに袋を抱えた4年シュービル・レクス。

購買で、大量にスイーツを買い込んできたのだ。

「何食べる?」

「チーズケーキぃ~」

「オレはこのティラミスにするゼ!」

「ショートケーキいただきます!」

「召し上がれ」

それから、レクスも含めた4人でケーキを食べながら作業を続ける。

「そそそういえばP-3500ってどー思いますか?」

「ベロボーグだっけカ」

ふと、話題は前回の戦闘でついに姿を見せたルシリアーナ帝国の最新型装騎P-3500ベロボーグの話題になる。

「カタログスペックではマルクトウチの民間騎と同程度、らしいわ」

「実際にそのくらいのスペックがあれば、数を使えばマルクトの軍用騎も倒せるかも、しれないですよねぇ~」

「ダケド、前見たカンジだと――アリャ、ダメだな。イロイロ惜し過ぎるゼ」

「ルシリアーナ製って時点で――細かい精度はお察し小冊子」

ルシリアーナは広大な領地を持つ、世界最大と言ってもいいほどの大国なのだが、その実、技術力自体は低い方なのだ。

従って、装騎の一部消耗品の粗悪さによる動作不良なども起きやすいのだが、そこを物資の量や人員の多さでカバーし、ガタが来た部品はすぐに新品へと交換するなどの対処を行うことでその性能を維持している。

「でででも基本的な設計は悪くないですから一部消耗品をマルクト製に積み替えたりすればマルクトでも通用する装騎になると思うんですよ! 民間レベルなら!」

「確かに――」

「実騎があればナァ……分解バラすなりナンナリしてケンキューできるんだガ」

「スパローが倒したP-3500とかは鹵獲できなかったんですかぁ?」

「じょ状態が良いのは国に持っていかれちゃいました! まだP-3500はあまり配備されてなくて情報が足りないみたいで」

「ツバサが斬ったヤツも国に持っていかれた……。スパローの霊子刃レイ・エッジで焼かれたP-3500ベロボーグの一部なら貰えた」

「マジカ! ドコのブブン?」

「左腕と両脚。あと頭部の天板」

「無いよりはマシって感じだねぇ~。でも、今ルシリアーナは大急ぎぃでP-3500の量産と配備を進めているみたいですからぁ、これから手に入る機会もたくさんありますよぉ」

「P-3500用の武器とかも作ってるみたいですよね! ほほ他の国もP-3500を輸入して新型装騎の開発に着手してるとかでこれからまた新しい装騎が出てくるかもしれないです!」

「フーン……ベロボーグをハジメてイロイロと新しいソーキが出てくるのはウレシイけど、マルクト側としてはまたヤッカイなことになってきたナ」

「そうだねぇ。P-3500は今までの他国の装騎と比べたらスゴイ性能だもんねぇ。カタログスペックは」

「その内実際にそれくらいの性能を出す装騎が現れて、そそそしてまた強い装騎が出てきたりするんでしょうね!」

「しかし、マルクトも今、新技術を研究中、らしいわ」

「きき聞いたことはありますね!」

「タシカ、インディゴシステムとかナントカ!」

「と言うことは、その内試験騎が送られてきたりするのかなぁ~?」

「シケンキかァー。ホントーにキたら忙しくなるゼ……」

「しかし――――」

「?」

「アズル、セラドン、ブルー――インディゴ。青ばっか――ぷぷっ」

「ナニがシュービル先輩のツボに入ったンダカ」

こんな感じで作業をしながらダラダラと雑談をする。

いつもの事だ。

平日だろうが、休日だろうが、この4人が寮室に集まればこんな感じで時間は過ぎていく。

「ナア、思ったんだけど――」

「どうしたカンターレ」

「オレはカトレ、ダ。アト、ソノ“カンターレ”ってヤツは去年の12月13日ノ18時34分にもヨバレタゾ……マア、ソレはイイけどヨ――――ヘヤ掃除、シネ?」

「いやだ」

「ナンデダヨ」

「部屋掃除したら――資料置いた場所、分からなくなる。ミッシング」

「確かにねぇ~。あたしもはんちょーと同じなのでぇ」

「カ――ッ! マッタクお前らハ! 資料の場所くらい、オレが覚えるカラサ!!」

「あと、めんどう、くさい」

「ですぅ」

「コクテンシもナンカ言ってやれよォ~。イマのママだと資料も探しニクイし、過ごしヅライダロ!?」

「でもでもカトレ先輩のおかげでどこに何があるかすぐ分かるので不便は無いですよ!」

「サッキ資料のヤマ崩しといてソレ言うカ!?」

「トレカ、そうカッカしない」

「トレカってナンダヨ! 字がズレてんジャン!!」

「そうですぅ~潤滑油の匂いでも嗅いで落ち着くですぅ~」

「アーモウ、マッタク。センパイもコーハイもコンナンばっかかヨ……アト、オレがスキな潤滑油はヴェルエル製のヤツじゃなくテ、エンベー製のヤツなノ!」

流石にやる気のない他の3人に呆れながら、カトレは1人で部屋掃除を始める。

「コノ資料は――コッチにイレトク方がイイナ……」

「コアトル――新型武装のカタログ、どこ置いたの?」

「コアトルはオシイけどチゲーよ! サッキ、ソッチの本棚にイレたゼ」

「ありがとうオリゴ糖」

「カトレちゃぁん。マスティマ連邦装騎の資料って何処だっけぇ?」

「ソレなら国別の本棚にイレたゼ! ッツーカ、オレに聞く前にソッチカラ見ろよナ」

「あ、あったぁ~ありがとう~」

「カトレ先輩月刊装騎タイムの38号って何処にあるかわかりますか!?」

「サッキ読んでたヤツだよナ? ソコのヤマの下から8番目に積まれてるハズだゼ」

「ああありがとうございます! あの山――あ本当です! そっと――そっと引っ張って――――キャァァアア!!!」

ドサドサドサと散らばり倒れる本の山。

「シュービル先輩、ソノ本読んでねーんダロ? 片づけろヨ!」

「後で必要になる、かもしれないカモノハシ」

「とか良いながら結局使わねージャン!!! フローレシア先輩モ! 3時間29分45秒前からホーチされてる装騎の歴史大全片づけちゃってイイよナ!?」

「後で必要になるかもしれないじゃぁん」

「イマは必要ネーダロ! 最新資料纏めてるんダシ!!」

「片づけるのはダメですぅ」

「あ痛ッ――――!? ああああ、すみませんすみません! 本棚が沢山本を吐いちゃいましたァ!!??」

「おおっと、本棚が嘔吐しちゃった……」

「カ――ッ!!! 全ッ然、片付かネェ――――!!!!」

カトレの頑張りも空しく、結局、サポートチーム第3班の部屋が片付くことは無かった。


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