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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
偽神の呼び声編
257/322

偽神編第12話:罪の実験場/Křik dvojích Nebohů

偽神装騎ハイドラが放った風の爆発。

それによって通路中が風の蹂躙を受け、震え、罅割れ、崩れていく。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォオオオオオオオオオオオオ

まるで地震が起きているかと思うほどの地響きが地下通路に響いた後――――その天井が勢いよく崩落した。

降りしきる瓦礫の衝撃が、装騎を伝い、スズメを、ビェトカを、ズィズィを、クラリカを絶え間なく揺り動かす。

やがて、地響きは収まりスズメ達は周囲の状況を確認できた。

「通路が――ふさがった」

「ハイドラの攻撃に通路が耐えられなかったのか……。今の内に撤退するべきね」

ビェトカの提案にスズメもズィズィもクラリカも頷く。

偽神装騎ハイドラの強烈な攻撃に4人はすでに満身創痍。

瓦礫の向こうに偽神装騎ハイドラがいるとしても、追撃なんて不可能。

寧ろ、敵に襲撃される前にこの場を離れるのが最善だった。

「しかし、敵の手がかりが得られませんでした……」

悔しそうに呟くズィズィの傍で、クラリカはふとある存在に気付く。

「ねぇみんな。あれ……」

クラリカが指さすその先には、目を回して倒れている悪魔タルウィ&ザリクの姿があった。


「絶対答えてなんかやらないもん!」

郊外の森の中。

天使サンダルフォンが作った、魔を拘束するという花輪を巻きつけられたタルウィ&ザリクに対してビェトカを筆頭とした尋問が始まっていた。

「どうせ雇われっしょ? 喋った方が楽になるぞ~」

ビェトカが二人に尋ねているのは、地下研究車の行先。

始める前は雇われの二人が知っているかどうか、という問題があったが、この口ぶりだと知っていそうだ。

「これでもアタシ達は"信頼"を大事にしてこの傭兵業をやってるの! あんな――」

「チェンシュトハウに逃げたようなヤツら」

「そう、チェンシュトハウに逃げたようなヤツらのことなんか……」

一瞬の沈黙。

タルウィは隣のザリクの方へと顔を向ける。

ザリクはすました顔で口を開いた。

「もう、タルウィったら」

「アタシ!? アタシが悪いの!!??」

「タルウィは油断するとすぐお口がゆるゆるになるんだから……」

「ご、ごめんなさい……」

こんな状況でコントみたいなやり取りを始める二人にビェトカは思わずため息を吐く。

「その情報は確かなの?」

聞いても無駄だとは思いつつも、ビェトカは念を押すように尋ねた。

「さぁ? 本当かもしれないし嘘かもしれない――もしかしたら罠かも」

「なんて器用なハッタリ、できるの?」

「アッハッハ、できないできない!! ってザ――」

「タルウィったら……」

「ごめんなさい」

ザリクの謎のプレッシャーに圧され、タルウィは再び謝罪の言葉を口にする。

「と、いうことだけど……どう思う?」

そんな二人をよそに、ビェトカはそうスズメ達に問いかけた。

「手がかりはそれだけしかないですし、行くしかないでしょう」

「うん……ズィズィがそういうならそうだよね」

そう答えるズィズィとクラリカの傍でどこか上の空なスズメ。

「スズメ?」

ビェトカの呼びかけに、スズメはハッとしたようにビェトカの顔を見る。

「あ、えっと、チェンシュトハウ、でしたっけ?」

「……スズメ、大丈夫? ここんところ戦い続きだし、疲れてるんじゃ」

「いえ、大丈夫です! どこにだって行きましょう。偽神教と戦うために!」

どこか様子のおかしいスズメに不安を覚えるビェトカだが、これ以上は時間が惜しいというのもあり、ビェトカは頷いた。

「それじゃあ決まりね」

「……ねぇ、この二人、どうする?」

ふとクラリカがいまだにコントか夫婦漫才のような会話を続けるタルウィ&ザリクを指さして言う。

それに対してビェトカが右手をヒラヒラさせながら

「ほっとけば?」

と投げやりな態度。

ビェトカの言葉に3人は頷くと、そっとその場を後にした。


気付けば時刻は19時過ぎ。

辺りは夕闇に包まれ夜の訪れを予感させる中、スズメ達4人はマジャリナ王国チェンシュトハウへと来ていた。

それぞれが乗り込むのはそれぞれの機甲装騎。

「まさか、またシャダイから装騎が送られてくるなんてねぇ」

「そうですね。あの状態だと修理するにも時間がかかったと思いますし、助かりました」

装騎ピトフーイDが装騎スパロー3Aを手招きし、施設へと誘導する。

施設をぐるっと挟んで反対側では、ズィズィとクラリカのミカエル型装騎も同じように襲撃の準備をしていることだろう。

「それがスパローの新装備?」

「市販されてるヤツですけどね。さすがにハイドラと戦うのにブレードエッジは危険だと分かったので」

ビェトカの言うように、スズメの装騎スパロー3Aは普段とは様子が少しばかり違っていた。

身体の全身から僅かに覗けた仕込みブレードの姿は無く、その代わりに体中に外付けのアーマーを装備していた。

その両腕に装着された追加装甲の先からは超振動ブレードが伸び、ブレードエッジに近い印象を与えるその装備。

これはJ型追加装甲ヤークトと呼ばれる市販装備の一種だ。

「本当は、ロコちんが作ってくれた追加装甲を付ける予定だったんですけど、間に合わなかったので」

「良いねぇオリジナル装備! ワタシも欲しいわぁ」

「今度ロコちんに相談してみますね」

「ヨロシク頼むよ」

会話を交わして緊張をほぐす。

やがて、ズィズィとクラリカからも準備完了の合図が届いた。

いよいよこの偽神教施設チェンシュトハウ支部への襲撃が始まる。

「サエズリ・スズメ、スパロー3A(トライアゲイン)。行きます!」

「ピシュテツ・チェルノフラヴィー・アルジュビェタ、ピトフーイ・ディクロウス参戦!」

気合を込めた口上と共に、装騎スパロー3Aと装騎ピトフーイDは施設へと踏み入った。

たちまち鳴り響く警報。

それと同時に、施設の奥から多数の機甲装騎が姿を見せる。

「警備装騎?」

「……ですかね。人が乗っているなら、急所は避けて――――なっ」

思わずスズメの声が跳ね上がる。

何故なら、その警備装騎が尋常ならざる動きで装騎スパロー3Aの元へと一気に距離を詰めてきたからだ。

その動きに装騎スパロー3Aの右腕が咄嗟に動き、腕部から突き出たヤークト装備のブレードが警備装騎のコックピットを貫く。

『Gaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!』

貫かれた警備装騎は悲鳴のような声を上げながら、暫くもがいた後、ガクリと項垂れその機能を停止した。

ズュル……

引き抜かれた装騎スパロー3Aの腕部ブレードを、青黒い液体が血のように濡らしている。

「なんでしょう、この装騎。偽神装騎によく似てますけど、でも、どこか違う」

「考えるのは後! まだまだ来るよ!」

「あ、はい!」

装騎スパロー3Aの両使短剣サモロストが閃き、装騎ピトフーイDの懲罰の鞭が暴れ狂う。

その度に、警備装騎は穿たれ、切り払われ、叩きつけられ、アズルで焼き切られた。

建物を、スズメとビェトカの装騎をどんどん染める青黒い液体。

「まるで血ですね」

「趣味が悪いわ本当」

警備装騎を一通り倒し、場が落ち着いた一時。

スズメとビェトカは、青黒い不透明な海の真ん中でそんな会話を交わす。

「偽神装騎と似てますけど、どこか違う感じもしますね……」

「性能的にはディープワンとも比べ物にならないくらい雑魚だったけど、ああいうのは……ほら来た」

スズメとビェトカの目の前には、またしても多数の警備装騎の姿。

「質より量ってやつですね」

「本当、産業革命様様だわ」

2人は警備装騎を撃破しながら建物の中心を目指していく。

『あの、ドホナーニ4から報告です』

「クラリカから通信ね」

『調査の結果、ですけど、ここは偽神装騎の性質を持った機甲装騎の開発工場のようです』

「偽神装騎の性質を持った、機甲装騎?」

『ズィズィは疑似的な偽神装騎、って言っていました』

その言葉で、スズメとビェトカはヴァルシャヴァ工場で出会ったフェリパという女性が言っていたことを思い出した。

聖物モドラをエネルギーとして使用した新型装騎……」

『おそらく、その一環でできたものでしょうね』

スズメの呟きに、クラリカに代わりズィズィが肯定する。

『尤も、この工場内を見る限りではエネルギー、とは少し違うようですが』

装騎スパロー3Aと装騎ピトフーイDのサブディスプレイに、ズィズィとクラリカが撮影した工場の様子が表示された。

そこに映っているのは、ディープワン工場とも似た大型のカプセルが多数並ぶ施設。

だが、相違点はそのカプセルの中に閉じられているのが人間の胎児のような姿をしていること。

『先ほど、行動不能にした疑似偽神装騎を解体してみたのですが』

ズィズィはサラりとそんなことを口にする。

『その中に、この胎児の"ようなもの"が収められていました。おそらくは疑似偽神装騎の中核になると思われます』

「うっわ……もしかして、ヤツら胎児をベースに偽神装騎を…………?」

『いえ、アレは恐らくはクローンですね。ここで行われていたのは偽神装騎のより効率的な量産――そのためにクローンを製造して偽神装騎にするつもりだったのでしょう』

「確かに、ディープワン工場とかでやってるやり方だと成長するまで時間もかかるし、志願者を募るにしろ、拉致るにしろ、人間の数を確保するのは難しいもんね」

「なるほど……ならば、自分達で人間を造っちゃえば早い、というわけですね」

『ですが、おそらくは成功しなかったのでしょう。なので、偽神の力を持ったアレを通常の装騎のコックピットに載せ、疑似的な偽神装騎を造った……』

ズィズィが言うには、コックピットを破壊したときに出てきた液体は中の「アレ」を保護し、生かし続けるための保存液だという。

『まだほとんどが予想ですが、今ここのコンピューターをハッキング中です。この予想に間違いは――――』

突如、通信の向こうから轟音が響き渡り、ズィズィ&クラリカとの通信が途切れた。

その爆音は、通信越しだけではなく、実際に2人の耳にも届く。

「今のはっ!!」

「チッ……ズィズィ、クラリカ!」

2人の危険を察したスズメとビェトカはすぐさま探知を開始した。

「私は通信のログから2人の居場所を絞り出してみます!」

「ならワタシは実際に音がした方向を割り出してみる」

スズメとビェトカの迅速な解析で、ズィズィとクラリカの居場所はすぐにわかった。

「ショートカットします!」

装騎スパロー3Aは両使短剣サモロストを真正面に構えると、アズルを集中する。

「インフィニット・アクアマリンドライブ!」

スズメの身体中に蒼白い光が走り、装騎スパロー3Aはアズルと重なった。

「ッ…………」

不意にスズメの表情が歪む。

だが、雑念を振り払うように思いっきり頭を横に振り自らの力を両使短剣サモロストに注ぎ込むようなイメージを頭に浮かべた。

両使短剣サモロストの刃が展開し、霊子砲放射状態へと変化。

「ムニェシーツ……ロンゴ、ミニアド!!!!」

一直線に、ズィズィとクラリカが居ると思われる方への通路を形成するアズルの閃き。

「さっすが相棒! さぁーって、行くよ!」

「…………はいっ」


「クローンの作成、戦闘パターンの刷り込みによる半自動対応型の疑似偽神装騎……」

青黒い光で照らされた、大量のカプセルがずらりと並んだ部屋。

そこでズィズィ=ミカエルはコンピュータからデータを吸い出しながら、感嘆の声を漏らした。

「よくわからないけど、なんか、凄いね……」

「はい。これをスズメ達にも知らせなくては」

スズメ達へと通信を開始するズィズィの傍で、クラリカも部屋の様子をカメラで記録する。

「――――今ここのコンピューターをハッキング中です。この予想に間違いは」

ゴォォオオオウン!!!

激しい地響きと爆発音、強烈な爆発の衝撃が二人のいる部屋を揺らした。

「嗅ぎつけられましたか!!」

爆炎の向こうから、数本の触手がズィズィ=ミカエル、クラリカ=ミカエルに向かって伸びてくる。

「偽神装騎、ダゴンっ……!?」

不意の攻撃だったが、避け切った二騎。

偽神装騎ダゴンの触手が打ち付けた後には、いくつものクレーターができていた。

だが、攻撃はそれだけでは終わらなかった。

「この風はっ!」

強烈な衝撃の唸りが二騎を弾き飛ばした。

二騎の間を狙った攻撃で、直撃でこそなかったがズィズィとクラリカはそれぞれ反対側の壁に叩きつけらる。

「くぅ……ま、まさか……ハイドラも……?」

クラリカの呟き通り、その部屋に現れたのは――――偽神装騎ダゴン、そしてハイドラ。

二騎の偽神装騎が同時に――この場に姿を見せたのだ。

不安げな表情を浮かべるクラリカに、口元を引き締めながらも額に脂汗が滲むズィズィ。

強烈なプレッシャーに体がすくむ。

だが、それでも……

「ッ……ズィズィ、行きます!」

「クラリカ、が、がんばります!」

自らの言葉で気合を入れ、装騎の身体を動かす。

「ズィズィ」

「クラリカ」

「「限界駆動クリティカルドライブ!!」」

ズィズィ=ミカエルとクラリカ=ミカエルの身体が蒼白い輝きに包まれた。

「我々の新たな力を……見せてあげましょうっ」

ズィズィ=ミカエルは華國の武器、方天戟をベースにアズル技を伴う運用を想定された方天霊戟ほうてんりょうげきを構える。

ズィズィ=ミカエルの内から滲むアズルの力が、その右手から方天霊戟へ伝った。

「え、援護します!」

クラリカ=ミカエルも成形炸霊弾砲アンティパンツァータスラムを構える。

そして、その銃口を偽神装騎ハイドラ直上に向けると一思いに引き金を引いた。

アンティパンツァー・タスラムから放たれた25mmの砲弾は施設の天井に突き刺さる。

そして、その先端から強烈なアズルジェットを噴出した。

一気に天井を破壊し、瓦礫を降り注がせる。

『Ššryyyyyyyy』

その瓦礫はハイドラを埋め尽くした。

「ま、まずはダゴンを!」

クラリカの言葉にズィズィは頷く。

一体一体でも強力な偽神装騎――二体同時の相手は難しいと判断したクラリカは、まず偽神装騎ハイドラを瓦礫で少しでも行動不能にしようとしたのだ。

その判断は、ズィズィが偽神装騎ダゴンに近いというのもある。

「はぁぁあああああ!!」

気合の叫びと共に、方天霊戟の両側に取り付けられた三日月型の刃――月牙がアズルを纏い、その刃を大きく見せた。

「アズルで溶解液を防いで――超振動で、断つッ!」

『Choooooooooo』

ズィズィ=ミカエルは偽神装騎ダゴンの触手を方天霊戟の一撃で断っていく。

その隙に、クラリカ=ミカエルが偽神装騎ダゴンへ一気に接近。

そして、アンティパンツァー・タスラムを構えた。

撃ちます(ロー)!」

アズルの迸りが、アンティパンツァー・タスラムへと達し、その引き金が引かれようとした――その瞬間。

『Šššššuuuu!!!』

瓦礫を乗せた強烈な風が弾け飛び、

「くぅ…………ッ!」

「きゃぁぁああああ!!??」

ズィズィとクラリカのミカエル型を吹き飛ばす。

偽神装騎ハイドラの――復活だ。

「あと少しだったのに……ッ!」

「クラリカは……諦めませんッ!!」

恐怖転じて勇気と成す。

クラリカはギッと奥歯を噛みしめると、その瞳を偽神装騎ハイドラへと向けた。

「クラリカっ!?」

一気に駆けだすクラリカ=ミカエルにズィズィの声が空しく響く。

撃ち放たれたアンティパンツァー・タスラムが偽神装騎ハイドラの肩に命中するが、イマイチ攻撃が通らない。

「この距離じゃダメ……もっと、近づかないとっ」

アンティパンツァー・タスラムは成形炸霊弾という命中した相手にアズルを流し込むことで破壊する強力な武装だ。

だが、屋内での戦闘も多いということもあり、このアンティパンツァー・タスラムの砲身は短い。

その為、発射時の反動が大きくなり弾道が安定し辛くなる――という理由もありこの武装は比較的近距離での砲撃を念頭に置かれている。

『Ššů!!』

偽神装騎ハイドラの両手が掲げられ、嵐の到来を予感する。

その両腕がグワンと唸りを上げて回転し、一気に強烈な暴風が放たれた。

「やぁぁああああ!!!!」

直撃こそしないが、やはりその一撃は強烈。

身をかわしたクラリカ=ミカエルの左腕が吹き飛ばされる。

いや、違う――敵の攻撃を予感してクラリカは自らのミカエル型の左腕を切り離したのだ。

「左腕に続いて、頭部、外部装甲を切除!」

駆けながら、クラリカは自らのミカエル型に指示を出した。

指示に従い、クラリカ=ミカエルは次々と装甲を切除――その素体を露わにする。

「タスラムの砲弾はただ一発残せばいいっ……あとは全部…………ぶん投げます!!」

クラリカはアンティパンツァー・タスラムの成形炸霊弾を偽神装騎ハイドラに向かって投げつけた。

タスラムの砲弾を、瞬風の力で迎撃する偽神装騎ハイドラ。

衝撃で、成形炸霊弾が破裂し、光を、爆発を放つ。

『Šššyuuu!!??』

「獲った……!」

気付けば、クラリカ=ミカエルは偽神装騎ハイドラのすぐ背後にいた。

構えるのはアンティパンツァー・タスラム。

その銃口が狙うのは、偽神装騎ハイドラの首筋。

「いっけぇ!!!」

『Ššraaaa!!!!』

クラリカ=ミカエルが引き金を引いたその瞬間、偽神装騎ハイドラは自らの腕を下に向けたまま暴風を巻き起こす。

「……ッキャァアァアアアアアアアアアアア!!!!」

偽神装騎ハイドラの放った強烈な風の一巻きと、クラリカ=ミカエルが放った成形炸霊弾が起こした爆発、その両者が混じり合い、更には破壊され巻き上がった瓦礫が一気に周囲を吹き飛ばした。

「クラリカ――――――!!!!!!!」

偽神装騎ダゴンとの戦いも忘れ、クラリカ=ミカエルの元に駆けだそうとしたズィズィ=ミカエルだったが…………。

「!!!! くっ、不味…………!!」

偽神装騎ハイドラが齎した破壊によって崩落する天井に、自らの装騎も圧し潰される。

頭を激しく揺さぶる衝撃と、自らの身体が無慈悲に握りつぶされるような痛みを感じながら、ズィズィの意識は闇に沈んだ。


挿絵(By みてみん)

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