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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ステラソフィアの日常:始まり編
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機甲装騎をちょっとだけお勉強

「うわぁ! ここがステラソフィア学園都市の中央街――――!!」

日曜、サエズリ・スズメとワシミヤ・ツバサの2人はステラソフィア学園都市の中央にある通称セントラルエリアへと足を運んでいた。

「ここがステラソフィアの中央公園――――この、巨大な日時計がシンボルなんだ」

ツバサのいう通り、公園の中央には巨大な日時計が聳え立っており、その周囲には花々が咲き乱れている。

「でも、大きすぎて日時計としての役割を果たしてるようには見えないんですけど……」

スズメのいう通り、その日時計はあまりにも巨大。

そのふもとからではその陰が差す時刻を知ることはできない。

「一応、そこの展望台からこの日時計を見ることができるよ。登ってみる?」

「本当ですか!! 登ってみましょう!」

展望台に上ると、ほどよい位置に日時計が見える。

その影は10時を差し、今がそれくらいの時刻であるということを示している。

「なんか、この日時計の針って装騎に乗って滑れそうですね……」

「お、鋭いな! まぁ、ちょっと違うんだけど――――」

「何のことですか?」

「ふふん、それは今後のお楽しみってことで」

「なんなんですか!?」

意味深なツバサの言葉に、スズメは首をかしげる。

「もう、いいかな――――よっしゃ、下降りてそろそろ本題行くか!」

「た、楽しみです!!」

この日曜日、どうしてスズメとツバサがこのステラソフィア学園都市の中央まで来ているのか。

それは、ステラソフィア学園都市中央に存在するマルクト国立装騎ミュージアムと、装騎管理局へ足を運ぶためだった。

そのため、機甲科校舎から中央行きの機関車に乗り、一先ず、駅に隣接した中央公園へと足を運んだのだった。

「ミュージアムも装騎管理局もすぐ近くだしな――――管理局は普通は入れないんだけど、ステラソフィア生は特別貴族特権で入れるんだ」

「そういえば、入学式でそんな話を聞いたことがある気がします……」

このマルクト国では、大まかに貴族階級と一般階級の二つに分類されている。

貴族階級を持つ者は、各都市の知事であったり軍人であったり、一般への技術守秘制約テクニカル・リミットに関わる技術職に関わるものがその階級を持つ。

大臣や長官などの一等貴族、その他政治家や高等技術を扱う技術者や将校などの二等貴族、下位技術職や軍人の三等貴族となる。

国の最高責任者となるのは、スーパーコンピュータ・シャダイが基本的な政治の運行や、政策の決定権を持つ為、王や首相、天皇という立場の人間はいない。

ステラソフィア生などの国立の高等以上の学校に属する生徒は、それらに次ぐ特別貴族という階級が与えられる。

貴族階級を持つ者は、国の様々な秘密などに触れやすい位置に立つこととなるが、それと同時に厳しい監視体制が敷かれている。

中央公園のすぐそばに白くシンプルな優美さを持つ波をイメージしたような建物がそびえ立っている。

建物の前には『マルクト国立装騎ミュージアム』の文字が刻み込まれた大理石が飾られている。

「ここが装騎ミュージアム……」

「そ。ここに装騎管理局のステラソフィア支部もあるんだ」

装騎管理局は、様々な機甲装騎のデータや実騎を管理する施設で、あらゆる地域にその支部が存在する。

機甲装騎を個人所有する際は、自らが所属する区域の管理局へと申請を出さなくてはいけず、多少の使用料を払うことで、ガレージを持たない場合は装騎を預けることも可能となる。

ステラソフィア生への支給装騎は、書類上は国の所有となるため、この装騎管理局ステラソフィア支部の下で管理、保管される。

各管理局や、装騎管理施設へは地下の輸送ルートを用いて繋がっている。

「よっしゃ、入るか!」

「はい!」

受付でSIDパッドを提示し、施設の中へと足を踏み入れる。

様々なパネルに、装騎の歴史やデータが表示されている。

少し奥へと進むと、そこにはマルクト製機甲装騎の直接的な先祖となる、初代機甲装騎――PS-01、そして、マルクトを大国へとのし上げたPS-L――ルシフェルが展示されていた。

「コレが、ブランクワン――――初めてマルクト国が作った機甲装騎――――――それに、伝説の名騎PS-L!」

かつてチャリオットが最強を誇っていた時代、チャリオットに対抗する兵器として競技用の大型鎧を軍事転用した結果、生み出された人型兵器である機甲装騎。

一部の魔導国家で使われていたゴーレムの技術も参考に、ブリタイ王国という島国が最新技術であった魔動力機関の持つ莫大なエネルギーでの駆動補助により実用化へとこぎつけた。

そんな折、まだ小国だったマルクトが作り上げた最初期の装騎――それが、PS-01――――ブランクワンだった。

まだ、政治能力などが未熟だったマルクトは、その穴を埋めるために国中の技術者や賢人を集め、スーパーコンピュータ・シャダイの建造に成功する。

その経緯や、実状は完全にブラックで、国の上層階級でさえ把握し切れていないのだが――――そのシャダイコンピュータの力によって、特殊金属セラドニウム、そして魔動力機関の改良により今のアズルリアクターの前身となる魔電霊子機関の開発、電磁誘導投射による強力な銃器の開発に成功。

それら技術の結晶とも言える、初のセラドニウム装甲で魔電霊子機関を搭載したPS-L――ルシフェルを開発。

そこから次々と生まれたセラドニウム製魔電霊子駆動装騎の圧倒的な性能により、周囲の国々を多々吸収――軍事大国として名を馳せる事になった。

装騎ミュージアムを一通り見回った後、ミュージアムに併設された装騎管理局へと足を向ける。

SIDパッドを提示し、見物を申請。

スズメとツバサは管理局地下の装騎保管庫へと、エレベーターで降り立った。

保管庫へと降り立ったスズメの目の前に、様々な装騎がクラウチングをするようなポーズで呼び出しを待つ。

「あれ、ここにいる装騎ってどこか見覚えが――――」

「ステラソフィア支部の管理局だしな。基本的にはステラソフィア生が使ってる装騎が保管されてるし、見覚えがある装騎が多いのも当たり前だろうな」

「なるほど! それじゃあ、スパローもここに保管されてるんですか」

「そうだな」

ツバサと一緒に、リフトを使用して、装騎を見て回る。

いくら関係者と言えど、そう簡単に触れることはできない用に強化ガラスで遮られているが、中々圧巻だ。

そんな中、一体の装騎の周りを様々なアームが取り囲んでいる姿が見えた。

「アレは――――メンテ中なんですかね?」

「そうだな。簡単なメンテくらいなら全自動でやってくれるし、便利なものだよなぁ」

流石に、大きな破損などが起きた場合は、専任の技術者がその手をかけるが、機甲装騎には搭載されたナノマシンなどのお陰もあり、簡単な整備は機械任せでも全く問題が無い。

一通り装騎を見て回り、気付いた頃には13時を回っていた。

「流石に昼飯にするか?」

「はい!」

それから近場で昼食を取り、スズメはツバサに中央街を案内してもらう。

そんな感じで、特に何も起きない静かな日曜は過ぎて去っていった。


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