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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
二度目の実地戦
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戦いの終わり

「リ、リハールドォォォォオオオ!!! 何だ、何なんだあの装騎は!?」

「あれは……新型! マルクトの噂の新型です!」

「噂の新型!? クッ……逆折れか!」

「助かったんですよスズメ後輩!」

「マッハ先輩、出過ぎですよ!」

「そうは言われても、これがマハの生き様なんですよ!」

「はぁ……とりあえず、敵数はP-3500、ラドカーンが2、サーカニィが5…………ですね。チャイカ先輩!」

「ええ!」

チリペッパーとスパローから正確な情報を受け取った装騎スネグーラチカがスナイパーライフル・リディニークを構える。

「お待たせぇ!」

それと同時にツバサの装騎スーパーセルが合流した。

「チャイカ、頼むぞ!」

「ええ!」

「「バインド・スナイプ!!」」

「うぉぉぉぉおおおお!!!!」

かけ声と共に、スーパーセルの両腕から放たれたワイヤーアンカーが2騎のサーカニィを絡め取る。

そしてそのまま、ブースターを最大出力で吹かせた。

ゴォォォォオオオオオオオと激しい音が響き渡り、蒼い炎がブースターから噴き出す。

身を捻るように両腕に力を込めると、ワイヤーアンカーで掴み取られた2騎のサーカニィは持ち上げられ、宙に浮かび上がらせられた。

「魔力……銃撃!!」

持ち上げられ、宙を舞う2騎のサーカニィ。

その2騎を、スネグーラチカの一撃が的確に撃ち抜き撃破した。

「あんな無茶苦茶な!?」

「あれがマルクト神国だ……! 何のパフォーマンスなのか知らんが一々癪に障る……っ」

「……隊長、どうします!?」

「撤退だ、撤退するぞ! ラドカーンとサーカニィは全騎、銃は捨てろ! 俺がしんがりを務める!」

「っ…………諒解っ。私も隊長をお手伝いします!」

残ったマジャリナ王国の装騎はそれぞれ銃を撃ち捨て、撤退を始める。

「敵、撤退していきます! チャイカ先輩!」

「山の斜面の所為で射線が塞がれていますわ!」

「追撃だ、追撃するぞ!」

「モチロンなんですよぉぉぉおおお」

走りだそうとしたチリペッパーが不意に膝を突く。

「マッハちゃん!?」

「あ゛ぁぁぁあああああああ!!!!」

先程から、激しい銃撃の雨に晒されたチリペッパー。

元々、軽装甲というのもあり、蓄積されたダメージが間接部に響いたのだ。

その合間に、山岳地での機動にも慣れているのだろう。

アールミン部隊は、ブローウィングからぐんぐん距離を離していった。

「ツバサ先輩! 敵が……!」

「スズメちゃん、1騎で行けそうか!?」

「はいっ! ですので、直線で一気に接近して……叩きます!」

「上等!!」

スズメとツバサは頷き合うと、スパローとスーパーセルが直線上に列んだ。

前方を駆けるスパローの背後から、ブースト全開でスパローに体当たりをするように突っ走るスーパーセル。

「行きます! スパロー!」

「スーパーセル!」

「「ブレードブリット!!!」」

スパローに追い付いた速度の乗ったスーパーセル。

スズメはタイミングを見計らい、スパローを飛び跳ねさせるとスーパーセルを、蹴った。

加速したスーパーセルの勢いと、スパローの跳躍力が噛み合いまるで弾丸のように弾き出されたスパロー。

そして、その全身が展開し、ブレードエッジ状態へと変形する。

だが、それだけには終わらなかった。

「――――クリティカル!!」

瞬間、スパローの全身から蒼い輝きが放たれる。

スパローのアズルリアクターが限界まで稼働し、魔電霊子アズルの供給量が最大まで引き上げられる。

限界駆動クリティカルドライブによる、最高のアズル供給量――それによって、スパロー・ブレードエッジの両腕からエネルギーの巨大な刃レイ・エッジソードが作り出される。

そのまま、身を捻る様に回転しながら、エネルギーの弾丸となったスパロー・ブレードエッジは撤退するアールミン部隊の中央に突っ込んだ。

「隊長――――ッ!!!」

エネルギーの渦に巻き込まれんとしたゲルトルードが駆るベロボーグ。

だが、それをアールミンの駆るベロボーグが突き飛ばした。

「生きろゲルトルード――――! 生きて――――」

弾け飛んだ巨大なエネルギーの弾丸は、アールミンが駆るベロボーグのほか、ラドカーン2騎とサーカニィ1騎を飲み込んでいった。

残されたのは、サーカニィ2騎とゲルトルードが駆るベロボーグの計3騎のみ。

「――――撤退よ!!!! 撤退するのよっ!!!!!!! ――――――ひっ!?」

涙を溜めながら、必死で叫び、装騎を走らせるゲルトルード。

だが、不意に残ったサーカニィ二騎も撃破された。

今までの間に、装騎スネグーラチカが新たな狙撃ポジションに着き、2騎を撃ちぬいたのだった。

「そんな――――ゴメンなさい――――隊長っ」

ゲルトルードがそう呟いた刹那――――スーパーセルがチェーンブレードで最後のベロボーグを一閃した。

アールミン部隊の壊滅により、態勢を崩されたマジャリナ王国ジリナ山岳地部隊は程なくしてマルクト神国軍の攻撃によって殲滅させられることとなった。

マジャリナ王国の工業都市ジリナはマルクト神国の手に落ち、今回のジリナ侵攻作戦は成功の運びとなる。


一方その頃、斜面をよじ登り、最短ルートでチーム・ブローウィングの降下地点を目指していたリラフィリア機甲学校のカヲリチームはと言うと……

「あーん、落とし穴とか地雷とか踏みまくって大変なことになってますよぉー!」

「ナオ! そんな情けない声を出すんじゃないわ! マルクトの装騎がその程度で動けなくなるわけなくってよ!」

「ていうか、明らかに普通の登頂ルートで行った方が安全だったよね」

「無能……」

「なんですって!? だぁぁぁぁああああ、もうこのままじゃ作戦が終わってしまいますわァ!

ミカコとスミレの言葉に、カヲリは癇癪を起す。

「あ、カヲリーダー作戦終了通知来たよー。今すぐ帰投するようにだって」

「な、な、な、なんですってぇぇぇぇええええええええええ!!!???」

「あ、本当だ……。ステラソフィアももう帰投しちゃってるみたい、だね」

「おのれぇ、サエズリ・スズメぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!!!!!」

「明らかに逆恨みだよねー」

「カヲリ様落ち着いて!」

「――――無能」


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