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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
絶対・王者・バーチャルスター
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太陽遊星天

「ひゃっはァ! ヤってヤるんですよォ!」

ロゼルを挟み込んだスパローとチリペッパー。

一瞬の静寂を破り、チリペッパーが突っ込んで行った。

思いっきり放たれるチリペッパーの蹴り。

「甘いっ」

「うおったぁ!」

それを易々とかわすと、お返しとばかりにロゼッタハルバートの一撃を返す。

だが、チリペッパーも軽く回避した。

その隙を狙って切り掛かったスパローの胴体をロゼッタハルバートの石突が突き上げる。

「くぁっ――――!? 」

攻撃をかわし、凌ぎ、反撃しては体勢を立て直し、それを繰り返しながら戦いは続く。

「お姉ちゃん!」

ロズがソレイユに通信を入れる。

「良いぜ!」

その一言で、ロズの意図が伝わったらしくスーパーセルの相手をしながらもソレイユは頷いた。

「えっ――!?」

不意にロゼルが踵を返す。

そのまま、スパローとチリペッパーに背を向け、駆け出した。

「待ちやがるんですよォ!」

そのロゼルを追いかけようとするチリペッパー。

「マッハ先輩、待ってください!!」

ロゼルのあの動きは間違いなく誘っている。

先にスパローとチリペッパーがやったように。

スズメはチリペッパーを止めようとするが、だがマッハが聞くはずもない。

宿敵であるツミカワ・ミズナの装騎ミルキーウェイを自らの手で撃墜出来た事で、更にテンションが高くなっていると言うのも響いた。

「くっ――――私が何とかカバーできればいいんですけど……っ」

仕方なく、チリペッパーの少し後ろから追いかけるスパロー。

ロゼルはそのままソレイユの装騎セイクリッドに急接近。

「これは――――マッハちゃん! 下がれ、マッハちゃん!!」

セイクリッドへと突っ込んで行くロゼルと、それを追いかけるチリペッパーの動きに気付いたツバサが叫ぶ。

「いくわよ、お姉ちゃんっ――――!!」

「ああ来い、ロズ!!」

そして、その勢いのまま、ロゼッタハルバートをセイクリッドに向かって薙ぎ払った。

「「太陽遊星天サンライト・レヴォルヴ!!!」」

「不味いっ!!」

危険を感じたスーパーセルは咄嗟に、セイクリッドとの距離を取る。

横薙ぎに払われたロゼルのロゼッタハルバートがセイクリッドを切り裂く――――その瞬間、セイクリッドが払われたロゼッタハルバートの上に飛び乗った。

ロゼッタハルバートを振り払った勢いのままロゼルはその身を回転させる。

ロゼルの正面が、背後から追いかけてきていたチリペッパーに向いたその時――――ロゼッタハルバートに飛び乗っていたセイクリッドが――――跳ねた。

「なんですトぉ!!??」

ロゼルがロゼッタハルバートを振り回した時の勢いをカタパルトのように利用して、真っ直ぐチリペッパーへと飛び出すセイクリッド。

そのまま――――構えたオリエンタルブレードでチリペッパーを一閃。

機能を停止させた。

一方のロゼルもその勢いのまま、スーパーセルを正面に捉えるとロゼッタハルバートの一撃を放った。

「す――――すごい………………」

セイクリッドの騎使ソレイユの名が『太陽』を意味する事から、ロゼルを地球、ロゼッタハルバートに乗ったセイクリッドを太陽に見立て、地球を軸とした太陽天の公転運動のような動きをするソレイユとロズの連携技だ。

スーパーセルはロゼルの一撃をかわしたが、チリペッパーが撃破され2対2の状況となった。

数の上では同じなもののスーパーセルは左腕を失くし、右腕のアンカーも使えない。

対して、バーチャルスターの2騎は無傷に近い――――状況的にはブローウィングの方が不利だった。

セイクリッドとロゼルが背中合わせになりながら、セイクリッドはスパローと、ロゼルはスーパーセルと相対する。

斬りかかるスパローとスーパーセルと、それに対し代わる代わるに対応するセイクリッドとロゼル。

スパローのナイフが、スーパーセルのチェーンブレードが、セイクリッドのオリエンタルブレードが、ロゼルのロゼッタハルバートが――輝き、閃き、打合い、響き合いながら剣戟を繰り広げる。

そして、スパローとセイクリッドが何度目かの切り結びを経た頃。

「行きますっ!」

スパローが右手に握ったウェーブナイフを逆手に持ち直し、フックを打つように拳を突き出す。

「そんな動きでっ!」

その拳とナイフの刃を回避したセイクリッド。

スパローは、フックを打った流れでセイクリッドへとその背を向けた。

「へっ、背を向けるなんて――――甘いぜっ!」

自らにその背を向けたスパローに、オリエンタルブレードを叩き込もうと構えたセイクリッド。

「――――! 違うっ――――ロズ!!」

だが、その動きがわざとだと言うことに気付き、ソレイユが叫んだ。

その瞬間だ――――

「ムーンサルト――――」

スパローはその身を跳躍させ、バク転宙返りをするように宙を舞った。

狙うのは、セイクリッドと背を合わせるようにしてスーパーセルと交戦している装騎ロゼルだ。

宙を舞ったスパローは、しなやかに大地へと――ロゼルと交戦するスーパーセルの右隣へと並び立つ。

そして、

「ストライクっ――――!!!」

その声と同時に、スパローのブレードエッジが発動し、全身から刃が現れる。

そしてそのまま、スパローはロゼルへと突っ込んだ。

「させないっ!!」

ギリリリリリ

スパロー・ブレードエッジの碗部ブレードが、ロゼルのロゼッタハルバートとぶつかる。

「ツバサ先輩!」

「ああ!!」

その瞬間の隙を突き、スーパーセルのチェーンブレードが閃いた。

スーパーセルの一撃は、惜しくもロゼルの機能を停止させる事は無かったが、ロゼルの右肩が抉り取られ、地面へと落下する。

それと同時に、一瞬左腕の力が緩む。

そして、スズメはそれを見逃さなかった。

「もう、1撃ィ!!」

ロゼッタハルバートを力任せに押しのけると、ロゼルの胴体目がけてスパローの碗部ブレードが閃いた。

その一撃は、的確にロゼルの機能を停止させた。

「ロズ――っ!! クソッ、中々やるぜ」

「これで形勢逆転――ってね! 正直、スズメちゃん居なかったらヤバかったけど……」

「さぁ、残り1騎です!」

「オレがそう簡単に――――やられると思うか?」

最後の1騎となった装騎セイクリッド――そして、その騎使ソレイユ。

だが、堂々としたその姿から感じるのは圧倒的な余裕。

「どうやら最後まで油断できなさそうですね……!」

「ま、それでこそソレイユってね」

そして、再びスパローとスーパーセルが駆けた。

激しいスパローとスーパーセルの攻撃を、オリエンタルブレード一本で凌ぐセイクリッド。

その激しさは段々と増し、それと共に、打ち合いが奏でるリズムとビートは熱を帯びていく。

不意に――――蒼い揺らぎがセイクリッドの体がから漏れ出す。

ソレイユの集中力がピークに達する。

そして――――

「不味いです――この感じは――――――」

「クリティカル・ドライブ――!!」

セイクリッドが――――そのアズル・リアクターが、限界駆動クリティカル・ドライブの域に達した。

「行くぜッ――――光波ッ!!」

オリエンタルブレードを薙ぎ払った後、突き出された左腕。

その手の平から――――エネルギーの迸りが閃いた。

「スズメちゃん!」

「はいっ!!」

カッ!!!

目をくらませるような眩い輝きが一瞬、放たれた後――――その輝きに抉られるようにして、地面が焼きついていた。

スパローとスーパーセルは咄嗟に回避した為、ダメージは無かったがその焼跡に戦慄する。

だが、そんな思いを胸に浮かべるも一瞬。

セイクリッドは、凄まじい素早さでスパローに迫ると、オリエンタルブレードを構えた。

「早いっ――――!!??」

刹那、セイクリッドのオリエンタルブレードが閃く。

それは一瞬の出来事――――だが、一閃では無かった。

「刃が――――分かれて!?」

その一撃を防ごうとするスパローだったが、その瞳に映ったのは凄まじい太刀筋。

その1撃は、1撃でありながら1撃では無かった――――。

つまり――――一瞬の内に、幾筋もの刃を走らせる必殺の技。

「シューティングフレア」

スパロー・ブレードエッジの碗部ブレード、ブレードウイングに頭部ブレード、肩部ブレードなど体中のブレードが切断される。

しかしスパローも、それだけ驚異的な一撃を受けてなお被害がそれだけで済んでいると言う恐ろしさもあった。

「そんな――――稼働状態のブレードが――――切断されるなんて!?」

「あの技を凌いだ――――なんて1年だよ。バケモノか……!?」

「マジかよ…………完全にアタシの立つ瀬無しじゃないか……でも…………」

グッとツバサは拳を強く握りしめる。

それに連動するように、スーパーセルの右手が強く握りしめられた。

「いっくぞぉぉおぉおおおおおおお!!!!」

ツバサの気合の一声と共に、スーパーセルのデュオブースターが激しく火を噴きだす。

チェーンブレードを構え、その標的は言うまでも無くセイクリッド。

「来るか、ツバサ!!」

「行くぜ、ソレイユァ!!」

セイクリッドはスパローを蹴り飛ばすと、その体をスーパーセルへと向ける。

「ツバサ先輩!?」

「スズメちゃん――――ソレイユは強い。そうだろ?」

「はい――――クリティカル・ドライブまでされたんじゃ――――勝ち目は――」

「だからアタシがそれを作る。1撃かもしれないし、一瞬かもしれない――――でも、スズメちゃんなら――――――行けるな!?」

「――――!!! 当たり前です!」

刹那、スーパーセルのチェーンブレードとセイクリッドのオリエンタルブレードがぶつかり合う。

その音は激しく、強く。

ガガガガガガガと間髪入れない激しい剣と剣のぶつかり合う音。

クリティカル・ドライブへと入ったセイクリッドに斬りかかるスーパーセルの姿は、まるで互角にやり合っているかのようだった。

「切り結ぶ度にツバサもスズメちゃんもどんどん強くなっていく――――全く、なんてチームだよこのブローウィングは!」

「アタシが負けても良い――――だけど、アタシ達は――ブローウィングは――――――負けないッ!!」

ツバサの感情が昂ぶる。

互いのビートが白熱する。

「いっけぇ、スーパーセル!!!!」

「勝つぜぇ、セイクリッドォ!!!!」

そして、スーパーセルとセイクリッドが交差した。

セイクリッドのオリエンタルブレードはスーパーセルを的確に捉えており、スーパーセルはその機能を停止した。

「スズメちゃん――――後は、任せたぞ!」

「任せてくださいツバサ先輩――――この1撃で、決めます!!!!」


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