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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
鮮烈なるリリィワーズ
29/322

竪琴と死神-演習場を駈ける者-

装騎キラとリラライラを狙って駆けるサエズリ・スズメのスパロー。

「見つけた――」

「来たわね」

正面から待ち構えるのはナガトキヤ・ライユの装騎キラのみで周辺にリラライラの姿は見えない。

「挟撃するつもりですね……」

レーダーに目を向けると、回り込むように動くリラライラを示す光点。

「でも――」

それに気づいていながらも、スズメはスパローをそのままキラへと走らせた。

「このまま来くるのね――」

スパローが両手に握ったウェーブナイフが僅かに振動を始める。

それを迎え撃つように、キラは戦闘鎌インコンシステント・ラヴの刃をレの字に展開し、構えた。

「いきます――!!」

ギィイン!!

スパローの両手に持ったナイフの刃とキラが構える鎌の刃の背がぶつかる。

互いのナイフと鎌がぶつかり合い、火花を散らす。

「そ、そこぉ――!!」

スパローとキラが刃をぶつけ、火花を散らすその後方。

回り込んできていたリラライラが飛び出し、スパローへ向けてダガーガン・トロイメライを構えた。

「来た!」

「――――リラライラ、引っ込みなさい!!」

「えっ!?」

トロイメライからダガー弾が射出されたその瞬間、スパローはその身を跳躍させる。

「ムーンサルト――――」

スパローは空中で身を捻らせながらリラライラの背後に向かって落下。

「ストラァァイク!!」

「ひぅっ!? ぅきゃあああ!!!」

スパローのナイフがリラライラを切り裂かんと振るわれた刹那――リラライラの両腕、両足に装備された加速ブースターに火が灯る。

ゴォゥゥウウ!!!

リラライラはでたらめに振り絞られた加速ブースターに引っ張られるように、体勢を崩しながらもスパローのナイフから身をかわした。

虚しく宙を切ったスパローのナイフ。

リラライラは崩した体勢を、体中のブースターを何とか使い立て直すと、キラの背後に控えた。

「あ、あ、あ、危なかったぁ…………」

リラライラの騎使リュディケはそう独り言ちながら、ダガーガン・トロイメライを構えなおす。

「い、いけぇ!」

バシュ! バシュ! と音が響き、リラライラはダガー弾を放った。

そのダガー弾をスパローはナイフで弾き飛ばす。

弾き飛ばされたダガー弾は、木へと突き刺さると、瞬間、爆発した。

「ボムダガー弾――!!」

爆炎が上がり、視界が煙に遮られる。

スズメは素早くレーダーを確認する。

木々へと身をひそめるように、後方に下がる光点――PS-S3S:LiraLyra。

それとは別にこちらに向かってくる――――

「これは――!?」

黒煙が、向こうから襲い来る何かに引き裂かれるように揺らぐ。

咄嗟にナイフを構えるスパローは、見えない衝撃に打ち飛ばされ、その背を背後にあった木へとぶつけた。

レーダーに映っているのは、普段よく見る光点ではなく黒点。

PECULIAR――異常性反応を示す文字と共に表示されている。

「これが、装騎キラのステルス能力!」

風が黒煙を振り払い、スパローの左側面から襲い来る。

スズメの目にはよく見えないが、それは間違いなくキラが操る戦闘鎌インコンシステント・ラヴの一撃だった。

「くっ――ブレードエッジ!!」

スズメの声に答えるように、スパローの全身が展開し、刃が現れ、黄金を帯びる。

そして、黒煙の流れとステルス時に発生する揺らぎに目を凝らし――

ギギィイン!!

左腕の碗部ブレードで戦闘鎌インコンシステント・ラヴを防ぐと、そのまま右腕をキラに突き立てんとその身を進める。

「っ――――やはり向かってきますね――」

キラはそれを読んでいたように身をかわす。

ステルスにより、間合いを上手く読み取れなかったと言うのと重なり、スパローのブレードは虚しく宙を突く。

キラは即座に戦闘鎌インコンシステント・ラヴの刃をI字に可変させると、身をかわした時の体の捻りを使い、スパローを背後から裂こうとインコンシステント・ラヴを閃かせた。

スズメもそう簡単にやられる筈は無く、そのまま前方にスパローを跳躍させかわした。

「今です!!」

「は、はい!!」

だが、ライユの狙いはそこだったようだ。

バシュバシュ!!

宙を舞うスパローを狙い放たれたリラライラのダガーガン・トロイメライ。

「まだです!!」

肘や膝など、全身のブレードを使い、リラライラの放ったダガー弾を弾き飛ばす。

「なるほど――全身にウェーブブレードを纏うことで攻撃力だけではなく防御力も上げることができるのね」

エネルギーを流し起動すれば、基本的にはほとんどの物を切断することができるのがマルクトの機甲装騎の装備するブレード系格闘武器。

それを全身に備えたスパロー・ブレードエッジは、装騎自体を狙って放たれる物理攻撃を全て切断する。

もっとも、同じく起動状態にあるブレード系格闘武器は切断できないのだが。

「ですが――」

いつの間にか、装騎キラの手に握られていたダガー弾。

それはスパローがムーンサルト・ストライクをする瞬間にリラライラが放ったダガー弾――キラは、リラライラがスパローを狙ったダガー弾を掴みとると言う荒技を行っていたのだ。

それをキラは投擲し、スパローの体へと突き刺した。

「ダガー弾がスパローに!? …………でも、なんとも、ない?」

スパローの背後に突き刺されたダガー弾。

そのダガー弾によってもたらされるダメージを覚悟したスズメだが、特に何も起きない。

「スパローは想像以上にしぶといわね。でも、元々の予定通り――リラライラ!」

「は、はい!」

そして再び放たれるリラライラのダガー弾。

その弾は明らかにスパローを狙ってはおらず、スパロー眼前の地面に突き立てられた。

「危ないっ」

後方にバックステップを踏むスパロー。

刹那、ダガー弾は爆発し、爆炎を上げる。

レーダーに目を向けると、やはりキラの反応がPECULIARへと変化し、ステルス機能を使用した事がわかる。

「どこから、どこからくる――!?」

リラライラとキラ、両者の動きをレーダーで確認しながら警戒をするスズメ。

しかし、キラはスパローに襲い来る気配が無い。

どころか、その戦線から離脱を始めた。

「なっ、どうして!?」

理由は分からないが、その動きは明らかにツバサたちの元へと足を向けていた。

「ツバサ先輩! 装騎キラがそっちに向かってます! 気を付けてください」

すぐさまツバサにそう通信を入れるスズメ。

「クレセントムーン、レーゲンボーゲン。コード・Aを」

一方、ステルス状態で移動しながらライユもクレスとトワイにそう通信を入れる。

「リラライラは巻き込まれないように気を付けなさい」

「は、はい!」

「――――さて、目障りなスパローには、ご退場願いましょうかね」


オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑

挿絵(By みてみん)

3年:チーム・リリィワーズ所属

名前:魄月 Cresce

読み:ハクツキ・クレス

生年月日:聖歴150年5月24日

年齢:17歳(4月1日現在)

出身地:マルクト国ドルトムント

身長:169cm

体重:62kg

使用装騎:PS-R4S:Crescent Moon(ベース騎PS-R4:Raphael)

好みの武器:巨大チャクラム・アニュラーイクリプス

ポジション:アタッカー

私立ボイトフュール中学出身。

装騎での人間的で滑らかな動きがステラソフィア関係者の目にとまり推薦入学。

趣味は舞踊やダンスなど。

ハクツキ家は東洋的な舞踊を元に独自発展したハクツキ舞踊と言う独特な舞踊を生業とする。

個人的な声のイメージは渡辺明乃さん。

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