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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
二度目の実地戦
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ジリナ山岳戦

「オゥェロォォォオオオオオ!!!!」

「マッハ先輩大丈夫ですか……」

「ぅう…………」

マスドライヴァーでの射出の酔いで嘔吐するマッハにスズメが心配する素振りを見せた。

「マッハちゃんは何だかんだで大丈夫だよな! さて、それより……」

「ええ……周囲のスキャンを完了しましたわ。此方に気付いたマジャリナ軍の装騎が15騎……此方を目指しています」

「こっちの3倍か……上等!」

冷静に周囲の状況を確認するチャイカに意気込むツバサ。

「シャダイコンピュータからの情報受信可能領域ギリギリですから騎種の特定までは出来ませんわ……! 交戦の際には気をつけるのですわ」

「諒解!」

学生達の自主的な活動を聞き届けると、フランデレンが1つ頷き

「では、予定通りに……これより、敵マジャリナ王国軍を殲滅する!」

そう声を上げた。

『諒解!』

号令一下、ブローウィングの4人がそう答える。

そして、フォーメーションに合わせ、マジャリナ王国軍を迎え討たんと装騎を走らせた。

「チャイカ、威嚇射撃だ!」

「諒解ですわ……!」

ツバサの指示でチャイカの装騎スネグーラチカがその右手のスナイパーライフル・リディニークを構える。

シャダイコンピュータの情報圈ギリギリということもあり、本来使えるはずの広大な範囲に及ぶリアルタイムでの位置確認支援機能は使えない。

しかしチャイカは、断続的に伝わる敵の位置予測情報を元に、相手の粗方の位置を算出。

そこに、自身の魔力探知による補正を加える。

そして……

「魔力……砲撃っ! ですわ!」

瞬間、射戦上にいたマッハの装騎チリペッパーとツバサの装騎スーパーセルが弾けるように退避。

その合間を、魔力を纏った砲撃が通り過ぎていった。

暫くの間の後、チャイカが口を開く。

「…………着弾確認ですわ。恐らく、2騎は撃破できてると思いますの」

「十分! 行くぞ!」

「もうしばらくで此方のレーダー圏内に入りますわ」

「敵からこっちは見えているかな?」

「予測では敵装騎自体のレーダー探知範囲内には入っていないと思いますが……ここは完全にマジャリナの領内ですので……」

「予め偵察機が仕掛けられていたりする可能性はあるか……」

「ええ、いくら山地戦慣れしてない学生が多いとは言え、マルクト国軍が攻めあぐねている程ですもの……」

「今の所そう言った情報はないが、トラップにも留意しろ」

「トラップ……落とし穴、とかですか?」

「落とし穴って地味だけど中々痛いんだよな……」

「ツバサ先輩、かかったことあるんですか……?」

スズメの言葉に苦い表情を浮かべながらそう言うツバサに、スズメは尋ねた。

「ああ、もう卒業した先輩なんだけど、ドリルスコップを装備してる装騎に乗ってた人がいてさ……」

「ああ、アイアンガールズのヴァライゼン・ヴィルヘルミナか」

「そうです、その人! 懐かしいなぁ……」

不意に、木々の合間を縫うように、銃声が響き渡った。

「おっと、チャイカ、敵か!?」

「そうですわ! レーダー圏内に補足! 敵の装騎は……ラドカーンとサーカニィの遠距離砲撃仕様ですわね」

「P-3500は?」

「今の所見当たら…………最後方に居る3騎がそんな感じがしますわね……」

「レーダーには映ってないですけどやっぱり……」

「勘ですわ」

「便利な勘だよなぁ。便利ついでに敵数は?」

「予測通り二騎撃破で残りは13騎ですわね。予想外のこととして、敵サーカニィタイプの1騎の動きが被弾の為に鈍っていますわ」

「いいねぇ、よっしゃ! それじゃあ、先生!」

「ああ、各自、交戦に入れ」

「ひゃっはぁぁぁぁぁあああああ!! ついにマハの時代が来たんですよォ!!」

「マッハ先輩! 交戦許可は陣形を崩しても良いって意味じゃないですよぉ!!」

「これは1点減点ですね……」

「ああ、学園に帰投後カスアリウス・マッハは呼び出しだ。構わないな?」

「良いですよ。自業自得ですし……」

「ですわねぇ」

突っ込む装騎チリペッパーの後ろで、ツバサとチャイカがため息をついた。

「とりあえず……アタシがチリペッパーのフォローに入る! スズメちゃんは混乱した敵の撃破を!」

「諒解です!」

「チャイカはいつも通りで!」

「諒解ですわ!」

「ふむ……これくらいの敵ならお前達だけでも問題ないな?」

「ええ、任せてくださいよ先生!」

「では、ワタシはしばらく観戦させてもらおうか」

最後方で足を止める装騎スネグーラチカ。

その傍にフランデレンの装騎シュラークが付く。

その2騎をグンと引き離し、先行するチリペッパーの背後にスーパーセルが続いた。

「ひゃっほぉぉおおおおウ! 最高なんですよォ!!!」

先方では、敵装騎の銃撃をものともせずに敵の最前列と接触したチリペッパーが雄叫びと共に先頭のラドカーンを1蹴り。

膝部のレーザー式キックブレードで両断していた。

さらに、両手に構えたショットガンを交互にぶっ放しながら、敵を分断するように走るチリペッパー。

「これなら…………」

チリペッパーの突撃によって分断されたマジャリナ王国軍を見て、スズメの装騎スパローは、先行く2騎の軌道とは微妙に逸れ、分断された内、少数の獲物を狙って駆けた。


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