表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
宿敵! ミステリオーソ!!
36/322

リベンジマッチ

「ついにやって参りました! 準決勝ぉ!!」

モニター前の舞台上でマイクを片手に声を上げるミウラ・リタ。

その言葉に呼応するように、会場が一段と盛り上がりを見せる。

「Aブロック準決勝! 無限の星は夢の数。チーム・バーチャルスター!!」

落ち着いた表情で装騎の最終調整をするチーム・バーチャルスター。

さすがは優勝最有力チームだけあって、その態度には余裕がある。

「対するは、希望は我らに。オラシオン!!」

それぞれの装騎と騎使の紹介がモニターに流れ、次はBブロックに切り替わる。

「そしてBブロック準決勝! 不思議大好き仲良し4人チーム・ミステリオーソ!!」

4年ヒンメルリヒト・ヒミコと装騎フリップフロップ。

3年クラスタリアス・リコリッタと装騎ラヴァーズ・シックス。

2年レインフォール・トーコと装騎ニューウェイ。

1年ヒラサカ・イザナと装騎アイロニィ。

「対するは、追風一杯、順風満帆! チーム・ブローウィング!!」

4年ワシミヤ・ツバサと装騎スーパーセル。

3年テレシコワ・チャイカと装騎スネグーラチカ。

2年カスアリウス・マッハと装騎チリペッパー。

1年サエズリ・スズメと装騎スパロー。

「ついに始まるな――」

「はい――――!」

「先ほど入ってきた情報なんですが、なんとミステリオーソ1年ヒラサカ・イザナとブローウィング1年サエズリ・スズメは去年の四天王決定戦決勝で戦った因縁の相手らしいです!」

四天王決定戦東ブロック――その決勝で行われたサエズリ・スズメが所属するプラヴダ中とヒラサカ・イザナが所属するヘブンズフィールド中。

そして、両校のエースであったスズメとイザナの戦いを記憶していたものも多く、会場が更に燃え上がる。

「四天王決定戦ではヒラサカ・イザナの勝利で終わったようですが、サエズリ・スズメは今回の戦いでリベンジなるか期待が膨らみます!」

「う、すごく注目されてる気が――――なんか気分が……」

「スズメちゃん大丈夫か?」

「だ、大丈夫です……」

心なしか、人々の視線を一心に受けたような気がしてその重圧を感じるスズメ。

(これくらいで緊張してたらダメ、だ――こんなんじゃ、イザナさんに――――勝てない)

スズメはそう自分に言い聞かせ、深呼吸をする。

「それぞれの試合で勝ったチーム同士が明日行われる決勝戦でぶつかる注目の戦い!! それでは、準決勝――――レディ……」

意識を集中する。

これから始まる戦いに――。

一瞬の――本当に一瞬の沈黙。

そして、その沈黙を突き破る戦いの始まりが――

「ゴォォオオオ!!!!」

告げられた。

「行くぞ――GO! ブローウィングGO!!」

「諒解!!!」

「サエズリ・スズメ――スパロー、征きます!!!」

スパローを先頭に、チリペッパー、スーパーセル、スネグーラチカが続く。

「チャイカ――!!」

「ミステリオーソはアイロニィを先頭に突出させた凧形の陣形を作っていますわ」

「やっぱりアイロニィが先頭か――」

アイロニィを先端にやじり形で向かってくるチーム・ミステリオーソの4騎。

「チャイカ、中央に穴を開けろ!! 相手を分断するぞ――」

「諒解ですわ!」

スネグーラチカが右腕を構える。

まだレーダーにも映っていない明らかな射程外の距離――しかし、相手を揺さぶることくらいは出来るだろう。

「第伍異能――リヒトシュトラーフ!!」

チャイカの唱えたワードに呼応するように、チャイカの魔力が弾丸に重なり、その弾丸は光を纏い放たれた。

魔力を弾丸に乗せ、魔術的な作用を引き起こす銃撃魔術ブリットスペルと呼ばれる術だ。

第伍異能――光の属性を得た銃弾は木々を引き裂きミステリオーソを狙い走る。

チャイカは、それを数発立て続けに撃ち放った。

「銃撃!? まだレーダー範囲内にも入ってないのに!」

「ヒミコ先輩落ち着いて――この距離からだと有効弾にはならないって」

慌てるヒンメルリヒト・ヒミコに、クラスタリアス・リコリッタが冷静にそう返す。

しかし、テンパっているヒミコは操作を誤り、自ら銃弾に向かって跳び出してしまった。

「ってヒミコ先輩バカッ!!」

「うわわわわぁ!?」

ガキィイン

「ヒミコ先輩、大丈夫ですか!?」

「あ、ありがとー、トーコぉ!」

それを救ったのはレインフォール・トーコの装騎ニューウェイ。

ニューウェイがその弾丸を切り裂いたのだった。

「今のは魔術弾でしたね――――」

「ってことはチャイカだなぁ! もう、ビックリさせないでよぉ!!」

そんな先輩3人に構わず、銃弾を軽々と避けながら先頭を走るヒラサカ・イザナのアイロニィ。

フリップフロップ、ラヴァーズ・シックス、ニューウェイの3騎がスネグーラチカの放った魔術弾で掻きまわされ、進行速度が遅れた分、アイロニィが過剰に突出した形となる。

「結果的に分断成功だな! よし、スズメちゃん――もうそろそろアイロニィと接触する。そしたら――頼んだぞ」

「――――任せてください!!」

そして、レーダーにヒラサカ・イザナの装騎アイロニィが表示される。

そのまま、一気に互いの距離が詰まっていく。

通常であれば、このまま行くと4対1と圧倒的不利な状態で交戦する事になるアイロニィ。

だが、ヒラサカ・イザナは怖気づく様子は全くないままに突っ込んでくる。

ヒラサカ・イザナの技量は圧倒的――――だが、それ以上に、その自信が彼女最大の強みなのかもしれない。

そして――互いの先頭を行くサエズリ・スズメのスパローと、ヒラサカ・イザナのアイロニィ――その2騎が接触した。

互いの姿を捉えて1番――スパローはウェーブナイフを、そしてアイロニィはナイフ・クサナギを構え、ぶつかる。

「ヒラサカ・イザナ!」

「サエズリ・スズメ…………ッ」

互いの顔に笑みが浮かぶ。

ぶつかり合い、削り合いながら火花を散らすスパローとアイロニィ、互いのナイフ。

その背後から、スーパーセル、チリペッパー、スネグーラチカが飛び出してくる。

「やる気――――かしら」

イザナがそう呟き、その3騎に目を向けるが――3騎はイザナを避けると、他の3騎を狙いその背後に消えていく。

「――――面白いわね」

定石であれば、このまま4騎でアイロニィを集中攻撃をして各個撃破していく方が良い――それが当たり前だ。

だが、アイロニィに攻撃するそぶりを全くに見せずその場を離れた3騎。

そして、正面から相対するスパロー。

それが何を意味するのか、理解するのに時間は要らない。

「ヒラサカ・イザナ――――正々堂々、真剣勝負です!」

「リベンジマッチ――という訳ね。良いわよ、今度こそ――本気で来なさい!!」

スパローとアイロニィが交戦するのを背に、ブローウィングのスーパーセル、スネグーラチカ、チリペッパーはミステリオーソの3騎を狙い、駆けていた。

一方、少しばかり進行が遅れていたフリップフロップ、ラヴァーズ・シックス、ニューウェイも立て直し、ブローウィングの3騎を目指して駆ける。

「スパローとアイロニィで一騎打ちかぁ――くぅ、かっこいいことするねぇ!」

「ヒミコ先輩何言ってんの――わたし達もアイツらと一騎打ちでもする?」

「あたしは是非ともワシミヤ・ツバサをフルパワーでボッコボコにしてやりたいんだけど構わないよね!!」

「ご自由に――――それじゃ先輩、相手の分断頼んますよー」

「おっけーリコちゃん!」

リコリッタの言葉に、装騎の指でOKとサインを出すと、フリップフロップのローラーが降り、加速する。

「エネルギー充填!」

そして、胸部の拡散霊子砲ヒルメフラーレにエネルギーをチャージする。

通常、射程は短く威力も低い胸部拡散霊子砲――しかし、そのエネルギーをチャージする事でその射程と威力を伸ばすことが可能となるのだ。

互いの装騎が互いのレーダーに映る。

「ヒルメフラーレ――――発射!!!」

その瞬間、フリップフロップの胸部拡散霊子砲ヒルメフラーレが黄金の輝きを発した。

「何!? 拡散霊子砲――――!!」

不意に走ったヒルメフラーレの光。

だがブローウィングはそれぞれが散開し、拡散霊子砲を回避する。

「ブローウィングが散り散りになったよ! さぁ、ミステリオーソ、とっつげきぃ!!!!」

ヒミコの号令と共に、フリップフロップはスーパーセル、ラヴァーズ・シックスはチリペッパー、ニューウェイはスネグーラチカを目指して突撃した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ