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機甲女学園ステラソフィア  作者: 波邇夜須
戦慄の女王シーサイドランデブー
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シアー・ハート・アタック

「前方からベストフレンド――来ますわね」

レーダーの光点が次第に装騎スネグーラチカへと近付くのを見ながらチャイカは呟いた。

スネグーラチカは駆け寄る装騎ベストフレンドへとスナイパーライフルを向け引き金を引く。

「ひぅぁ!?」

放たれた弾丸にジャンヌは驚く。

だが、ベストフレンドは的確にその弾丸を回避していた。

それからスネグーラチカとベストフレンドは互いを互いに視界に捉える。

「いっけぇ!」

タタタタタタタ

ベストフレンドの持つ12mmファーフナーライフルが火を噴く。

「効きませんわ!」

だが、スネグーラチカはそれを魔力障壁で防いだ。

「次はこちらの番――!」

そのままお返しと言うように、スナイパーライフルを撃つが、それも空しく避けられる。

「しかし、ここまで接近されてしまってはスナイパーライフルだと辛いですわね……」

スネグーラチカはベストフレンドの銃撃を避け、防ぎながらスパローに合流するように装騎の向きを変える。

引き撃ちをしながら移動するスネグーラチカとそれを追うベストフレンド。

地味だ。

この上なく地味である。

だが、不意に背後でピッと軽い音が鳴った――気がした。

「!! まさかっ」

そのまさかだった。

不意にスネグーラチカの背後で鳴り響いた爆音。

スネグーラチカが爆炎に吹き飛ばされる。

「や、やった!」

ベストフレンドは元々、サーティーナインが装備しているような爆弾をいくつか譲り受けていたようだった。

そうであれば、スパローに使ったような通常の爆弾以外にもチリペッパーに使ったようなリモコン式爆弾を持っているのも当たり前だ。

「ぐぅ――!」

辛うじて機能停止は免れたスネグーラチカだが、爆風に煽られ動きが止まった。

その瞬間を狙い、ベストフレンドが12mmファーフナーライフルを連射しながら接近する。

「魔力障壁――!!」

だが、それもチャイカの障壁に阻まれた。

「う、うぅ……この程度じゃぁ」

チャイカの魔力障壁は、障壁を得意とする魔術適性者の中でも特に強固なのは周知の事実。

正直、並の術者であれば先のウィリアムバトラー戦で使われた20mmフュンフトマティ砲をそう何度も防げる物ではない。

それはジャンヌも理解していた。

それと同時に、だがいくらチャイカの強固な障壁と言えども、魔力障壁共通の弱点を解消できていないこともジャンヌは知っていた。

ベストフレンドはスネグーラチカに爆弾を投げ込む。

それは強烈な光と熱――それも今まで使ってきた爆弾の数倍の火力でスネグーラチカを襲った。

「効きませんわ!!」

スネグーラチカの右側面に投げ込まれた爆弾――しかしそれをスネグーラチカは魔力障壁でいとも簡単に防ぎ切る。

かなりの威力を誇る、サツキから譲り受けた特注中の特注。

それを防ぐほどの強力な障壁。

しかし、魔力障壁にはある一定方向に強固な防御力が発生しているその時は、別の方向への障壁は弱まると言う性質がある。

「そ、そこぉ!」

爆炎と赤光で視界が暗まされ、チャイカはその判断が一瞬遅れた。

「しまっ――――」

咄嗟に魔力障壁を左側から襲い来るベストフレンドへと向けようとする。

だが、すぐに間に合わないことを直感し、チャイカは魔力衝撃をベストフレンドに放つ。

魔力衝撃が放たれたのと同時に、ベストフレンドが手に持ったストライクハープーンがスネグーラチカの右腕を貫いた。

魔力衝撃がベストフレンドを激しく揺らす中、必死でストライクハープーンをスネグーラチカに突き刺す。

魔力障壁の初歩的な隙を突かれ、右腕にダメージを受けたのは痛い。

しかし、ストライクハープーンの威力自体は微細な物。

スネグーラチカの魔力衝撃のダメージでベストフレンドが破壊されるのが先――チャイカはそう思っていた。

「いけぇ!!! シアー・ハート――――」

ベストフレンドの体が輝きを帯びる。

それは、僚機を修復する時と同じ輝きだ。

その輝きはスネグーラチカに突き刺されたストライクハープーンを伝い、スネグーラチカを包み込む。

「こ、これは!?」

みるみる内にスネグーラチカの傷が修復されていく。

そして、その傷は綺麗に消え去り、ストライクハープーンが突き刺された傷を除きスネグーラチカの修復が完了した。

「な、何故スネグーラチカの修復を――」

だが、ジャンヌの意図はすぐに知れることになる。

スネグーラチカの修復が終わって尚、ベストフレンドの光は消えない。

次第に、ストライクハープーンの突き刺さった傷口から連鎖するようにスネグーラチカの装甲に亀裂が走った。

「なん、ですの――!?」

「アタックぅ!!」

過剰に回復を促進されたスネグーラチカのナノマシンがやがて自己崩壊を始める。

そのまま、内側から抉られるようにしてスネグーラチカはその機能を停止した。

「や、やった――わ、私、初めて――勝っ――――」

だが、あの強力な爆炎の中で魔力衝撃を受けたベストフレンド自体もただでは済まなかった。

木々を燃やす強烈な熱がベストフレンドの体を焼き、魔力衝撃に揺らされたベストフレンドの騎使ジャンヌの体力は限界だった。

そのまま、ジャンヌの意識は闇に沈んで行った。

オマケ

ステラソフィア・キャラクター名鑑

挿絵(By みてみん)

1年:チーム・シーサイドランデブー所属

名前:Deacon Janne

読み:ディーコン・ジャンヌ

生年月日:聖歴152年8月31日

年齢:15歳(4月1日現在)

出身地:マルクト国神都カナン

身長:150cm

体重:45kg

使用装騎:PS-Ha1S:Best Friend(ベース騎PS-Ha1:Haniel)

好みの武器:特にない

ポジション:サポーター

公立ヘブンズフィールド中学出身。

装騎が大好きだったのでステラソフィアに自己推薦を出したら合格した。

装騎に関係した各成績、戦績も目立ったところは無い為、本人はなぜ合格できたのか分かってない。

趣味は色んな事に思いを巡らせること。

個人的な声のイメージは南條愛乃さん。

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