偽神編第10話:スパイ大作戦/Nemožné poslání
スズメ、ビェトカ、クラリカ、ズィズィの4人はマジャリナ王国ヴァルシャヴァ市に来ていた。
そこにあるとある施設から偽神装騎ダゴンが射出されたという疑いがあり、その施設を襲撃するその下準備に来たのだが……。
「ここ、どうやら民間の施設みたいですね……人もたくさんいます」
その入り口をどっしりと飾る門には「デマヴェント重工」の文字がある。
「デマヴェント重工? 聞き覚えのない企業ですね」
『説明しよう』
ズィズィの呟きに、突如としてカレルの声が響いた。
各自の情報交換を円滑にしようと、カレルから提供された通信機から響いた声だ。
『デマヴェント重工は神国時代の国営装騎工場を任されていた3つの企業の内の1つだ』
「ってことは、マルクトの企業ってわけ……?」
『そうだ。最近では大型ショッピングモール事業に力を入れている。ズルヴァングループって聞いたことあるだろ? 大元は同じ企業なんだ』
「私がイメージキャラクターをやったあのスーパーですね」
スズメの言う通り、スズメはズルヴァンモール・プラハ店のイメージキャラクターに起用され、オープニングイベントにも参加していた。
「それは良いけど、なんでマジャリナ王国にマルクトの企業があんのよ」
『ヴァルシャヴァ市は一時期マルクト神国の領土だったことがある。その時にヴァルシャヴァ市に装騎工場を作ったのがデマヴェント重工だ。どうやら戦後の技術公開に乗じてこの工場の主権を完全に手に入れたみたいだな』
三月革命と呼ばれるあの戦いの後、マルクト神国の持つ装騎技術は連合国に開示された。
しかし、それだけでは技術をものにするのは難しく、どうしてもマルクト神国本家の技術が欲しい各国は装騎開発に関わっていた人材や企業の誘致に力を入れている。
そんな状況の昨今であれば、マジャリナ王国がマルクト神国の兵器産業に特に強くかかわっていたデマヴェント重工を国内に迎え入れたということはおかしくない。
「民間企業……それも一般人がこんなにたくさん……ここを襲撃するっていうのは――難しいですね」
スズメの言葉に、ビェトカもクラリカもズィズィも考え込むようにうなだれた。
「ちょっと鶯、この施設からダゴンが発射したって確かなのよね?」
『100%、とは言えないよ。この目で確認した訳じゃないし、敵のブラフかもしれない』
「確証があれば心置きなく攻撃できるんですけど……」
「スズメ、サラッと怖いこと言うね」
「ビェトカだってそうですよね?」
「そーだけど」
「それならば!」
考えあぐねるスズメとビェトカの姿を見て、ズィズィがふと口を開いた。
「潜入調査と行きましょうか」
「本日はデマヴェント重工ヴァルシャヴァ工場の見学にご参加いただきありがとうございまーす!」
十数人の観光客の前で、そう声を上げるのはどこか人のよさそうなツナギ姿の女性。
「案内はわたし――ベトサイダ・フェリパが務めまーす」
「Oh、工場見学! スーザンとっても楽しみネー! ベスもそう思うよネー!」
「なんでカタコトなんですか」
「ホントホント! ワタシもチョー楽しみぃ~。マジヤバーイ」
「なんでギャル調なんですか!」
「スーザンさん、ベスさん、騒ぎすぎですよ。ほかの人の邪魔になっているわよ」
「「はーい、リカリカ先生ー!」」
「先生ってどういう設定ですか!?」
思わず叫び声をあげるズィズィの口をビェトカが慌てて押さえつける。
「ちょっとちょっとぉ! せっかくぅ、工場に潜入できたのにぃ大声を出さないのぉ~!」
「そうデスヨー。目立ちすぎネ」
「デイズィさん、他の人の迷惑になりますよ」
今回、たまたま工場の公開日だったということもあり、敷地内に入ることができたスズメたちだが、スズメたちの顔は敵に割れている可能性もあった。
と、言うことでスズメたち4人は変装して今回の工場見学に参加していた。
「でも、ナンデ工場見学なんてやってるネー」
カタコトでどこかノリの軽い女子高生という設定のスーザンがサエズリ・スズメ。
「たぁ~しぃ~かぁ~にぃ~。ワタシもチョー気になるゥ」
ギャル口調でスーザンの無二の親友という設定のベスがピシュテツ・チェルノフラヴィー・アルジュビェタ。
「ガイドさんの話を聞いていましたか? ここはマジャリナ王国初めてのマルクト系装騎工場ですから、装騎工場の基本モデルとして公開することも多いんです」
丁寧な口調で優しいスーザン達の引率の先生という設定のリカリカ先生がクラリカ。
「いつの間にそんな設定が決まっていたんですか!? それに先生って……!」
そして、キャラ設定が固まっておらずブレブレのデイズィがズィズィだ。
「この中で一番年上なのがわたしですから。先生……、とても良い響きですぅ」
どこか恍惚とした表情を浮かべるクラリカ。
そう、この4人の中ではクラリカが一番年上なのだった。
「年上とは言っても私と同い年ですよね?」
「誕生日はわたしの方が3か月早いよ……?」
「そうだけど!」
「センセー、見学場所に移動するネー!」
「あらあら、ではついていきましょう! はぐれないように気を付けてくださいね~」
「「ハーイ!」」
ノリノリな3人にズィズィは深いため息を吐いた。
案内人フェリパに従って、工場の見学を始めるスズメたち。
一見、ただの学生グループのような振る舞いをしながらも、その目は注意深くその工場内を観察する。
工場内の情報を、適宜カレル達"中央"に提供しながら怪しい場所が無いか目を光らせていた。
「やっぱり、見学コース上に怪しそうな場所は見つけられませんね」
「そりゃそーね。一番怪しいってーと……」
ビェトカがチラりと目を向けたのは、「関係者以外立ち入り禁止」の看板が塞ぐルート。
「単純ですけど、やはりああいうところから調べるべきですもんね」
「そーなるわね……さて、どーしよっか」
「わたしに、いい考えがありますよ」
考え込むスズメとビェトカに、クラリカが優しい笑みを浮かべる。
そして、大きく手を上げるとフェリパにこう尋ねた。
「すみませーん、お手洗いってどこですかー?」
「そこの角を曲がったところにありまーす!」
「ありがとうございまーす! さぁ皆さん、連れションと行きましょう!」
「リカリカ、はしたないです!」
ズィズィの指摘もどこ吹く風、クラリカ率いる4人組はゾロゾロとお手洗いへと足を向けたのだった。
「ということで、ここからは別行動で情報を集める……いいわね?」
「はい」
「ええ」
「いいよ」
ビェトカの言葉にそれぞれは頷くと、ツナギに着替え施設の探索を開始した。
尤も、関係者以外立ち入り禁止のエリアだからと言って、そうホイホイ重要機密などがあるわけではない。
今回の探索は施設内の間取りを調べ、その情報を中央で解析――怪しい場所などを絞り出すということが目的だ。
出来る限り人目を避けながら、4人はそれぞれで施設内を探索していく。
時間にしては十数分程度だが、迅速な探索ですぐに成果は出た。
『こちら金糸雀、ちょっと気になるポイントを見つけたから報告するわ』
それはカナールからの通信。
「鳶は?」
『アイツが解析作業をしてるからわたしが代わりにオペレーターをしてるわ』
カナールの後ろで「鳶じゃない、鷹だ!」という声が聞こえるが、ビェトカは聞かん振り。
「場所はどこですか?」
『北西の角にある部屋がどこか奇妙らしいわ』
「奇妙……えらく大雑把ですが」
「鳶さんはとても勘が良いです。調べておいて損はないと思いますよ」
スズメの言葉に3人は頷くと、目的のその場所へと足を向けた。
北西の一角――問題のその部屋は特に違和感のある様子ではない。
「……とも言えないか」
その一室は確かに奇妙だった。
場所は通路の突き当り。
壁をすぐ右手に、扉が一個ポツりとあるのみ。
どこか意図的に隔離されているような――そんな感じもする。
ビェトカは扉に手をかけてみる――ガチッと固い音と感触。
「案の定、鍵がかかってるね」
「問題ありません。私に任せてください」
そう言ったのはズィズィ。
ズィズィは懐から何やら小型の道具入れのようなものを取り出す。
そして素早く扉の解錠を始めた。
「ズィズィさん、そんな技術も持ってるんですね……!」
「潜入作戦は今まで何度もしたことがありますし、この程度のスキルは持っていないと務まりません」
「そうです。ズィズィはすごいんです!」
それから暫く――スチャンと音が響き、鍵が開いたことを知らせる。
開かれた扉のその先にあったのは――――
「階段、ですね」
地下へと続く白く無機質な階段。
「とりあえず――行ってみっか」
「はい。各自、最大限に警戒を」
4人はゆっくりとその階段に足をかけた。
先行するのはビェトカ、その間にスズメとクラリカが入り、後方につくのはズィズィ。
階段は長く、ただひたすらに真っ直ぐだった。
もしも正面からこの施設の関係者が現れれば鉢合わせは免れない。
そんな状況だが、運良くスズメ達は階段の終着点――――怪しげな研究室へと到達したのだった。
白くシンプルな研究室の中に人はおらず、ただ中央に設置された巨大な円柱形のガラスが青黒い光を漏らすのみ。
その輝きはまるで――
「ディープワンの持つアズルの光、ですね」
ディープワンなどの偽神装騎が放つ青黒い霊子――その輝きそのものだった。
その光を放つ物体はガラスの中に保管された、奇妙に蠢く肉塊のようにも見える闇。
「これは、偽神装騎か?」
「偽神装騎、というよりは……何でしょうか、この感じ」
スズメはその物体を睨む。
偽神装騎から感じる恐怖と威圧感――天使サンダルフォンやハラリエル、悪魔タルウィやザリクと同じような不可侵感と神秘性――そして、どこか感じる、
「何か、悲しいです」
「悲しい、ねぇ」
スズメの感想にビェトカとズィズィは首を傾げた。
だが、クラリカはスズメの言葉に頷く。
「確かに、苦しんでるような……そんな感じ、しますよね」
「苦しんでるとか悲しんでるとか、そういう感覚は全く分かんないけど――でも、コレだけは分かるわ」
ビェトカがズバリ言った。
「この物体は――偽神クトゥルフそのもの。もしくはその欠片みたいなヤツね」
ビェトカの言葉に誰もが頷く。
あくまで感覚的なことだが――――何故か全員、そう受け取ったのだ。
「あらら、ソレを見られちゃったかぁー」
突然、その研究室に声が響き渡る。
スズメたちは声が聞こえてきた背後へと振り返った。
そこに立っていたのは、工場見学の引率をしていた女性――ベトサイダ・フェリパ。
「探しましたよお客様。道に迷っちゃったりしてたらどうしようかなーとか思ってましたけど、まさかこんな所にいるなんて。ねぇ?」
そういうフェリパはあくまで笑顔。
しかし、だからこそスズメたちは彼女に対して言いようのない恐怖を覚える。
「とりあえずお客様。事務室までついてきてもらえますかー? じっくりとお話を聞きたいので」
「ビェトカさん」
スズメの言葉にビェトカは頷く。
幸い、相手はフェリパと名乗った女性1人。
対して、こちらは4人。
であるならば……
「Do Boje!」
ビェトカの号令一下、スズメ達4人はフェリパへと襲い掛かる。
「全く――何が目的なんだキミたちは!」
思いのほか激しい抵抗を見せたフェリパだったが、何とか捕まえることができた。
「何が目的って……」
「アンタ、偽神教の信者でしょ?」
「偽神教……っていうと、カルトの? んなわけ無いじゃん!! あんなのと一緒にしてもらいたくないね!」
ビェトカの問いにフェリパはそんなことを口にする。
「嘘吐くんじゃないわよ! このカプセルに入れられてるの偽神クトゥルフでしょ? しらばっくれても裏は取れてるわ」
半分は引っ掛けのビェトカの言葉だが、フェリパはその言葉に全く動揺も見せずに首をかしげるだけ。
「偽神とかクトゥルフとかは知らないけどさ! 何? キミ達って国際警察の一派か何か? そういえば、MaTySとかいう諜報機関が来てたけどその関係!?」
「ったく、重要なこと以外は達者に喋るのね……アンタさぁ、これがどういうものかくらい聞いてないの?」
「これはうちの最重要機密だ。詳細は知らないけど、みんな聖物と呼んでいる」
「聖物……?」
「この子は一種の聖霊――このカプセルの中じゃないと存在を保てないちっぽけな存在さ。そうでありながら、強力な霊力を秘めている――わたし達デマヴェント重工はこの聖物を新たなエネルギーとして使えないか、研究をしているのさ」
「……アンタ、なかなかに訳知りって感じだけど」
「偽神教とかクトゥルフとかは知らないけど、ここの内情はよく知っているのさ。さて……そろそろかな」
不意に、階段の上から激しい足音が近づいてくる。
「U čerta……!」
ビェトカが露骨に悪態をつく。
それからすぐに、スズメ達4人はデマヴェント重工の警備員と思しき人々に囲まれた。
そのままひとまずは事務所へと連行されていくスズメ、ビェトカ、ズィズィ、クラリカ。
マズい――非常にマズい――――4人の胸には同じ言葉が浮かんでいた。
仮にこのフェリパという女性が本当に偽神教に関係がないとしても、このデマヴェント重工に偽神教の息のかかった者がいるのは確実。
身元を調べられればすぐに分かるだろう。
彼女達が「復讐者」だということが。
「何かありましたか?」
事務所の前に差し掛かった時、丁寧なスーツを身に纏った1人の女性が近づいて来た。
女性の視線とスズメの視線が交差する。
「あっ……」
目を見開くスズメをよそに、女性はフェリパへと向き直った。
「これはミラ様。いえ、なんでもありません。進入禁止区域に潜りこんだ方々を見つけただけです」
「つまりは――不法侵入者、と言うことですね」
「それとわたしに対する暴行罪も含めて、事務所でたっぷり話を聞くつもりでね」
「なるほど……それでしたら私共MaTySに任せさせて頂けませんか?」
スーツ姿の女性の言葉に、フェリパの表情が僅かに歪む。
「モチロン憲兵に引き渡す予定ですが、その前にこの施設内で起きたことなのでこちらとしても一つきっちり勧告を……」
「エヴロパ連合国際規則では犯罪者は速やかに警察機関に引き渡しの上で処分を決定するものです。我々MaTySは国際警察機構としての役割も兼ねていますから、ここは私たちに彼女らの身柄を預けるべきではありませんか?」
「それは……」
「警察機関への身柄を引き渡さずに拘留した場合はあなた方が罪に問われる可能性も出てきますし、我々への公務執行妨害と捉えることも可能です」
「…………分かった。警備員、彼女達をミラ様へ」
フェリパの言葉に従い、スズメ達4人はスーツ姿の女性の元へと引き渡された。
「ではMaTySの御仁、彼女達をよろしくお願いします」
「お任せください。ではあなた達、ヴァルシャヴァ憲兵所へ向かいます」
憲兵所へ移動するはMaTyS所有のトレーラーの中、スズメ達4人はスーツ姿の女性と向き合っていた。
「あの……助かりました、ローラさん」
スーツ姿の女性――その名はミラ・ローラ。
シャダイコンピュータを破壊し、マルクト神国から共和国へと変えた革命軍グローリアに所属していた女性で、マルクト唯一の飛行型装騎スプレッドを操る魔術使の女性。
スズメにとってはステラソフィアの友人達の仇とも言える人々の1人であり、ローラにとってもスズメは大親友であるマリアを殺した仇とも言える間柄だった。
「はぁぁああああああ……」
スズメの言葉にローラは大きなため息を吐く。
「偽神教に敵対する奴らが居るとは聞いていたけど……まさかあなたが居るなんてね」
その言葉はスズメに向けられたものだった。
「いや、まぁ、情報でスパロー型装騎が居るって聞いたときからまさかとは思ってたけどねぇ。あんなの使えるのあなたくらいだし……でもまさか」
「すみません……」
そう謝るスズメに、ローラはさらに深いため息を吐く。
「まぁ、それは良いわ。そんなことより単刀直入に言うわ。あなた達――何を見たの?」
スズメはビェトカとクラリカ、ズィズィに目配せをした。
それは、言うべきかどうかを3人に尋ねているのではない。
「スズメの判断に任せるよ」
「ありがとうございます」
ビェトカの言葉にスズメは礼を言うと、ローラへと話始めた。
今まで起きた出来事を、あの工場で見たものを、これから自分達がどうしようとしているのかを。
その話を聞き終えたローラは、どこか苦虫を噛み潰したような表情をしながらもこう言った。
「ならば――――わたし達が手を貸してあげるわよ」
「本当ですか!?」
「勿論、直接加勢したり、表立っての支援はできないけど、コッチでつかんだ偽神教の情報をあなた達に流すくらいならできる」
「助かります!」
願ってもない助力に喜ぶスズメだが、もちろん他の3人はそう素直に喜べない。
「アンタ、何が目的なの?」
「わたし達MaTySは国際警察機関の一組織――だけど、その実モウドールからの最重要命令を受ける諜報機関なのよ」
「モウドールさんの……」
コンラッド・モウドール――現マルクト共和国大統領であり、革命軍グローリアの旗頭だった男性だ。
「その命令は――あなた達には言えないけど、ある組織を追っているの。そしてその組織――偽神教と繋がりがある可能性があるのよね。だから、更に偽神教との繋がりがありそうなあの工場を視察という名目で調査してたんだけど……」
「そこに私達がやってきて、トラブルを起こしてしまったんですね」
「そう。あなた達って本当バカ」
ローラは「バカバカバカ、本当バカ」と俯きながら独り言のようにひとしきり呟く。
ビェトカが我慢できずに拳を固め始めた頃、ローラは顔を上げると言った。
「でもまぁ、そんなバカのお陰でバカできるバカとバカできそうでよかったわ」
「しばくぞ」
「いやね、わたし達はあくまでマルクト共和国内の組織、直接的に施設を攻撃するとかできないのよ」
それもそうだ。
いくらエヴロパ連合に所属する国の中だと自由に警察権が行使できると言っても、実際に攻撃を仕掛ければ外交問題なんて話じゃない。
正当性が証明できるのであればまだしも、今回の件は明確にデマヴェンド重工が規則や法律を破っているわけでもない。
「だから、国とか組織とかとは関係なく勝手に動いてるあなた達みたいな"個人"を実動隊として使いたいって訳」
「なるほどね。ワタシ達は偽神教の情報が欲しい。アンタたちは問題があったらすぐに切り捨てられる実行部隊が欲しい――ってことか」
「割と利害は一致してると思うけど?」
「なかなか酷いことを言ってますけど、私はローラさんは信用できる人物だと思います」
スズメの言葉にビェトカは渋々といった様子だったが静かに頷いた。
「ワタシは分かった。クラリカとズィズィは?」
「はい、スズメちゃんの言葉を信じますっ!」
「そうですね……信じます」
「それじゃ、あなた達とMaTySの秘密同盟――ここに締結ね」
「よろしくお願いします!」