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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
ŠÁRKA-シークレット・フォース-
277/322

第13話:Projevy Tělesnosti jsou Zřejmé

Projevy Tělesnosti jsou Zřejmé

   -肉の業は明らかです-


「スパロー・ブリットモーター!!」

天から落下する砲弾のような一撃は、天使装騎アモンへと確かに命中した。

命中したのだが……。

「手応えがっ」

『アモンの輝きは大気をも操るっ』

天使装騎アモン周囲の空気が、天使装騎アモンを守るように層を作り、そして装騎スパロー4ceの一撃を逸らすように流れ去る。

その2つの動きによって装騎スパロー4ceの重烈な攻撃はずらされ、そのダメージを大幅に減少させられていた。

『なかなか……やるじゃないか!』

直撃を免れたとはいえ、天使装騎アモンにもかなりのダメージがあったであろうことは鈍くなった動きからも見て取れる。

「全くしつこいヤツだわ! でも、下ごしらえはそろそろイーんでない?」

「そろそろ決めましょう」

装騎スパロー4ceも装騎ピトフーイも消耗こそしてはいるが、2対1という状況もあり「勝てる」と確信しはじめていた。

その時だ。

「ッ! 待ってスズメ、装騎が多数接近中よ」

「味方? 敵?」

「まだ分かんないけど……囲まれてるッ」

ビェトカが声を上げたすぐあと――装騎スパロー4ce、装騎ピトフーイ、天使装騎アモンの周囲を取り囲むように十数騎のマルクト装騎が姿を見せた。

その装騎は新装騎開発プロジェクトによって正式採用された最新型NPS-Fフロー。

旧マルクト騎のミカエル型とラファエル型の中間に位置するような中装騎だ。

国家組織にしか配備されてない機甲装騎にマルクト共和国軍の紋章を光っていることから、共和国軍に所属する装騎だということがわかる。

「共和国軍の新型――――ですけど、この感じは……」

「どーやら、敵ってワケみたいね」

装騎フロー隊はまだ武器を構えたわけではない。

しかし、スズメもビェトカも直感していた。

「さすがに数も数ですし……武装もガチなヤツですよコレ」

「そうね……消耗もあるし、しゃーない、逃げるが勝ちか」

「ステルス無しで逃げれます?」

「何言ってんの。今まで屑鉄みたいな装騎使ってマルクト相手に逃げ延びたのよワタシは」

「なら、行きます! スパロー、霊光刃来 《 スヴェトロ・シュピチュカ 》」

「持っててよかったスタングレネードってね!」

瞬間、アズル刃の輝きと強烈な閃光、耳をつんざく爆音が周囲を襲う。

それと同時に装騎スパロー4ceと装騎ピトフーイはその場から退却した。


翌日、ステラソフィア機甲科寮チーム・ブローウィングの寮室内。

ツバメとアオノ――後輩2人の姿が無い時を見計らって、スズメとビェトカは昨日の出来事――増援として現れたマルクト共和国軍について話し合っていた。

「武装や反応もすべて国軍のものでしたね」

「ワタシも考えてたんだけどさ、ハメられたかもね」

スズメの言葉に、ビェトカはそう声を上げる。

「ローラが言ってた偽神教の裏の組織、シャダイコンピュータ跡地を管理してたローラ達とは別の部署……そんな単純なことに気付かなかったなんてね」

「偽神教の裏にいるのは――マルクト共和国、ということですか」

「それとスヴェト教ね。その一部の勢力だとは思うけど」

「その通りです!」

突如、ブローウィングの寮室へと一人の女性が飛び込んできた。

「うわっ、何よアンタ!?」

急な闖入者にビェトカは驚く。

一方でスズメはその女性に見覚えがあった。

「アナタは――アラモード先輩!」

彼女は現マルクト中央憲兵団憲兵長アランディナ・モード――通称アラモード。

アラモードとスズメはカナン中央憲兵団情報部として前憲兵長カラスバ・リンの部下だった頃に会っている。

「結論から言います。逃げてくださいサエズリ・スズメさん、ピトフーイのアルジュビェタさん!」

激しく乱れた呼吸を整える間も惜しんでアラモードは声を絞り出した。

アラモードの言葉にスズメとビェトカは状況をすぐに把握する。

そして、今までの疑惑が確信に変わると同時に、疑問も湧き出てきた。

「どうしてですか、アラモード先輩。逃げてください、というのは」

「マルクト憲兵が国家反逆容疑でピトフーイを指名手配。そしてスズメちゃん、あなたを重要参考人として手配することを決定したんです」

「昨日の――憲兵団に対する攻撃で、ですか」

スズメの言葉にアラモードの顔色が明確に変わる。

「それじゃ、昨日の騒ぎは本当にあなた達が……」

「……はい」

「それでも、逃げてください。カナンの憲兵長を務めるわたしの言葉ではないかもしれないですけど」

「どーしてさ」

率直な疑問をぶつけたのはビェトカ。

実際、アラモードの言う通りの決定が下されたとして、なぜ彼女の口から「逃げろ」なんて言葉が出るのか、全くもって不可解だった。

「今、マルクト憲兵団は――この国はちょっとオカシイって、そう、思うんです。うまく、言葉にできないんですけど――ですけど、今回の決定も、なんか引っかかる、というか」

アラモードはマルクト共和国憲兵団の上層に居て、何か今までとの変化を感じ取っていた。

元上司であるカラスバ・リンの影響もあったのだろう。

今回の憲兵と国の決定の裏に、何か、とんでもないモノが潜んでいるような気持ちに襲われ、そしてアラモードはその感覚を信じていた。

「罪状はある程度のほとぼりが冷めたところで軽くできるように掛け合います。今、憲兵の元に下るのだけはダメだって、そう思うんです」

「スズメ」

「アラモード先輩はとても優秀な人です。それに、信頼できる」

「分かった。とりあえず、ワタシの隠れ家に行くわよ。ローラにも連絡を取らなきゃね」

「すみません。わたしたちで保護ができればよかったんですけど」

「いえ、警告ありがとうございます。ビェトカ、すぐに準備していきますよ」

「そうね」

「あ、アラモード先輩」

不意に何か思い出したようにスズメが声を上げる。

「どうしたんですか?」

「ツバメちゃんとアオノちゃん――後輩2人の夕飯にお弁当でも買っといてくれませんか?」

「え!? は、はい。だいじょうぶだけど……」

「あと、できればレトルトとか缶詰とかもいくつか買い置きしてくれると助かります!」

「レトルトですか……!? わかりました」

「ツバメちゃんは貝が苦手だからそれだけ注意してくれたらいいです」

「全く、スズメらしいわ」

スズメがつける注文に、必死でメモを取るアラモード。

そんな光景を眺めながら、ビェトカは呆れながらも笑っていた。

6月14日水曜日。

その日、国家反逆の容疑者とその重要参考人としてピシュテツ・チェルノフラヴィー・アルジュビェタとサエズリ・スズメの2人は全国指名手配されることとなる。


「それでローラと連絡は……」

「それがどうやら妨害とかされてるっぽいわ。全くダメ。通常回線はね」

「と、いうことは」

「偽神教ん時に聞き出した秘密回線ならバッチリよ。まぁ、普通の通信じゃ盗聴されるかもしらんしね」

「さすがビェトカです! 用意がいいですね」

スズメに褒められ鼻高々のビェトカ。

「もしかしたら、クラリカさん達と連絡つかないのも……」

「そうね。最初から目を付けられてた……のかもね」

「当然ではありますね」

偽神教の裏にスヴェト教団の存在があるとしたら、偽神教を潰したスズメ達"ムスチテルキ"が警戒されているのも当然だった。

そして、国を動かすほどの力を持っているとすれば、その通信を傍受、妨害することだって。

「だったら、通信した場所とか相手にバレたりしたら……」

「それは考えた。だからステラソフィアにいる時に連絡しといたわ」

「なるほど」

「MaTySの秘密回線ならそういう対策もバッチリみたいだし。まっ、どこまで信用できるかは知らないけどさ」

「そこはローラさん達を信じましょう」

ということは、ここからローラ達MaTySへ秘密の通信を送ったとしても、スズメ達の位置を把握はされないということだ。

「とりあえず、ローラ達が来るまでここで待機ーーーー」

椅子に腰掛けながらSIDパッドへと目を通したビェトカの表情が硬くなる。

「敵ですか」

スズメの言葉にビェトカは頷いた。

「それも8体同時にね。きっとワタシ達を誘ってるんだわ」

ビェトカの言う通り、出現した悪魔装騎は8つの方角にバラけている。

恐らくは、スズメとビェトカが現れる事を前提に、現れた周辺の地域から当たりを付けて2人を探し出す算段らしい。

「罠なら……ローラと合流するまでジッとしておきましょうか」

「そうね。飛んで火に入るナントやらにはなりたくないもんね」

スズメとビェトカはそう軽口を言いながら頷き合うと、2人同時に立ち上がった。

「ビェトカ、一番近いのは?」

「んー、フランクフルト!」

「行きましょう!」

装騎スパロー4ceと装騎ピトフーイはフランクフルト市を目指し駆け出した。

『皆の者よ、聞くがいい! 私の名はセエレ。悪魔セエレである!』

ダガダッダガダッと機甲の巨馬が駆けるような足音が響く。

それと同時に、まるで自らの存在を誇示するかのように轟いた声。

すれ違う物々を右手に持った幅広の剣で薙ぎ払い、左手に持った円形の盾で打ち付けるのは、腰から下が馬のように変化した多脚の悪魔装騎セエレだ。

「アホーイ、ケンタウロス!」

『ッ!?』

突如として悪魔装騎セエレの動きが止まる。

よく見ると、悪魔装騎の体中に絡まった細く黒い線――そう、ビェトカの装騎ピトフーイが仕掛けた超振動ワイヤーだ。

『来たか、復讐姫ムスチテルカよ』

「お望み通りにね!」

装騎ピトフーイはワイヤーに絡めとられ動けなくなった悪魔装騎セエレに霊子鎖剣ドラクを振りかぶる。

『この程度の小細工ではッ!』

霊子を帯びた霊子鎖剣ドラクの一撃が悪魔装騎セエレを切り裂いた――と思ったその瞬間。

「消えたッ!?」

霊子鎖剣ドラクの一撃は空しく空を斬った。

はらりと地面へ崩れ落ちるワイヤー――そこには悪魔装騎セエレの姿はない。

背筋に悪寒を感じたビェトカは、思いっきり装騎ピトフーイを前へ転がす。

刹那、鋭い閃きが風を切った。

「空間跳躍能力……ッ!」

『恐れ入れ!』

何度も何度も斬りかかる装騎ピトフーイだが、その一撃は尽く跳躍によって回避される。

「一体どーいう原理なのよ、空間跳躍だなんてねッ」

『ヒマがあれば、手取り足取り教えてあげたいところではあるが――いや、いいぞ? 話そうか?』

「お断り!」

実際、悪魔装騎セエレの空間跳躍は脅威だった。

それが単純な瞬間移動では無い為、ワイヤーによる捕縛なども無意味であるというのは見てもわかることだろう。

「つっても、あのセエレってヤツ……そこまで戦い慣れはしてないみたいね」

それは先に戦った悪魔装騎ダンタリオンに対しても感じたことだった。

確かに悪魔装騎の単純なスペックは通常の機甲装騎を凌駕りょうがしていると戦っていて感じる。

だが、足りないのだ。

偽神装騎のような野生の獰猛どうもうさも、戦い慣れた騎使が持つセンスも感じられない。

「ならば――どうにでもなるわ! それに……」

霊子鎖剣ドラクに灯るアズルの輝きは、短剣である霊子鎖剣ドラクの刃を倍以上に引き伸ばした。

装騎ピトフーイはそれを思いっきり横なぎに振り払う。

『何度目だ? それで!』

「何度目? 初めてだけど?」

アズルの刃を伸ばした霊子鎖剣ドラクの一撃は――何度目かの空を斬った。

『これで何度目だ?』

「だから言ったでしょ」

背後から聞こえてきた声に、ビェトカは振り返らない。

「一度目よ」

装騎ピトフーイが払いきったその手に握られる霊子鎖剣ドラク。

その刃は、アズルの輝きを纏ったまま刀身の付け根からワイヤーを伸ばす。

ワイヤーの長さを調節しながら遠心力を利用し、悪魔装騎セエレの背後に回り込んだ霊子鎖剣ドラクの刃。

『それだけかっ』

その攻撃を読んでいたのか、悪魔装騎セエレは再跳躍。

霊子鎖剣ドラクは悪魔装騎セエレを捉えることはかなわなかったが、ビェトカも霊子鎖剣ドラクのアズル刃を解除すると、素早くワイヤーを巻き取り装騎ピトフーイに突き刺さるのを回避する。

そして言った。

「それだけじゃないんだなコレが」

「ムニェシーツ……」

再出現した悪魔装騎セエレへと、突如吹き抜ける一陣の風。

そびえる建物群を蹴り渡り、段々と加速をつけた装騎スパロー4ceが両使短剣サモロストをグッと構える。

『!! 伏兵か……っ!』

「ジェザチュカッ!!」

そして、装騎スパロー4ceの一撃は悪魔装騎セエレを切り裂いた。

「よーっし、ナイスよスズメ!」

「ビェトカこそ、囮役ありがとうございました」

「とりあえず、敵を倒したからにはさっさと……チッ」

「あれは――マルクト国軍の最新鋭騎……!」

スズメとビェトカの目に複数の機甲装騎の姿が入る。

それは重装騎に分類されるであろう大型の装甲で、旧マルクト騎でいうウリエル型に似た特徴を持っていた。

しかし、長射程の魔電霊子砲の運用に調整された所謂、"駆逐装騎"というカテゴリーに属するマルクト共和国が正式採用した新型機甲装騎。

その名はNPS-Dドンナーだ。

「銃口を向けてきましたよ!」

「殺す気――は無いと思いたいけど、いや、そんなこと言ってる場合じゃないか!」

ビェトカの言う通り、砲撃自体は威嚇という意味合いも兼ねているのかあからさまに2騎を撃破しようという意思は感じられない。

その砲撃が主に装騎スパロー4ceと装騎ピトフーイの足元を狙ったものということもあり、動きを封じて捕縛するつもりなのだろう。

「ここはさっさとトンズラしないとね」

「そうしたいところですけどね……」

『大人しく投降してください。わたしはあなた達とは争いたく、ありません……』

どこか少女的なボディラインを持った、かわいらしさを感じさせる装騎。

だが、感じる異質さは明らかに天使・悪魔装騎のもの。

『わたしは天使装騎グレモリー、スヴェトの使いです』

天使装騎グレモリーがそう名乗った瞬間、誤射なのか装騎ドンナーの放った魔電霊子砲の一閃が天使装騎グレモリーへと向かってきた。

『コウズロ・歪転』

天使装騎グレモリーの呟くような言葉と共に、光の粒が天使装騎グレモリーの周囲を包み込む。

魔電霊子砲が粒子へ接触した瞬間、急にその軌道を大きく変えると天使装騎グレモリーへと当たらずに、地面へとその頭を突っ込んだ。

「空間跳躍の次は空間歪曲ってワケ?」

『いえ、わたしが操れるのはアズルだけです。何分、未熟者なので』

「えらく正直な人ですね」

『わたしはフェアが信条なので。……数で攻めてきてそんなこというのはおかしいですね。いえ、ですからこそこういう事は隠さずにお話ししたいのです』

「コッチだってのんびりとお話してるヒマは無いのよ!」

「その通りです。戦いたくないというのなら、そこをどいてください!」

『それはできないことです。ならば、わたしはあなた達を丁重に保護させていただきます』

天使装騎グレモリーが何か合図をするように左手を掲げる。

その瞬間、装騎ドンナー部隊の魔電霊子砲の連続砲火がさらに激しさを増した。

それは味方であるはずの天使装騎グレモリーがいることもお構いない、激しい連続砲撃。

スズメ達を殺すことが目的ではない分まだ回避の余地もある。

しかし、天使装騎グレモリーの霊子歪曲によって反射された魔電霊子砲が装騎スパロー4ceと装騎ピトフーイを様々な角度から責め立てる。

「コレ、ずっとやってるとキツいわね」

「ずっと避け続けるわけにも、防ぎ続けるわけにも――行きませんしね」

回避し、そして時には霊子バリアで攻撃を防ぐ2騎だが、さすがに疲労がたまってきていた。

「一番マシな突破方法って?」

「グレモリーを怯ませて、その隙に逃げ出す! ですかね」

「どうやって」

「フルムーン・バースト……アズルを使った衝撃波とか――は、効かない、ですかねぇ」

「アズル歪曲だし……でも、アズルの光で目くらましくらいならできるんじゃない?」

「フルムーン・バースト!」

ビェトカの言葉への返事代わりに、装騎スパロー4ceは全身からアズルの光を放つ。

その輝きは確かに天使装騎グレモリーの目を焼いた――はずだった。

しかし、天使装騎グレモリーは全く怯むこともなく、依然、装騎ドンナーの魔電霊子砲をコントロールしながら装騎スパロー4ceと装騎ピトフーイを絡めとる。

『わたしにそのような誤魔化しは、通用しません』

「世の中そんなに甘くないってワケ?」

「くっ、装騎ドンナーは狙うには遠すぎますし――――どうすれば」

「一か八か、2人でグレモリーに攻撃してみるとかね」

「それしか――なさそうですねっ」

装騎スパロー4ceは両使短剣サモロストを、装騎ピトフーイは霊子鎖剣ドラクを再び構えなおすと一気に天使装騎グレモリーへと襲い掛かった。

『短絡的ですよ!』

「かもね!」

装騎ドンナーの砲撃が、闇雲なものからどこか慎重な一撃へと変わる。

それは、スズメとビェトカの意識が完全に天使装騎グレモリーへと向いたという事をあちらも理解したからだ。

「グレモリーもそうですが――国軍兵はさすがにやり手ですね」

「伊達に軍人してないってか!」

「そりゃそうですよ」

装騎ドンナーの魔電霊子砲が装騎スパロー4ceの、そして装騎ピトフーイの体を掠めていく。

そんな中で両使短剣サモロストの一撃と、霊子鎖剣ドラクの一撃が天使装騎グレモリーへ閃いた。

『なんて人たち……!』

天使装騎グレモリーは、魔電霊子砲を今度は拡散させシャワーのように装騎スパロー4ceと装騎ピトフーイへと降り注がせる。

「厄介ですねっ!」

装騎ドンナーの砲撃を利用しているだけとはいえ、その軌道を自在に捻じ曲げ、さらには拡散させることで様々なからめ手を活用してくる天使装騎グレモリーの突破は難しかった。

結局、装騎スパロー4ceも装騎ピトフーイもこの状況を好転させることはできず、再び膠着こうちゃく状態に陥る。

そして、何度目かの装騎ドンナーによる砲撃、そして天使装騎グレモリーによる霊子歪曲、反射、拡散による熾烈な攻撃が始まった時。

風神城塞クラス・アネモス!」

城壁のような魔力が装騎スパロー4ceと装騎ピトフーイを包み込んだ。


挿絵(By みてみん)


SSSSS~第二回~

首都カナンのとある高級料亭。

ツバメ「スズ姉が指名手配ってどういう事よ!」

アラモード「すみません。ですけど、わたしがなんとか頑張ってみますから」

アオノ「ですが、いいのでありますか? こんな高そうなお店で……」

アラモード「本当は何かお弁当を――と言われていたんですけど、わたしなりのお詫びと言いますか」

アオノ「そこまで気をつかって頂かなくても……」

アラモード「いえ、これくらいはさせてください! 好きなものを頼んでいいですよ」

ツバメ「ならお言葉に甘えて。この最高級牛ステーキお願い(プロスィーム)

アラモード「!!」

アオノ「ロブスターとかあるのでありますね」

アラモード「!!??」

アオノ「……なんて、さすがに高す――」

ツバメ「頼みなさい」

アオノ「ですが――」

ツバメ「頼みなさい」

アラモード「えっと……」

ツバメ「いいでしょ? プロスィーム」

アラモード「…………はい」


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