表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
絶対・王者・バーチャルスター
49/322

逆境に吹く風

「行きますわ――魔力、銃撃!!」

接近1発。

チャイカの装騎スネグーラチカの銃口が閃き、魔力を帯びた弾丸が放たれた。

ソレイユの装騎セイクリッドと、サリナの装騎ラピスラズリは軽々と魔力銃撃を回避すると、セイクリッドがオリエンタルブレードを構え、前に踏み込んでくる。

その1撃は、スネグーラチカを狙ってのものだ。

「行くぜぇ! 抜刀――――一閃!!!」

素早く、まるで光のように閃いたセイクリッドの持つオリエンタルブレード。

その刃はスネグーラチカを捕える――――より先に、それを受け止める影があった。

ツバサの装騎スーパーセル。

そのチェーンブレードだ。

ギギギギギィィィイイイイ

スーパーセルのチェーンブレードと、セイクリッドのオリエンタルブレードが激しく火花を散らしながら鍔迫り合いをする。

その隙に、後ろに下がったスネグーラチカが、スナイパーライフル・リディニークを構えた。

「行きますわ――――」

ダン! ダン!

激しく火花を散らしながら、斬り合いをするスーパーセルとセイクリッド。

そんな2人に向かって、スネグーラチカはスナイパーライフル・リディニークのその引き金を引いたのだ。

「何だとッ!?」

その弾丸は正確にセイクリッドの装甲を削る。

激しく動くセイクリッドを、同じく激しく動くスーパーセルの背後から正確に射撃してみせたのだ。

「必殺影撃ち――――なんちゃってですわ」

「サリナ――――!」

「分かってます!」

タタタタタタとラピスラズリの10mmストライダーライフルがスネグーラチカに向かって撃ち放たれる。

「来ましたわね!」

その銃弾を、魔力障壁で防ぐスネグーラチカ。

ラピスラズリはその隙に10mmストライダーライフルを左手に持ち直し、ウェーブシャムシールを右手に構えた。

ウェーブシャムシールにエネルギーが供給され、その刃が振動を始める。

ラピスラズリは左手で10mmストライダーライフルを撃ち放ちながら、その身を捻り、スネグーラチカの背後を狙う。

「行きます!!」

「魔力、剣撃!」

ガギィィイイイン

ラピスラズリのウェーブシャムシールと、スネグーラチカの魔力剣撃がぶつかり合う。

各所で、刃と刃がぶつかるような音が響く。

スーパーセルとセイクリッド、スネグーラチカとラピスラズリ。

その激しい剣戟が繰り広げられる。

そんな最中、不意にスーパーセルがその左腕をよそへと向けた。

「何をする気だ――?」

「へへっ、行くぞスーパーセル! 行くぞチャイカ!」

「諒解ですわ!」

スーパーセルの左腕のワイヤーアンカーがラピスラズリに向けて放たれる。

「ひぇ!? ソレイユ先輩っ」

そのワイヤーアンカーはスネグーラチカと交戦していたラピスラズリの右腕を絡めとる。

「いっけぇ! ラピスラズリブレイク! なんてな」

グッとラピスラズリはスーパーセルのワイヤーアンカーに引かれる。

そのラピスラズリはセイクリッドに向かって叩きつけられた。

「うげっ、そう来るのかよ!?」

ラピスラズリがセイクレッドに叩きつけられ、体勢を崩した瞬間、スーパーセルは右腕のワイヤーアンカーを手近な木に刺し、急速回避。

その瞬間――

「魔力、砲撃ですわ!!」

スネグーラチカのスナイパーライフル・リディニークから激しい魔力の波が撃ち放たれた。

「やったか!?」

「――――いえ、まだ、ですわ!!」

魔力砲撃の波が過ぎ去った後――――だが、そこにセイクリッドとラピスラズリの姿は健在だった。

ラピスラズリの左腕を一体化するかのように装備された霊子シールド・アズライト。

そこから霊子の力があふれ出し、バリアフィールドを形成していた。

「あぶねーな! ラピスラズリにシールドが無かったら即死だったぜ」

「死にはしませんけどね」

「サリナさ、ちょっとロズに似てきたか……?」

「ええ!? そんなこと無いです!! まぁ、ロズ先輩みたいになれるならそれはそれで……」

「お、おう……」

そんなことを言い交しながらも、素早く体勢を立て直すセイクリッドとラピスラズリ。

「流石にあの程度じゃ獲れねーか」

「流石はバーチャルスター――ってことですわね――」

「チャイカ――次、頼むぞ!」

「ええ――――魔力、散撃!!」

セイクリッドとラピスラズリに向かい、魔力を放つスネグーラチカ、

「来るぜ、サリナ!」

「はい!!」

「さて――――そろそろ本気を出してみる頃合い、かな?」

放たれた魔力は散弾のように弾け飛び、セイクリッドとラピスラズリを襲う。

そんな魔力の波を、セイクリッドはオリエンタルブレードを閃かせ、ラピスラズリは霊子シールド・アズライトのバリアフィールドで防ぎきる。

スネグーラチカの1撃が、一瞬相手の目を暗ましたその間に、スーパーセルはワイヤーアンカーを巧みに使い、素早く木々を移り渡り、セイクリッドとラピスラズリの背後へと回り込む。

閃くスーパーセルのチェーンブレード。

その動きにセイクリッドは全く反応する素振りは無かった――――が、

「何ッ!?」

「斬――――!!」

スーパーセルのチェーンブレードがセイクリッドを捕えんとする瞬間、不意に、くるりとセイクリッドを体ごと回転させると、オリエンタルブレードをスーパーセルへと閃かせた。

「カウンターかっ!!」

「貰ったぜェ!」

「危ないのですわっ!!」

セイクリッドの刃がスーパーセルを切り裂かんとした瞬間、スネグーラチカの銃口から魔力の奔流が放たれた。

それは、魔力を弾丸に乗せた銃撃魔術ブリットスペル――――では無い。

スナイパーライフル・リディニークを起点にし、ただ出鱈目に魔力を放った魔力の暴風。

その、一撃はセイクリッド――――では無い。

スーパーセルに向かって向けられていた。

「ぐぉっ――――!!!」

魔力の暴風に吹き飛ばされ、その身を宙に浮かすスーパーセル。

その左腕がセイクリッドの刃によって引き裂かれ、僅かに火花を散らしている。

だが、チャイカのお蔭でセイクリッドの放つ刃の1撃によってその機能の停止から逃れる事ができた。

「サリナ!」

「もちろん! ――――抜刀、一閃!!」

しかし、その所為でスネグーラチカに隙が出来た。

ウェーブシャムシールを抜刀術のような構えで持ち直すと、ラピスラズリはスネグーラチカに肉薄。

刹那――――その鋭い閃きがスネグーラチカを引き裂いた。

「今のは――ソレイユさんのっ――――」

「後輩に技術を伝えるのも先輩の役目だぜ」

セイクリッドが先に見せたその技と、全く同じ鋭い抜刀技。

まだ、精度や速度はセイクリッドのそれには及ばない部分があるものの、十分な鋭さを持ってスネグーラチカを襲う。

「くぅぅうううっ!!!」

機能停止の間際、スネグーラチカのスナイパーライフル・リディニークがガスッとラピスラズリの装甲に突き立てられた。

「ええっ、まだ、動くなんて!?」

「そう簡単にやられはしませんわ――――!! 魔力、暴発――――」

そのスナイパーライフル・リディニークの銃口を伝って、過剰な魔力がラピスラズリへと流し込まれる。

そして、魔力が爆発を起こした――――。

「チャイカ――!! くっ、アタシを庇ったから――――!」

ワイヤーアンカーを木々に突き刺し、なんとか体勢を立て直したスーパーセル。

そのコクピットで、ツバサは歯噛みをした。

「全く――相変わらず無茶しやがるぜブローウィングのヤツら……!」

そう余裕ぶりながらも、内心冷や汗を流しながらそんなことを呟くソレイユ。

爆炎が明けた後――――そこには完全に機能停止したスネグーラチカと――

「しっかし、サリナ――――なんとか耐えたみたいだな」

「はい――――危なかったです……」

全身にダメージを受けながらも、何とか機能を維持しているラピスラズリの姿があった。

「止めは刺せず――ね……でもチャイカ、お前の行為は無駄にはしない! 行くぞ……GO、スーパーセル……」

スーパーセルはチェーンブレードを構える。

ツバサは意識を集中する。

もし仮に、1対1で万全な状態であれば互角の戦いはいけるだろう。

その自信はツバサにはあった。

それはツバサの実力がそれだけソレイユに拮抗しているから――というよりも、ゲームで、そして実戦で、長い間刃を交えたライバルとして大体の動きは読めるから――――というだけなのだが。

しかし今は、王者たるバーチャルスターを引っ張ってきたディアマン・ソレイユ相手に、数もこちらの方が不利。

加えて、こちらは手負いだ。

正直勝てない。

だが、これだけ敗北色の強い状況こそ――――

「GO!!!!」

燃える!!


オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑

挿絵(By みてみん)

1年:チーム・バーチャルスター所属

名前:Elena Ron Sarina

読み:エレナ・ロン・サリナ

生年月日:聖歴152年6月12日

年齢:15歳(4月1日現在)

出身地:マルクト国神都カナン

身長:155cm

体重:50kg

使用装騎:PS-A4S:Lapis Lazuli(ベース騎PS-A4:Abdiel)

好みの武器:ウェーブシャムシール

ポジション:リベロ

公立フリューゲル機甲学校出身。

珍しい一般入試合格者。

趣味は物差し収集。

個人的な声のイメージは高野直子さん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ