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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
スヴェトの脅威:最強最優の使徒
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第33話:ale Syn Člověka Nemá, Kde by Hlavu Složil

ale Syn Člověka Nemá, Kde by Hlavu Složil

   -だが、人の子には枕する所もない-

『チィ、ブエル!!』

『行け、バシン。其方そなたの脚であれば間に合うだろう』

『ああよ!』

燃え盛る悪魔装騎ブエルを助け出そうと悪魔装騎バシンが蛇に飛び乗る。

「悪魔装騎バシンを逃がすな! スヴェトを助けるつもりはないが――ブエルを倒せないと厄介だ」

咄嗟に指示を出すゲルダだが、悪魔装騎バシンはあっという間にŠÁRKAから距離を引き離していた。

「ゲルダ、言うのは簡単だけどアイツ――意味わかんないくらい早いじゃない!」

「ツバメさん、わたしのアズルストリームに乗るであります!」

装騎ブルースイングは霊子衝浪盾アズライトを構えると、アズルの流れを盾の周りに巻き起こす。

「仕方ないわね。行くわよアオノ!」

それに乗り、一気に駆け出だそうとした装騎ヴラシュトフカだったが――

『させん』

悪魔装騎ベリスがその行く手を阻んだ。

「チッ、邪魔よ邪魔、邪魔なのよ!」

『何人たりとも――先には進ません!』

「ビェトカ、ならば私達が……」

「モチ! って、うわっ、早っ、キモっ!?」

「ビェトカ!!」

ならばと装騎ピトフーイDと装士フーシーが悪魔装騎バシンを迎え撃とうとするが、バシンが乗る蛇の素早さは想像以上。

みるみる内に装騎ピトフーイDと装士フーシー、更には天使装騎グレモリーと天使装騎グラーシャ・ラボラスを振り切る。

そして、悪魔装騎ブエルの側へと近付いた。

燃え上がる悪魔装騎ブエルの残骸を、悪魔装騎バシンはそっとすくい上げる。

『ブエル……』

『ウォラ……』

「フェリパさん!」

『あいよっと!』

何をするつもりなのかは分からないが、悪魔装騎バシンを叩くなら今。

そう思ったスズメの指示に従って、天使装騎アモンが霊子杖ワセトを高く掲げた。

『ブエル、最期の力を任せてくれな!』

『ウォル!』

瞬間、悪魔装騎バシンの蛇が、悪魔装騎ブエルと……そしてバシン自身を飲み込んだ。

「食べた!?」

『お前も来いっ! ベリス!!』

『嗚呼、我らの最期――華々しく彩ろう』

蛇は悪魔装騎ベリスも飲み込む。

そして、蛇は……生々しい音を立てて破裂した。

『ちがう……大きく、なってる!?』

『ムゥ……厄介だナ』

そう、破裂したのではない。

破裂するようにみるみる巨大になっていったのだ。

「まさか――合体、かしらね」

「ンナ、ニャオニャンニャーじゃないんだから!」

しかしイザナの言う通り。

そこに現れたのは悪魔装騎ベリス、バシン、ブエルの特徴を持った1体の悪魔装騎。

紅蓮のマントが幕のようにたなびき、蜷局を巻いた蛇が玉座を頂く。

その玉座の後ろには獅子の顔が輝き、剣を持った4本腕がマントの内に2本、外に2本、観客を引き裂かんと待ちわびていた。

三位一体となった悪魔装騎――その名は

『吾等は、ゼブル。装騎殿ゼブル!!』

「つーか、でっかァ……」

ビェトカの額に汗が滲む。

装騎の数倍はある巨体が、どういう力が働いているのか天に浮き上がり悠々と見下ろしてくる。

「ジェネラル・フロストと……どちらが大きいんでしょうねコレ……」

『ルシリアーナの、超重装騎ですよね。先の大戦で使われたと言う』

『お、もしかして戦ったのかな? 使徒スズメは!』

「はい、まぁ」

だが、感じる迫力はどう考えてもジェネラル・フロスト以上。

「ピピ、とりあえずつついてみて!」

「わかった」

装騎ネフェルタリがスナイパーカノン・メリエンムトを構え、装騎殿ゼブル――その蛇の頭を狙い引き金を引いた。

アズルを纏った弾丸は装騎殿ゼブルの目の前で、風に吹かれたようにブレる。

それも一瞬――蛇の頭部へと命中した。

が、

「有効打では無さそうだね。というか、剥がされたみたいだ。アズルをね」

「なるほどね。あのゼブルとかいう装騎――浮くために霊子力場アズルフィールドを纏ってるのね」

イザナの言葉通り、装騎殿ゼブルはアズルを用いた特殊な力場によって擬似反重力状態となり宙に浮いていた。

「あれだけの巨体を浮かせるには相応のアズルが必要な筈です。それだけで、一種の防壁となるような――いえ、さっきのネフェルタリの攻撃を見た感じ、防御と言うよりは――」

『吸収、ですね。アズルの吸収』

「そうです」

『でも、弾は当たったじゃない? 物理で攻めれば勝機は――』

「無いです。ピンピンしています」

『よねー』

スズメの考えでは、装騎殿ゼブルの周囲に張り巡らされたアズルフィールドと、ゼブル自身の体表を覆うアズル防壁の二段構えになっているのではないか……そう考えていた。

そして、それはイザナの推測も同じ。

「なるほどね。流石にアズルの直撃はキツいから先にあのフィールドで引き剥がすんじゃないかってコトね」

「そうよ。そうなると、先にあのアズルフィールドをどうにかして、そこに一撃を叩き込むことになるけど――どうしたものかしらね」

「そりゃもう、吸収できないくらいのアズルを叩き込むしかないつしょ?」

「相手の容量とこちらの余力を考えるなら、この数じゃあね……まぁ、スズメ達、スヴェトと協力するってなら、あるいは、ね」

ビェトカはその顔を装騎スパローTAに向ける。

その意図を察したスズメは頷いた。

「作戦を説明します。マチアちゃん――グレモリーにはアズルの操作能力があります。ですから、グレモリーの力で敵のフィールドに穴を作った後に全力攻撃、それがベターでしょう」

スズメの声は、ビェトカ達ŠÁRKAの元へも届く。

それは、今回は共闘するという意思を伝えていた。

『ですけど、グレモリーの力を使用するにはある程度近付かないといけません。その援護と、あとは――うわぁ、イヤだなぁ』

『なるほど、グレモリーを飛ばさないといけない訳か!』

装騎殿ゼブルは宙に浮かんでいる。

その為、天使装騎グレモリーの能力を最大限に発揮するためには天使装騎グレモリーを何かしらの手段で打ち上げないといけなかった。

「打ち上げは私のスパローと、あとはフニャちんが協力してくれればきっと」

『Grrrr』

どこか不満気なフニャトだが、ゆっくりと装騎スパローTAのそばへと近付いてくる。

「ありがとフニャちん……ごめんね」

「んじゃあ、あとはアイツの気を引けばいいワケ?」

「フィールドが剥がれた瞬間に攻撃を仕掛けるチームと、それまで相手の気を引く囮チームが必要ですね。さらに囮チームの中でも率先して相手の気を引けるような――そんな人が1人はいてくれると頼もしいんですけど……」

装騎殿ゼブルのフィールドを破れても、その時に効果的な攻撃を繰り出せる装騎がいなければ意味がない。

恐らく、そのタイミングは一瞬。

であれば、その一瞬に全力攻撃できるよう予め装騎を配置しておきたいと、スズメは考えていた。

「攻撃のタイミングとポジション、その両方が揃うまで囮のリーダーになる人が必要なのね」

「みんなで囮すればイーんじゃナイの?」

「それだとタイミングを合わせるのが難しいからだろう。いざフィールドが破れた時に、誰も攻撃態勢に入れなければ意味がない。となると、絶対的に目立つ1人は確実に必要だな。ただ、リスクも高いが」

『つまり、大暴れできるヤツが欲しいんだろ!? ならばオレに任せろォォォォオオオオオ!』

突如響いた意気揚々とした声。

『この声――天使バルバトスぅ!?』

『その通り! 強敵との戦いとなればオレの出番だろうが! 一歩間違えれば死ぬスリル――くぅ、ワックワクもんだァ!』

「前々から思ってましたけど、あの人ってヤバい人ですよね」

『はい……ヤバい人です』

『オレに続けェェェェェエエエエエエエエエエエ!!!!』

天使装騎バルバトスは一気に装騎殿ゼブルのもとへ突っ込むと、両手に構えた霊子猟銃シャーウッドをデタラメに撃ちまくる。

「まぁ、良い囮じゃない。ŠÁRKAも続くわよ。ポジションは送った通りに」

「こういう行動が早いのは助かるわー! さーって、んじゃ、ŠÁRKA、Do Boje!!」

「Sweet Dream! 負けてられないわよ!」

「つまり、わたし達も走り回って相手の気を逸らせば良いんですよね!」

「ポップは無理しなくてもいいわ。私だってついてるもの」

天使装騎バルバトスの後ろにつき、囮役の支援を行う装騎アントイネッタ、装騎ルシフェルⅦ型、装騎チェルノボーグ。

「きっとスズメ先輩から合図が来るはずであります」

「う、うん。そのタイミングで装騎を飛ばせば良い――んだよね」

攻撃チームを装騎殿ゼブルへ飛ばす為、アズルストリームでのカタパルト役を務める装騎ブルースイングと装騎エルジュ。

「わたしはしっかりと援護しようか。狙撃騎だからね」

「ああ、ワタシも魔術使だしな。遠距離は任せてもらおう」

囮部隊、主力部隊の両方の援護を務める装騎ネフェルタリと装騎シュラークz。

それ以外の魔神装騎タルウィ、魔神装騎ザリク、装騎ヴラシュトフカ、装騎ファリア、装騎ボウヂッツァはカタパルトチームを利用して、装騎殿ゼブルへ直接殴り込みをかけるつもりだ。

「まぁ、アタシ達は空飛べちゃったりするけどねー。悪魔だし!」

「あくまで悪魔……」

「ったく、うっさいわねコイツら!!」

「正直、アンタも十分うるさいとは思うけどね」

「教師がそんな身も蓋もないこと言ってもいいのですか?」

下らない会話が繰り広げられるのをよそに、状況はどんどんと進んでいく。

「フニャちん、マチアちゃん、準備は――いいですか?」

『Go!』

『は――はいっ!』

天使装騎グレモリーも覚悟を決め、装騎殿ゼブルに視線を向けた。

「それじゃあ、おいでマチアちゃん!」

装騎スパローTAが装牙リグルに乗り、さらにその上に天使装騎グレモリーが抱かれる形になる。

傍から見るとどこか間抜けにも見えるが、2段構えのカタパルト作戦だった。

『やっぱり、飛ばないとダメ、ですよね』

「アズルフィールドの起点が玉座にあるんですから、マチアちゃんはそこまでは飛ばないといけないですからね」

『そう言ったのは、自分、ですしね……』

「それでは、行きますよ!」

『Gorrrrrrrr!!!!』

装牙リグルが咆哮と共に一気に駆け出す。

装騎スパローTA、天使装騎グレモリーと二体の装騎を背負いながらも見劣りしない加速能力でみるみる内に装騎殿ゼブルの足元に辿り着いた。

装牙リグルを後押しするようにアズルが噴き出した瞬間、

『Gorrrrrr!!!』

装牙リグルは跳躍する。

最高の加速、最高の跳躍、そしてアズルの後押しがあっても装騎殿ゼブルには今一歩届かない。

だが、それも予想済みなのは今更言うまでもない。

「サエズリ・スズメ、跳びます!!」

中空で装騎スパローTAは、装牙リグルを踏み台にして思いっきり跳躍した。

もちろん、その手に天使装騎グレモリーを抱いたまま。

「マチアちゃん、補助を!」

『スズメさん、アズルを!』

装騎スパローTAが全身のヤークトイェーガーからアズルを吹いて更なる加速を付ける。

天使装騎グレモリーはそのアズルを利用して装騎スパローTAの滑空を補助した。

それでも装騎スパローTA達は装騎殿ゼブルの中程までしか届かない。

「これが最後!」

『はい、行きますっ』

装騎スパローTAはバレーのレシーブのように天使装騎グレモリーを打ち上げながら、ヤークトイェーガーを射出。

そのまま、装騎スパローTAは装騎殿ゼブルの蛇の頭に着地する。

一方、天使装騎グレモリーは弾き飛ばされた勢いと、宙を走るヤークトイェーガーを掴むことで装騎殿ゼブルの玉座へと辿り着いた。

『汝は――――!!』

『天使装騎グレモリー、天使の役割に於いて貴女方を討伐します!』

天使装騎グレモリーが念じるように意識を集中させると、その周囲のアズルが渦巻き始める。

魔法陣のようなアズルの文様が完成した瞬間、装騎殿ゼブル周囲の雰囲気が一変した。

「今です!!」

スズメは叫ぶや否や、両使短剣サモロストにアズルを集中させる。

「行くわよ!」

「やぁってやるっしょ!」

イザナやビェトカ、ŠÁRKAの攻撃チームも装騎殿ゼブルに取り付き、

『天使装騎アモンの炎は強く……強く!!』

天使装騎アモンも炎を燃え上がらせた。

天使装騎とŠÁRKA、その全てが集った一撃に――――

『此れが、華、か……』

装騎殿ゼブルは消失した。

「倒したー! よし、コレで一件落着!?」

「まだです!」

「まだだってよ?」

「よねー」

「標的変更です! 目標はŠÁRKA、我らが新世界の為にザ・ノヴェーホ・スヴェタ!」

我らが新世界の為にザ・ノヴェーホ・スヴェタ!』

スズメの号令を合図に、待機していた天使装騎ベリアル等他の天使装騎も姿を見せる。

「やっぱ、こっからが本番ってワケね!」

「全く、本当に容赦ないわね、スズメは」

役割を演じること(ロールプレイ)が大好きだしねェ……」

「来るぞアルジュビェタ!」

「分かってるって! ŠÁRKA、DO BOJE(ド ボイェ)!!」


挿絵(By みてみん)

SSSSS-第二十二回-

数日前

マルクト憲兵「アランディナ憲兵長にテロ幇助ほうじょの疑いがかかっています。ご同行を」

アラモード「分かり、ました……」

マルクト憲兵「こちらの輸送車へ」

アラモード(スズメちゃんが使徒になってから私達の関係がバレてる……一体、これからどうすれば)

マルクト憲兵「到着しました」

アラモード「ここ、は……?」

リン「ようこそアラモード。ブラックウィングの基地へ!」

アラモード「ネーミングセンスぅ……」

カヲリ「違うわ、カヲリリベンジャーズだわ!」

アラモード「センスぅ……」

カレル「チーム名は魁! 反逆王に決まっただろう」

アラモード「センスぅ!!!」

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